『バイク乗りの勘所』

高速道路渋滞時の二輪車路肩走行を解禁せよ

掲載日:2011年08月22日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

先日、近県への出張の行き帰りに、珍しくバイクで都市部の高速道路を利用した。ぶり返した猛暑により、ただでさえ暑いのに、激しく渋滞した高速道路上は、路面や壁面の照り返しに、延々と連なるクルマからの排熱が加わり、まさに灼熱地獄と化していた。そこで私は、熱中症になってはたまらないので、その環境から逃れる最も安全な方法として、渋滞区間が終わるまで(違反を承知で)路肩を走って緊急避難した。

“緊急避難” は、正当防衛(36条)と並んで刑法第37条に規定されている。曰く “自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。” である。熱中症による自己の生命の危険を避けるために、やむを得ずに路肩走行をした私の場合、他人に危害を及ぼしていないから罰されない…と解釈しているのだが、いかがだろうか。

それと関連して、路肩走行の取り締まり強化(もとから禁止であることに変わりないが、二輪の場合、昔は黙認されていた)のせいで頻繁に目にするようになった “より危険な走行” を減らすのが急務であろう。より危険な走行とは、捕まる可能性のある路肩を避け、走行車線~追い越し車線間や、追い越し車線~中央分離帯間の “すり抜け” である。これは明確な禁止規定がない “グレー行為” だから、捕まる可能性は低い。だが、どちらが “より危険” かは明らかだ。

ある日(今から約20年前~約10年前の間)突然、二輪車の路肩走行の取り締まりを始めた警察には、軽微な違反を取り締まることによって、ライダーたちを、より重大な危険行為に駆り立てている現状をしっかり認識し、渋滞時の高速道路の路肩走行を、二輪車に限って黙認していただけるようにお願いしたい。ライダーの生命の危険(より危険な走行による事故および熱中症)回避、交通の円滑化、クルマの運転者に与える恐怖感の解消など、メリットは多いはずだ。

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