『バイク乗りの勘所』

ツーリングチューンが、あってもいい

掲載日:2011年08月08日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

バイクの楽しみ方は、人それぞれ。だから、最初は気に入っていても、慣れるにつれて自分好みに手を加えたくなる。うんと昔、エンジンもブレーキも、今よりうんと性能が低かった時代には、レーシングマシンがチューニングアップの手本になった。しかし、今やストリートバイクの性能は、かつてのレーシングマシンを超え、単純にパワーや制動力などを高める古典的チューニングよりも、出力特性やブレーキフィーリングといった官能面でのファインチューニングが求められている。

ところが、アフターマーケットパーツの世界には、ドカンとトルクの出るエンジンパーツ、ガツンと強烈に効くブレーキパーツなど、今やレースの世界でも敬遠されるような製品が未だに多数存在する。そして、それらより高級な製品になると、レース用に開発されたパーツが多い。レーサーレプリカ、あるいはネイキッドでスポーツ走行をするユーザーには、それでも喜ばれるのだろうが、ツアラー、あるいはネイキッドでツーリングを志すユーザーには、選択肢が限られてしまう。

ツーリング用のアフターマーケットパーツというと、キャリアとかケースなどの荷物搭載系、あるいはインフォメーション、コミュニケーション系デバイスなどが主流で、バイク本体のチューニング用パーツは非常に少ない。確かに、ドカンと来ないエンジンパーツやガツンと効かないブレーキパーツなどは、地味で売りにくいだろうし、それらを使ったとしても、へたをするとただかったるく、眠いだけのバイクになってしまうかもしれない。

そうではなく、いたずらに飛ばさず、急激な減速をせず、激しくコーナーを攻めずに延々と走り続けるのが、ただ安全で快適なだけでなく、より楽しくなるようなパーツやチューニング。それには、本物のレース用パーツの開発やチューニングを上まわる技術やセンス、そして試行錯誤が必要ではあるが、それを求める、目の肥えたツーリング志向のライダーは決して少数派ではないはずだ。そんな彼らに向けたパーツとチューニングが、もっと増えることを期待したい。

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