『バイク乗りの勘所』

痛みやすい、左サイドにご用心

掲載日:2011年06月06日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

ほとんどのバイクのサイドスタンドは左にある。“なぜそうなのか”が前回の話で、今回は“だからどうなのだ”に話を進める。だから…、サイドスタンドで停めたときに左に傾くのである。左に傾くから、左サイドは右サイドよりも見えにくい。左側から乗り降りするにもかかわらず、である。乗り降りするときに見えているのは、じつは斜め方向、かなり上寄りからの眺めであって、側面に正対してバイクを眺めるのは、圧倒的に右サイドが多い。

車体が左に傾くと、右サイドよりも左サイドのほうが地面に近くなる。さらに、左に傾けばハンドルは自然に左に切れるから、ネイキッドバイクでいうとクランクケース左前角あたりは一種の死角になる。右側と比べて、日当たりも風通しも悪い。おまけに地面に近いから、湿気やホコリの影響を受けやすい。そんなわけで、サイドスタンドで保管しているバイクの大半が、右サイドよりも左サイドのほうが汚く、錆の進行も早い。漏れたガソリン、オイル、冷却水なども左に溜まる。

さらに、左に傾き、左側から乗り降りする都合上、壁際などに駐車する場合は、車体の右側に壁がくるようにする。だから、右サイドは壁でガードされているのに、左サイドは無防備であることが多い。通りがかりのイタズラ、ママチャリの接触などの危険があるほか、乗り降りするときに自分の靴で蹴飛ばすのも、たいてい車体後半の左サイド上部である。このように、痛みやすく、かつ、それに気づきにくいという宿命を負ったのが左サイドなのである。

掃除は整備の基本…と、よく言われる。その意味するところは2つ。ひとつは、事前に掃除することにより、不具合に気づきやすいという、整備の第一段階としての意味。もうひとつは、掃除をすれば、異物の付着を取り除いたり異物が付着しにくくなり、結果としてパーツの劣化が防げるという意味だ。ところが、掃除もまた、左サイドはやりにくく、手抜きになりがちだ。いつもサイドスタンドで停めている人は、左サイドにご注意めされたし。

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