ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.39】北島 英二さん

掲載日:2026年07月13日 フォトTOPICS    

取材・写真・文/森下 光紹

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Vol.39 北島 英二(きたじま えいじ)

バイクは、徹底的にホビーとして楽しむ
仲間で参加するイベントレースが、何より好きなのだ

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バイク歴が長いと、その間様々なモデルに乗ってきたことで、その使い方や乗り方について自分の好みがだいたい分かってくるものだ。

世の中には本当に様々なバイクが存在して、排気量や年式、製造している国によっても実に個性的なモデルばかりなのだから、同じバイク乗りといっても、その志向性は多岐にわたる。

今回ここに紹介する北島英二さんの得意分野は小型バイクだ。ご自分でほとんどすべてのメンテナンスをして、レースにも数多く参戦している。つまり、乗るのもイジるのも得意なスペシャリストなのだ。

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北島さんがよく乗っている小さなバイク。ベースは1980年代に販売されていたヤマハのポッケというバイクである。大きさはホンダのモンキーとほぼ同じで、当時は各メーカーからよく似たカテゴリーのホビーバイクが色々と販売されていた。しかしこのバイク、本来は空冷の50ccなのだが、水冷エンジンに交換されている。そして何ともレーシーなチャンバーも装着していて、スイングアームも伸ばされていたり、前後高性能なディスクブレーキになっていたりと、フルカスタムされているのだ。

「もう長いなぁこのバイクは。小さいバイクが好きなんですよ。自分でカスタムできるところが多いですしね。ちゃんと改造申請してイエローナンバーの原付二種にもしてあるから、一般公道はクルマと同じ速度で走ってOKになっています。以前は、このバイクで真冬の北陸までロングツーリングに行ったり、無茶して楽しんでいましたが、最近はちょい乗りですね。でも、どう乗っても楽しいですよ」

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北島さんは、少年期からのバイク乗り。当時は周りの若者全員がバイク乗りになる時代で、メーカーも毎月新車を発表するようなイケイケだった。4月生まれだった彼は誰よりも早く免許を取得して原付モデルはすぐに卒業。400ccのロードモデルを何台も乗り継いだ。当時のバイク仲間は、降りたり乗ったりを繰り返しながらも地元で繋がっていて、最近はチームを作ってイベントレースに参戦することが多くなったという。

「青春時代のバイク三昧というのは、どこかで一区切りになりましたね。まぁ仕事も始めて結婚もして生活に追われるとバイクどころじゃなかったのかもしれないです。でも、好きだとやっぱり復活しちゃうんですねアハハハ。その後はずーっとこんな調子ですよ」

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30歳で結婚された北島さん。その後10年はまったくバイクから離れていたのだが、10年後にやっぱり原付バイクから復帰する。元々乗るのもメンテするのも好きだから、古いポンコツを手に入れては直して乗って、調子が良くなると次のモデルをまた手に入れるというスタイルになった。仲の良い友人もバイク復帰するようになると、みんなでバイクを楽しむ方法として、イベントレースに参加するようになる。

「フジスピードウェイで開催しているスーパーカブのレースとか、NSF100での耐久レースとかに参戦しています。大きいバイクでレースするとスピードも速くなって危険だと思うし、お金もかかりすぎるからね。でもレースの楽しさは、バイクの大きさに関わらず何でも楽しいですよ。もう5年以上参戦しているのかなぁ。まぁ大人の運動会みたいなノリですかね」

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レースが開催されているのは、スピードウェイのカートコース。さすがに本コースを走るのではなくて、細かいタイトコーナーの連続する周回コースを使ったイベントだ。パドックからすべてのコーナーを目視できるから、まさしく運動会のようなノリが楽しく、毎回盛り上がるという。北島さんは、こんなレースを楽しく走るために、NSR50のフレームにエイプのエンジンを搭載したレーサーを製作して練習用に使用するというほどの熱の入れようなのだ。

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「カミさんもね、イベントレースに参戦することには賛成してくれているんですよ。昔みたいに公道で無茶するよりはるかに安全マージンが高いからね。ちゃんとしたレギュレーションを守らないと参戦できないし、純粋にスポーツとしてバイクを楽しむことができる。レースを始めてからは、公道を走る時の意識もずいぶん変わりましたね。安全マージンに関して深く考えるようになりました。最近は、いわゆるロングツーリングにはあまり行かなくなりました」

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とはいえ、公道を走るためのバイクを止めてしまったわけではなく、最近は1983年型のホンダNV400SPを手に入れてメンテナンスを施し、普段使いに乗っている。今やなかなか見かけないホンダのマイナー車種だが、そのエンジンは、後に大ヒットしたアメリカンモデルのスティードやネイキッドスポーツのブロスなどと共通で、走らせてみるとなかなかスムーズで快適な乗り味のモデルである。筆者もちょいと跨がらせてもらったが、ほんの少し前傾になるコンパクトなライディングポジションと、座り心地の良いシート。左右によく切れるハンドルや、低速域から安定しているハンドリングなど、少し触れてみただけでもこのバイクの完成度の高さが伝わってきた。

「良いでしょ。このバイク。めっちゃマイナーモデルだから誰も注目していないけれど、本当に優秀なんですよ。今の僕にちょうど良いっていう感じなのかな。バイクは大きくてもこれぐらいまでが良いですね。まぁきっと僕はマイナーモデルのマニアなのかもしれないけれど」

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北島さんの手作りガレージには、その他にヤマハのYZF-R15も保管してあるのだが、これはインドネシア仕様の輸入車。なるほど、やはりマイナーモデルのマニアなのかもしれないが、バイクをとことんホビーとして楽しむためのアイテムと考えれば、納得のいく選択ではある。つまり、手に負えない大きさやパワーを発揮するバイクは避けているのだ。それは普段からレースに参戦することで、本当の意味でのライディングスキルをしっかり磨いているからこそと言えるだろう。

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北島さんにはもう一つの顔がある。現在は所有していないがスズキのRGV250ガンマの愛好家だったこともあって、年に一回、箱根にてガンマミーティングを主催しているのだ。

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「ガンマが好きでね。2型から最終型に乗り換えたりして楽しんでいたんですが、メンテに困ったりしてネットサーフィンとかしていても、意外とガンマだけのコミュニティーというのが存在しなくてね。同じモデルに乗っている人と繋がりたくてミーティングを主催しました。最初は9年前で30台くらい集まったのかなぁ。それが今や100台規模になりました。僕は現在バイクを手放してしまったけれども、この集まりは止められないですね。きっとこれからも続けると思います」

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人生は楽しく過ごしたい。楽しい人と繋がりたい。そのためのツールがバイクであり、レースであり、ミーティングなのだと彼は言う。意外にもマスツーリングは大の苦手で、他の人とつるんで走ると、走行ペースのレベルとか、休憩のタイミングとか、様々なことが気になって、まったく自分のライディングを楽しめなくなると笑う。公道を走るのは一人が良い。あのホンダのマイナーモデルや、長年乗り続けているオリジナルカスタムのポッケ。最近お気に入りのヤマハのR15などで気ままに走ることが好きなのだ。

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自分にとってのバイクライフを確立しているライダーは、本当に朗らかで楽しそうである。バイクを製造するメーカーは、実に様々なバイクライフを想定して個性的なモデルを発表してきたものなのだと、つくづく思うが、どんなモデルでも、使い方次第では宝物にもなれば凶器にもなるのがバイクの宿命だ。自分自身のオリジナルバイクライフを見つける旅は、ライダー全員が現在進行系なのだと思う。

ライター プロフィール
森下 光紹(モリヤン)
旅好き野宿好きで日本全国を走り回り、もう足を踏み入れていないエリアがほとんど残っていないと笑う。とにかくバイクで行かないと気が済まないから、モンゴルとカザフスタンの国境まで気の合う友人と行ってしまったこともある。乗って行くバイクはいつの時代もポンコツで、メンテも得意な自称ポンコツ大魔神。本業はカメラマンで、人生行く先々のどんなシーンでも写真に収めるのがライフワークのひとつ。その人生訓は「我が生命は水が如き」という。

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