初めてのタンデムツーリングを楽しむためのコツや注意点をおさらい

掲載日:2023年10月03日 フォトTOPICS    

写真・文/野岸“ねぎ”泰之

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【この記事の目次】
■法的な条件を確認しよう
■運転はジェントルに
■パッセンジャーに乗り方をわかってもらう
■大切なのは“パッセンジャーファースト”
■グッズもうまく使って緊張や疲労の軽減を

バイクに乗りはじめたからには、後ろに人を乗せてツーリングに行きたい……そんな憧れを持つライダーもいるかと思います。そこで、ツーリング雑誌で30年以上携わってきた筆者が、初めてのタンデム(2人乗り)ツーリングにおけるポイントや注意点などを考えてみました。

まずは法的な条件を確認しよう

まず確認しておきたいのが法律的な条件です。バイクの2人乗りが法的に認められているのは二輪免許取得後1年以上経ってから、ということです。普通二輪免許取得後に大型二輪免許を取った場合などは、通算して1年以上ならOKです。バイクの免許を取ってもすぐに2人乗りはできないんですね。

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さらに高速道路では、運転者が20歳以上で、かつ二輪免許取得後3年以上経過している必要があります。また、原付2種など排気量上はクリアしていても、タンデムステップなど2人乗り用の装置がないものはNGです。さらに、首都高速のC1環状線とそこから伸びる路線の一部など、2人乗りが禁止されている道路の存在にも注意が必要です。

運転はあくまでジェントルに。いつもと違うマシンの挙動に注意しよう

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いよいよ後ろに同乗者(パッセンジャー)を乗せるわけですが、まず注意したいのが、しっかりとマシンを支えた上で、乗っていいよ、というタイミングを後ろの人にきちんと伝える、ということです。ライダーの準備ができていないのにいきなり乗られると、はずみで車体がグラリと傾いて立ちゴケ、なんてことになりかねません。サイドスタンドを立てた状態で乗せるという手もありますが、マシンを起こすのにかなり力とコツが必要なので、慣れないうちは注意しましょう。

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実際に後ろに人を乗せて走り出すと、ソロで乗っているときと操縦性や重量バランスが大きく違っていることに気が付くはずです。特にスーパースポーツ系は後席が高い位置にある場合が多く重心が高くなるので、曲がり角でフラついたりコーナーリングでバランスを崩さないよう注意が必要です。また、急減速、急加速などを行うと、パッセンジャーが前後に動いてしまい、へメット同士がコツンとぶつかったり、最悪の場合、パッセンジャーを振り落としてしまうことも考えられます。ブレーキの効きもソロの時より悪くなるので、とにかくジェントルな運転を心がけるようにしましょう。

パッセンジャーに乗り方をわかってもらう

固定してある荷物と違ってパッセンジャーは人間なので、どうしても動いてしまいます。バイクに乗り慣れていない人の場合は“乗っている間、自分はどうすればいいか”がわからない場合が多いので、コツや注意点などをあらかじめ説明してあげることが大切です。

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後ろに乗ったら片手はグラブバー、もう片方の手はライダーの肩や腰に添えるかベルトをつかむなどして運転の妨げにならないようにしてもらいましょう。軽くニーグリップをしてもらったり、コーナーでは怖がらずに自然な姿勢で前のライダーと同じように体を傾ける、急な動きをするとバイクが不安定になるので避けるなど、バイク独特の乗り方やコツを教えてあげてください。また、バイク装備を持っていないパッセンジャーには清潔でサイズの合ったヘルメットやグローブを準備してあげたり、長袖や足首まである靴を履いてきてもらうなど、安全に対する配慮も大切です。

大切なのは“パッセンジャーファースト”

タンデムツーリングで大切なのは、要するに“パッセンジャーファースト”の心とでも言いましょうか、後ろに乗る人のことを常に考える、ということに尽きると思います。ライディングに関してはパッセンジャーが怖がったりつらい思いをしないよう、いつもより慎重に、安全運転を心がけるのは当然ですが、休憩を小まめに取ったり、暑い寒いなどの気候や急な雨に対する備えを考える、あるいはルートの選定段階から、渋滞多発エリアや路面状況の悪そうな場所を避けるなど、最大限の思いやりを持ったプランを立てるのも重要なポイントです。何より“初めてのタンデムツーリング”だと、あまりに長時間のライディングになってしまうと、ライダー自身もいつもより緊張して疲労がたまって危険だし、パッセンジャーも緊張や疲れで楽しめなくなってしまう可能性があります。

グッズもうまく使って緊張や疲労の軽減を

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疲れや緊張を軽減するには、便利なグッズを活用するという方法もあります。インカムを使ってコミュニケーションを取れば、休憩のタイミングやルートの説明などもできるので、パッセンジャーの不安も減るでしょう。また、グリップが付いていたりライダーと体を固定できるタンデム用のベルトなども各社から発売されているので、これを使えばパッセンジャーが楽につかまれたり振り落とされる心配もないので安心です。ツアラータイプのマシンに乗っているなら、トップケースのパッセンジャー側にパッドを装着すれば、簡易的な背もたれになるので疲れを減らすこともできます。また、スマホナビなども上手く使えば、渋滞を回避したり無駄のないルート設定ができるなど、疲れを減らすのに役立ちます。

タンデムツーリングは独特の一体感が味わえるし、喜びや感動を一緒に分かち合うこともできる素敵なものです。パッセンジャーファーストの気持ちを忘れず、自らも無理をしない。便利な道具を使って、少しでも緊張や疲れを和らげながら、余裕をもってプランニングや走りを心がける……これらのポイントに気を付ければ、初めてのタンデムツーリングを楽しく安全に終えることができるはずです。パッセンジャーに「またタンデムでツーリングに行きたい」と言ってもらえるようなツーリングを目指しましょう。

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