掲載日:2023年04月28日 フォトTOPICS
取材協力/インディアンモーターサイクル 写真・文/小松 男
大磯ロングビーチ駐車場にて開催された第8回JAIA輸入車二輪車試乗会・展示会では、アメリカを代表するモーターサイクルブランドの一つであるインディアンのブースも用意された。
インディアンは長い歴史を持つアメリカ最古のモーターサイクルブランドとして知られるだけでなく、フラットトラックレースでの活躍や、昨今北米で盛り上がりを見せるバガースタイルのモデルで競い合うAMAロードレース、『キング・オブ・バガーズ』でもチャンピオンを獲得するなど、レースに勝つためのスポーツモデルを造り上げる技術にも長けている。
そんなインディアンなので、ド迫力のビッグボディを見せつけるフルドレッサー仕様のインディアン パシュート・ダークホースや、ウエストコーストカスタムスタイルのスポーツクルーザー、スカウト・ローグ、フラットトラックレーサースタイルのFTRなど様々なモデルがブースに並べられた。
その中から最新モデルとなるスポーツ・チーフに試乗したので、その感触をお伝えしよう。
インディアンモーターサイクルのチーフというモデルが最初に登場したのは1921年のことだ。私の知る旧車好きの中には昔のチーフのオーナーがいるが、100年前に作られたバイクだと思えないほどしっかりとした作りであり、今でも高級車だと言う。
もちろん現代のチーフはそれとは違うものではあるが、空冷ツインエンジン、スチールフレーム、ロングホイールベースという基本レイアウトは保っている。そのチーフの最新モデルが、スポーツ・チーフだ。
トップブリッジから上方へ引き上げられた長いハンドルライザーや、コンパクトかつ低く抑えられたフロントカウルなど、総じて西海岸から端を発したクラブスタイルで纏められていることが伝わり、佇まいからしてスタイリッシュだ。
エンジンを始動し走り始める。両腕を前方にまっすぐ伸ばすことを強要するハンドル位置、フォワードコントロール気味にセットされたステップから、ライディングポジションはやや『つの字』状態となる。
そしてスロットルをひねると溢れんばかりの強烈なトルクを得ることができる。特に3つ用意されたライディングモードをスポーツにセットすると過激な味付けがされており、開発陣の好みが分かる。空冷ツインエンジンは鼓動感がありながらもスムーズな回転上昇を見せてくれ、エンジンマネジメントのバランスに秀逸さを感じられた。
コーナリングでは多少のクセがあり、リアステアというよりも、どちらかというとフロント依存が高いセッティングなので、その点を頭に入れておきしっかりと入力をすると、ぐいぐいと旋回してくれる。このバイクはスポーツモデルだ。ふんぞり返って流すのではなく、上体をフロントカウル内に近づけるようにしっかりと伏せて走らせると、それこそ戦闘機を操縦しているかのような気分を味わうことができる。
価格は328万円から。スタイリング、性能、そしてライバルのことを考えると妥当な値付けだと思う。