掲載日:2019年11月18日 フォトTOPICS
写真/増井 貴光 取材・文/小松 男
第三回 ロケーション活用編
【この記事の目次】
■LESSON 01 街中の雰囲気を活かした撮影!
■LESSON 02 山や海など自然を取り入れる!
■まとめ
一人一台クルマを所有するようになったと言われていた時代がありましたが、現在のスマートフォン事情で言うと、一人一機は当たり前で、中には2機、3機を使い分けているなんていう人も耳にするほど普及しました。そしてそれらのスマートフォンには、ほぼ必ずと言っていいほど「カメラ」機能が備わっています。昭和生まれ世代にとっては「写ルンです」や「チェキ」などによって、カメラを持ち歩く生活が身近になっていったことが懐かしいですが、令和となったいま、地球上の人類ほとんどがカメラマンになってしまったと言っても過言ではないかもしれません。
そんなスマートフォンの中でもiPhoneのカメラ機能は格段な進化をし続けています。それも、これまでは内蔵されるCPU(コンピュータ)による部分が大きかったのですが、最近ではレンズ性能まで向上してきており、プロカメラマンも驚くような画像を写すことができるようになりました。現在のフラッグシップモデルにあたるiPhone 11 Pro maxでは、広角、超広角、望遠のデュアルカメラが搭載されており、様々な写真を撮影することができます。ベーシックモデルであるiPhone11でも広角と超広角のデュアルカメラを備えており、これまで以上に撮影の幅が広がっています。バイクと同じで、このようなハイスペックな機能を見ると思わず興味が湧いてしまいますね。
しかし、ここからのレクチャーではモデルを問わず、カッコよくバイク写真を撮れるテクニックをご紹介してゆくので、最新機種でなくとも大丈夫。操作に関してはiPhoneをベースとしますが、基本的にはアンドロイドOSでも共通の部分がほとんどですので、スマートフォンの機種に関係なく応用できるはずです。さて、三回目となる今回は「ロケーション活用編」です。
そもそもロケーションとは、「場所」を意味する言葉が元となっており、カメラマンの世界では野外撮影を指す言葉であり、よく「ロケ」と略されて言われています。ちなみにロケハンというのは、ロケーションハンティングのこと、つまり撮影場所を探すということです。なお野外のロケに対して室内で撮影を行うスタジオ撮影もあります。このロケーション探しというのは、とても重要なポイントであり、例えばインスタ映えするスポットなどと言われるものもロケーションの事を指している場合が多いのです。まずは好ロケーションを探す目や感覚を養うことが重要ですが、そこから先は、前回のレクチャーで紹介した構図を上手く取り入れて、ロケーションをさらに活かした撮影ができると思います。ここから先は、バイクライフにおいて日常的に遭遇するロケーションを使って素敵なワンカットを作り上げるヒントをお届けします。
徒歩とは違い、バイクで行ける場所と言うのは限られます。例えば断崖絶壁のギリギリまでバイクを持っていくことなどは非日常的なことです。なので、私たちが常日頃遭遇しているシーンの中に、バイクを置き、素敵な写真を撮ることをイメージしなければなりません。
懐かしい雰囲気が残る商店街:この2枚の写真は、どちらもほぼ同じ場所で撮影しています。まっすぐに続く道を活かしつつ消失点構図を用い、そこに懐かしい商店街の雰囲気を取り入れたものになります。被写体はもちろんバイクなのですが、昔ながらの街並みの中に佇むバイクを浮かび上がらせるといった写真に仕上がっています。海外の街並みなどだとまた違った雰囲気となりますが、このように日本らしさを上手く引き出すのもロケーション撮影テクニックのひとつとなります。
神社へと続く参道の一角でのカット。道の感じが手前の参道と奥の商店街が異なることや、昔ながらの街並みを取り入れた縦位置のカットとなります。なお、そこに置くバイクの車種とのバランスと言うのも重要です。例えば写真の場所に大型クルーザーがあると、また違ったイメージの写真となるでしょう。自分のバイクに似合う場所探しというのもロケーション撮影ではポイントとなってくるのです。
これは若干アンダー気味(暗い)にしたカットと、露出を上げてオーバー気味(明るく)に撮ったカットです。同じ構図なのに、異なる印象となっていますね。露出は画像補正アプリなどを使い、後からでもある程度補正することができるのですが、できれば練習や感覚を養うことも踏まえて、撮影時にしっかりと決めるといいでしょう。
街中での撮影と言うのは、人工物の中にバイクを置いて写真を撮るということになります。ここからは逆に大自然を上手く活かしたロケーションを探してみましょう。例えばツーリング先で出会う素敵な景色や、これまで見たこともなかったような道など、それら経験の中にバイクを添えることができれば、より特別な経験になるのかもしれませんが、ツーリングで最終的に出会う絶景は、バイクをパーキングにとめてから徒歩でしか行けない場合なども多いので、諦めがちになってしまいます。そこは逆にロケーションを利用したテクニックを駆使することで、日常的に遭遇している自然環境を、より一層魅力的な写真にすることができるのです。
作品例として撮影したのは、山並みを広く取り入れたカットです。iPhoneのレンズは写る範囲が広い広角なので、このように広々と風景を取り入れた写真を撮るのに適しています。バイクが置かれている場所が、未舗装路だということも効いています。前回のレクチャーにて説明した構図的には、バイクが置かれている手前の道、奥に連なる山々、そして大きく広がる空という、三分割構図を取り入れているといえます。
実はこのロケーションは、都心から1時間ほどで行ける場所なのですが、ちょっと気を使って撮影するだけで、こんなにも旅情感のある一枚にすることができます。
先ほどの写真は被写体であるバイクから離れ、景色を広く写したカットでしたが、こちらの作例はバイクに近寄りながらローアングルで収めた写真となります。バイクそのものを主張させながら、周囲に草木が生い茂るというイメージを作り出すことで、ワイルドなライブ感を演出しています。同じ場所であっても、撮り方や構図を変えるだけで、異なる印象の写真を撮ることができるのです。
上のふたつの作品例では、どちらも、どこまでも続くキャベツ畑というロケーションを活かしています。ただし、縦位置の写真では手前のキャベツとバイクを被写体として浮かび上がらせているのに対し、もう一枚の方は、バイクは手前でボカすようにし、奥に広がるキャベツ畑をメインに写したカットとなっています。どちらも同じロケーションであっても、撮り方を変えるだけで、これほどまでに違う印象とすることができるのです。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!