掲載日:2014年04月07日 フォトTOPICS
取材・文/和歌山 利宏 写真/富樫 秀明
『125DUKE』は最高出力が15psで「もっとパワーを!」と、無心にパワーを引き出しながら楽しむことができる。意外にも『200DUKE』や『390DUKE』と共通の車体に対して、エンジンが負けているという印象はない。ロードスポーツとしてはサスペンションストロークが大きめで、姿勢変化を生かした走りはデュークらしい。
3月11日(火)千葉県の『袖ヶ浦フォレストレースウェイ』で、KTMジャパンによるメディア向けに試乗会が開催されました。揃えられた車両は現行のKTM全モデルで、それもサーキットでのオンロードモデルだけでなく、林道コースではオフロードモデル、さらに4輪スポーツカーの『X-BOW』(クロスボー)まで用意され、パドックではエクストリームショーが開催されるなど充実した内容でした。
サーキット試乗を通じてあらためて実感させられたのは、全てのモデルにKTMのポリシーである“Ready to Race”が浸透しているということ。サーキット向きではないアドベンチャーさえも、無心にコースを攻略しようという気にさせられるほどです。もちろん、それ以前に“使える”ことが大前提にあます。そうしたマシンを目一杯走らせることに、独自の面白さを見出すことができたのでした。
実際に乗って、走って感じたそれぞれのモデルキャラクターについて、簡単にご紹介していきましょう。
01『200DUKE』は排気量が200ccとなり、26psを発揮してくれると125ほどのアンダーパワー感はない。この差は特に公道で大きいはずだ。ライディングポジションは125や390とも同じで、他のデュークシリーズよりもハンドルが高めで狭く、一般的なストリートバイクに近い。
02長兄の『390DUKE』も車体の基本は125や200と変わらないが、サスペンションはダンピングの効いた高グレードなセッティングになっており、タイヤもメッツラーのスポルテックMSを装着。走りはワンランク上の次元だ。44psは楽しむに十分。それでいてパワーに怖気づくこともない。車体とエンジンのコンビネーションも抜群だ。
03『200DUKE』 “スモールデューク”シリーズは一見で機種を識別しにくい。基本ディメンジョンも同じだけに、125としては大柄である。200も含めABSを標準装備しており、その点でもハイグレードだ。
04『200DUKE』 基本ディメンジョンは同じでも、厳密に言うと、2次減速比の違いにより、この200だけホイールベースが17mm短い。国内では軽二輪として扱われ、高速道路に乗り入れることもできる。
05『390DUKE』 基本こそ125や200と同じでも、排気量を限界まで高めるため、クランクケースにも手が入れられ、クラッチを大径化。エンジンが大きいことに対してフレームやマフラーに“逃がし”を設けるなど、それなりの苦労が垣間見られる。車重も200より10kg重い。
06『690DUKE R』は『690DUKE』の上級仕様で、走りはモタード系に近い印象。姿勢変化を生かすことが大切だ。前後サスペンションストロークは135mmと決して大きくないが、そのストロークを有効に使うよう設定されているようだ。Rはセッティングが固めで、サーキットで走りやすい。突込みでの荷重を逃がさず、リアに荷重していくメリハリが必要。
07『1290 SUPERDUKE R』は、コーナーで4,000rpmから繋がるトルクフルさで、6,000rpm、3速でも8,000rpmでフロントが浮く。速く走ろうと頑張るよりも遊んでしまったほうが楽しめる。スーパースポーツではなく、究極のストリートスポーツだ。獰猛な一方、低回転低開度でのレスポンスは優しく、従順でもある。
08最高出力180psというスーパースポーツ並みの動力性能を誇る1290 SUPERDUKE Rだが、速く走ることが目的ならRC8Rのように、前後サスペンションストロークが120mm程度で、トルク特性も高回転に向かってスムーズに立ち上がるほうが好ましい。でもこれはストローク125/156mmと大きく、怒涛の中速トルクを発揮する。ホットに楽しむことが心情のマシンなのだ。
09『1190 RC8R』は、個性的なKTMモデルからすると純粋なスーパースポーツという印象だ。でも、熱くなるのではなく、一歩引いてマシンを冷静に見ることができる。その意味で、レーシングレプリカではなく、多くの人が楽しめるスーパースポーツなのである。
10KTMが造ったスポーツカーである『X-BOW』(クロスボー)は、それはもうエキサイティングな乗り物。“Ready to Race”のKTMだけに、公道を走るF-1マシンと言ってもいい。車重790kgにして最高出力240psの加速は、これまで経験したことのない瞬発力だ。 KTMが何たるかを4輪で表現したイメージリーダーというところだろうか。
11125DUKEを使ってのエクストリームショー。「125でもあんなことできるの?」と驚き、「だったら俺にもできそう」と思うが、すぐにそんな想いは心の中で打ち消した。
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