【2012 マン島TTレース】 第9回 60kmの難コースに挑む圧倒的な迫力のサイドカーレース

掲載日:2012年08月10日 フォトTOPICS    

取材・写真・文/小林 ゆき
取材協力/マン島TTレース公式サイト

現役選手で2番目の、そしてサイドカードライバーとしては最多勝利を誇る地元マン島のデイブ・モリニュー。満を持して復活した2012年の TT で見事優勝を遂げました。

世界最長にして難攻不落のマウンテンコース
マン島TTレースはサイドカーレースの聖地でもある

現在、ヨーロッパラウンドのみ世界選手権が行われているサイドカーのロードレース。マン島 TT レースにおけるサイドカーレースの歴史は古く、1923年から 500cc サイドカークラスが始まりました。現在のサイドカー TT は、まったく同じエントリーリストをもとに、土曜日にサイドカーAレース、水曜日にサイドカーBレースの2回レースが行われています。

コースの長さ、難しさ、サイドカーゆえの大きさや音、ドライビングスタイルから来る迫力、観客との距離などを含め、選手にも観戦客にも人気のクラスとなっています。

黎明期のサイドカーレースは1925年までで一旦終了するのですが、1954年から再開され、1959年までは短いクリプスコースで、1960年からマウンテンコースに戻りました。1968年からは排気量が 750cc に、1975年からは 1,000cc に、そして1984年からは F2 レギュレーションの 600cc で競われています。

1975年までは BMW のエンジンが圧倒的に強かったのですが、エンジンの4気筒化とともに1997年まではヤマハ、そして現在ではホンダのエンジンが優勢となっています。

今回はサイドカー TT と、前座レースのプレ TT クラシックのサイドカークラスの模様を紹介することにいたしましょう。

フォトTOPICS(写真点数/24枚)

01TT の前座レース、プレ TT クラシックのサイドカーレースは、1960年代のマシンが中心なので、昔ながらの BMW サイドカーのエントリーが多いです。

02プレ TT クラシックのサイドカーレースは、ライディングスタイルも昔ながらで、パッセンジャーはローリー・フリーのフライングライドのようなスタイルで直線加速を狙います。

03サイドカーレースをやっている影響や長期の日程ということもあってか、マン島 TT の観戦客はサイドカーで訪れる人も多いです。マン島行きのフェリーにはサイドカー料金もあるんですよ。

04ド迫力の VMAX サイドカー。ダグラスの街中で見かけました。タンデムシートの上にはキャリアが装備されていますから、サイドカーは荷物置き場ではなく、パッセンジャーの人か犬と一緒にツーリングしていると思われます。

05プラクティスの出走を待つサイドカーたち。これだけの大きさがあるフェアリングはカラフルにペイントされ、緑に覆われたマン島の風景の中でも目立つ存在です。

06車検のためフェアリングが外されたサイドカー。フレームはアルミ製が主流です。

07こちらのマシンはレーシングサイドカーのフレームメーカー LCR 製のフレームを採用しています。

08フレームは載せているエンジンによっても微妙に異なります。前の2台と見比べてみてください。

09フロントフェアリングだけ外した状態だとこんな感じ。どうやってリアブレーキやシフトペダルを操作するのか不思議なくらい窮屈なドライバーシートですね。

10ヘルメットを外したらこんな感じ。このチーム、毎年全員がモヒカンでキメて来る名物チームです。

11真ん中の女性パッセンジャーは、現在でも現役を続ける伝説のドライバー、ロイ・ハンクス選手の娘さんでジュリー・ハンクス=エリオット選手。双子のママでもあります。

12昨年、一昨年のサイドカー TT の覇者で、世界選手権チャンピオンでもあるクラウス・クラフェンボック選手のチーム。今年はシートを後進に譲り、Aレースでは2位、Bレースでは3位を獲得しました。

13なんと! 1970年から出場し続けているエディ・キフ選手。おそらくお歳は70歳を軽く越えているはず。今年もパッセンジャーで出場し、Bレースで28位完走を果たしました。

14杖を付き、片足は手術後のトラスフレームが刺さっている状態でピットロードに現れたのは2005年、2006年、2008年の覇者、ニック・クロウ氏。2009年のクラッシュで片腕を失いましたが、現在はサイドカーチームを運営、監督を務めています。

15プラクティスでコースインするマシンたち。自動車レースのようなスキッド音が鳴り響きます。

16レース直前、パドックに待機するサイドカーたち。エントリーは55台ですが完走は30台弱。直線の長い TT コースに 600cc だと高回転の時間が長く、エンジンが壊れてしまうことが多いようです。

17マン島 TT 名物、バラフブリッジでのジャンプ。サイドカーだってジャンプするんです。

18CG ではございません。本当にサイドカーもまるでフライングカーペットのようにバラフブリッジでジャンプするんです。

19美しいラムジー湾と丘を切り開くワインディングロード。一見、のどかな光景ですが、かなり遠くからエキゾーストノートが響き渡り、グースネックコーナーに向かってサイドカーが走ってきています。

20Bレースで2位表彰台を獲得したティム・リーブスチーム。レースウィーク中にパッセンジャーをダン・セイルに変更しての結果です。

21パッセンジャーが支えにするものが、いかに少ないかが分かるショット。掴むバーはいくつか装備されていますが、足元は爪先を引っかける程度の突起のみです。

22別の角度からもう一度。パッセンジャーは前後左右に自分の体重を移動しコーナリングや直線加速、ブレーキングをドライバーの操作と一体となって行います。

23サイドカーはバイクに比べて車体が大きいので抜きどころが難しいのですが、うまいことスパっと抜いたときの迫力は、2輪レースにはない醍醐味です。

24中にはこんなスタイルでコーナリングするパッセンジャーも。マン島 TT の名物コーナー、クレッグニバーにて。

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