“コカ・コーラ ゼロ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第35回大会(2012年)

掲載日:2012年08月07日 フォトTOPICS    

写真・文/淺倉 恵介  取材協力/鈴鹿サーキット

スタートは例年通り午前11時30分。ホールショットを獲得したのは3番グリッドから絶妙なスタートを決めたゼッケン12 『YOSHIMURA SUZUKI RACING TEAM』 のジョシュ・ウォーターズ選手。マシンはスズキ GSX-R1000 です。

真夏のビッグイベント “鈴鹿8耐”
第35回の節目に大会を制したのは…

日本のモーターサイクル文化を語る上で欠かすことのできない夏のビッグイベント “8耐” こと 『2012 FIM 世界耐久選手権シリーズ “コカ・コーラゼロ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第35回大会』 が、2012年7月26日~29日の期間で開催されました。メインイベントである8耐の決勝レースが行われたのは7月29日。昨年は東日本大震災の影響を受け、例年より1時間早いスタート&ゴールとなりましたが、今年はもとの通り、午前11時30分にレース開始。58台のマシンがグリッドから勢い良く飛び出していきました。熱く、長い8時間を戦い抜き、見事優勝を果たしたのはゼッケン11 『F.C.C. TSR Honda』。2年連続参戦、3回目の優勝となる同チームは、もはや8耐の顔とも呼べる存在でしょう。

8耐は今年で35回目の開催となり、そのメモリアルイヤーを記念して様々なイベントも開催されました。中でも人気を集めていたのが、前夜祭で行われた、8耐を彩ってきた名ライダーによるトークショーです。国内からは平忠彦氏、辻本聡氏、伊藤真一氏。海外からはミック・ドゥーハン氏を招いてのトークショーは、グランドスタンドが満員になる盛況ぶりでした。GP スクエアで行われていた歴代8耐参戦マシンの展示も、多くの来場者で賑わっていました。今年の前夜祭には芸能人などのステージもなく、地味に感じる向きもあったかもしれませんが、その分、純粋なモータースポーツファン、バイクファンが集まる、素晴らしいイベントとなりました。

フォトTOPICS(写真点数/36枚)

01耐久レースのスタートといえば、やはりル・マン式。サイティングラップを終えたライダーは一旦マシンを降り、コースの反対側で控えます。そして、スタートの合図と同時にマシンに駆け寄り、走り出すのです。

02レースの序盤を盛り上げたのがこの3台。ゼッケン12 『YOSHIMURA SUZUKI RACING TEAM』、ゼッケン364 『MuSASHI RT HARC-PRO』、ゼッケン7 『MONSTER ENERGY YAMAHA-YART』。目まぐるしく順位を入れ替え、観客を沸かせました。

03ゼッケン7 『MONSTER ENERGY YAMAHA-YART』 の中須賀選手は、YZF-R1 を駆りトップ10トライアルで2分6秒8という驚異的なタイムを記録。ヤマハ車としては12年ぶりとなるポールポジションを獲得しました。レースも序盤から飛ばしに飛ばしてトップに立ちましたが、18周目に 130R で転倒。レースには復帰しましたが、最終的にはリタイアに終わりました。

04本サイト原付ライドのコンテンツ「押忍!競争部」でお馴染みの青木宣篤さんは、ゼッケン12 『YOSHIMURA SUZUKI RACING TEAM』 の第3ライダーとしてエントリー。気さくな “ノブアツさん” から、“レーサー青木宣篤” にモードチェンジ、未だ一線級の走りを披露してくれました。

05BMW Motorrad S1000RR で参戦のゼッケン99 『BMW MOTORADD FRANCE 99』は、一時は2位を走る快進撃で表彰台も期待されましたが、最終ライダーへ交代した直後にマシントラブル発生。そのまま走り切りましたが、残念ながら(それでも)9位という結果に終わりました。

06ゼッケン104 『TOHO Racing with MORIWAKI』 は、全日本で活躍する山口辰也選手、手島雄介選手に加え、今シーズンのモトGP moto2 クラス参戦中の高橋裕紀選手という布陣でチームを結成。CBR1000RR でハイペースのレースを走り切り、見事2位入賞を果たしました。

078耐ではだいたい1時間に1回のライダー交代が行われ、同時に前後タイヤ交換、燃料の補給が行われます。ピット作業は早いチームで十数秒、遅いチームでも30秒程度かかります。ピット作業で失われたタイムを走りで取り戻すのはとても大変ですから、どのチームも必死で作業を行います。

08ピット作業はピットロード上で行われますが、決められた占有区画が存在するわけではありません。チーム同士で譲り合って作業位置を確保するのですが、ピットインのタイミングが重なると、隣り合ったチームが同時に作業するというような難しい状況も生まれるのです。

09真夏に行われる8耐は、エントラントだけでなく観客にとっても過酷です。屋根のないスタンド席の暑さは、体感温度で40度を超えます。

10姉妹サイト 【Virgin-BMW Motorrad.com】でコラム「S1000RRで勝ちにいく!」連載中の戸田 隆選手は、ゼッケン135 『Team Tras』 から全日本ロードレース選手権で使用しているのと同じ BMW Motorrad S1000RR でエントリー。戸田選手のコラムでは8耐のインサイドレポートを掲載予定。

11ゼッケン5 『TEAM SUGAI RACING JAPAN with HOKKAIDO SABEDER』 はドゥカティのニューモデル 1199 パニガーレで参戦。まだ国内には正式導入されていない車種だけに、大きな注目を集めていました。レース結果も12位と好成績を収めました。

12ゼッケン096 『熊本ライダーズベース & くまモン』 は、チーム名にある通り熊本のゆるキャラ「くまモン」とコラボレーション。かわいらしい「くまモン」が描かれたマシンは注目を集めていました。

13「世界最長のスプリントレース」とも称される8耐だけに、耐久レースらしからぬ激しいバトルがコース上のいたるところで展開されます。絵に描いたような「サイド・バイ・サイド」状態を見せているのは、ゼッケン2 『TEAM R2CL』 とゼッケン99 『BMW MOTORADD FRANCE99』で、ともにフランスからやってきた、世界耐久選手権参戦チームです。

14限界まで攻め込むために転倒するライダーも後を絶ちません。8耐は過酷なレースなのです。

15転倒でマシンが破損しても、ピットに帰り着ければレース復帰の可能性はあります。ただし、それは人の手を借りずにライダー自らが押して戻らねばならないのです。炎天下、重いバイクを押すのは重労働という言葉では済ませられません。ライダーは傷ついた身体とマシンを引きずりながら、完走するためにピットを目指すのです。

16補修された燃料タンクに落書きを見つけました。「無事に帰ってきてほしい」それはチーム全員の偽らざる祈りの言葉なのでしょう。

17世界耐久選手権シリーズ参戦チームは、さすが耐久レースのプロフェッショナル。ピット作業は迅速かつ確実、フロントスタンドも人力ではなく、エアジャッキを用意していました。

18ライダーとピットの間で無線通信が禁止されているバイクのレースでは、ライダーへの情報伝達手段はピットボードしかありません。ラップタイムやライバルとのビハインド、ピットインのタイミングなどが、ピットサインを通じてライダーへと送られます。

19レースも残り時間1時間を切ったころ。サーキットにも夕暮れが訪れ、ライトオンのサインが出されます。いよいよ夜間走行の時間帯。これは耐久レースならではの世界です。

20各車ヘッドライトを点灯。光の尾をたなびかせながらサーキットを駆け抜けます。暴力的なエキゾーストノートと、幻想的なライトオンの走り。対照的なふたつの要素が絡まり合い、印象的な風景を描き出しています。これも8耐の魅力のひとつです。

21灼熱の8時間を戦い抜き、堂々の勝利を収めたのはゼッケン11 『F.C.C. TSR Honda』。日本最速の男 “韋駄天” 秋吉耕佑選手を擁する同チームは、2年連続参戦、3回目の優勝。「やっぱり強い」と周囲を納得させる、貫禄の勝利でした。

22ゴール後は敵味方の分け隔てなく、全てのライダー、チームが互いの健闘を讃え合います。モータースポーツの素晴らしさを実感させてくれるシーンです。

23レースが終了すると、恒例の花火が打上げられます。長く、熱い1日を共に過ごした空間が、鈴鹿サーキットを静かに満たしていく瞬間です。

24日本最大のモーターサイクルのお祭りである8耐は、来場者の多さもナンバー1です。ピットウォークの混雑ぶりもこの有様です。

25ピットウォークで人気なのは何と言ってもキャンギャル。暑い鈴鹿に爽やかな風を送り込んでくれる存在です。今年も1番人気はエヴァンゲリオン・ギャルだったようです。

268耐決勝前日には前夜祭が開催、こちらも多くのバイクファンがかけつけました。鈴鹿市内を周り、鈴鹿サーキットでゴールを迎える「バイクであいたいパレード」も大盛況です。

27前夜祭で最も注目度が高かったのが、これまでの8耐を盛り上げてきた名ライダーによるトークショー。平忠彦氏とミック・ドゥーハン氏、辻本聡氏と伊藤真一氏という組み合わせで、ここでしか聞けないような特ダネも飛び出したとか。

28ナイトピットウォークでは、マシンの展示やキャンギャルによるデモンストレーション、ピット作業の練習などが披露され、見応えたっぷりでした。

29GP スクエアに設けられたメインステージでは様々なイベントが展開され、多くの来場者を楽しませていました。

30特設ブースでは歴代8耐マシンが特別展示されていました。新旧多くの名車が一同に介する機会はそうそうありません。メカ好きにはたまらない展示でした。

31決勝レース前には8耐で記憶に残る活躍を見せた名車によるデモランも行われました。ライダーは前夜祭でトークショーを披露した皆さんです。

328耐では恒例となった「見て」「参加して」「楽しむ」イベント “MOTO MAX” が開催され、バイクメーカーやパーツ・用品メーカーのブースが軒を並べ、多くの人で賑わっていました。

33MOTO MAX の看板イベントのひとつが試乗会です。国産車、外車の最新モデルに加え、歴史的名車やカスタムバイクまで試乗可能な、ユニークな試乗会です。これだけでも参加する価値ありです。

34試乗会は先導付きなので安心して参加できます。様々なマシンに直接触れることができる、またとない機会です。

358耐決勝前日にはアマチュアレーサーの甲子園 『鈴鹿サンデーロードレース 鈴鹿4時間耐久ロードレース 』 が開催されました。優勝はマレーシアから参戦のゼッケン25 『Boon Siew Honda Racing Malaysia』で、昨年に引き続き2連勝を果たしました。

36“4耐” には流行の兆しをみせる “痛バイク” レーサーも参戦。美麗なペイントで注目度はトップクラスでした。

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