掲載日:2024年06月11日 プロが造るカスタム
取材協力/GOTTY 取材・写真・文/ガスグラフィックス
スーパースポーツといった突出したカテゴリーだけではなく、総合バイクメーカーとしてオールジャンルの車種を展開し始めた過渡期に、ドゥカティ ハイパーモタードは誕生した。「モタード」と呼ばれるジャンルは、オンロードとオフロードを混合したコースを戦うレースが起源。ダートやジャンプセクションもあるため、オフロードバイクをベースとすることが前提とされていた。しかし、ドゥカティは、レースユースではなく、あくまでもストリートユースを想定して開発をスタート。その結果が、オンロードモデルをベースとした独自路線の「ハイパーモタード」の誕生に繋がったのだ。
ここに紹介する車両は、2011年式の「ハイパーモタード796」だ。2007年に量産が開始された「ハイパーモタード1100」に続く、同シリーズの第2弾として、2009年に空冷803ccのLツイン=デスモデュエを搭載したモデルである。現在、新車としてラインナップされている「ハイパーモタード698モノ」は、排気量659ccの単気筒=スーパークアロド・モノを搭載。こちらは本来の「モタード」として求められる性能を追求したモデルだけに、同名シリーズながらも、完全にカテゴリーは別モノだ。しかし、大阪にあるGOTTY(ゴッティ)が手掛けたこの1台は、正にこの本来のあるべき姿をイメージしたライトカスタムとなる。
注目したいのは、その車体構成だ。ノーマルの大柄な雰囲気から一転、オフロード車を基軸としたような外観に変貌している。サスペンションやホイールなどの足回りなどは全て純正のままで、シートレールのカットと共にリアフェンダー周りをワンオフにて製作。またフレームもメイン部とシートレール部で塗り分けることで、軽快感を演出しているのだ。エキパイをワンオフすることで、フレームに沿うように取り回したサイレンサー。シート形状はそのままに、ライダー側のみローダウン化。ハンドルも適度な広さを持つファットバーに変更。さらにバックステップやカーボン外装パーツを追加することで、ノーマルから一変させることに成功した。
しかも、GOTTYは「ハイパーモタード698モノ」が登場する以前に、すでにこの車両を製作している。つまり、メーカーが「モタード」の原点回帰を目論んでいる間に、すでにユーザー目線でこのアイデアを実現していたことになる。ビッグスクーターカスタムが中心の同店だが、どれだけ幅広い視野を持ち先見の明があるか。その証明が、この1台に集約されているのだ。
シートレールをカットしつつ、リアフェンダーは某車外装を流用加工してフィッティング。形状やサイズ感など、まるでこの車両専用で作られたかのような絶妙な一体感を生み出した。
リア周りの演出でもうひとつ注目したいのが、シートレール部の塗り分けだ。レッドのメインフレームに対して、シートや外装類に色味を合わせてブラックアウトすることで、目立たなくしている。そのシートフレームに合わせてセットしたマフラーも、オフロード車のような雰囲気を獲得した大きな要因だ。
元々はブラックだったホイールを、メインフレームと同色に塗り分け。最新車「ハイパーモタード698モノRVEで同様のデザインが採用されているが、この車両が登場する以前にこのアイデアを取り入れていた。前後サスペンションはノーマルのままだが、フロントのオイル粘度を変更済み。
ハンドルはZETAのファットバーを採用。ノーマルではハンドル一体型ミラーが採用されていたが、幅広に見えるなど求める雰囲気に合わないため、あえて通常のポストタイプミラーを採用している。
ステップはリゾマを採用しバックステップ化。ステップ周りやハンドルポストのパーツをセラコートで施工することで、使用に対しての耐久性を向上させつつ、車体全体での色味の一体感も生み出している。
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