掲載日:2020年02月09日 プロが造るカスタム
取材協力/テクニカルガレージRUN記事提供/ロードライダー編集部 ※この記事はロードライダー特別編集『ザ・カスタムマシン2018』に掲載された内容を再編集したものです。
ノーマルの素性の良さを伸ばし、ひとまわり、ふたまわり上でバランスを取る。操作系のタッチ、ブレーキのタッチと効力、サスペンションの作動フィールなど、すべてを上質なものとする。ライフやメンテナンス性はノーマルと同等レベルであることを原則とするが、ノーマルよりもライフ、メンテナンスサイクルが短くなる場合は、あらかじめ性能とのトレードオフであることを説明し、その上でフォローする。
テクニカルガレージRUNのカスタムに対する基本姿勢をごく簡潔に説明するなら、こんな感じだろうか。代表・杉本さんと対話していく過程が面白いと感じる人も多く、そうやって同店にハマっていく人も多い。そして、その内容はいつもヘビーカスタムであるとは限らない。
「オーナーさんはYZF-R1のコンプリートカスタムに乗っていた方で、峠で転倒して全損になってしまったんです。それで次のバイクは何にしましょうかという話になったんですが、そのとき出てきたのが『ポジションが厳しくなってきたのでレプリカ系以外がいい』『ときには奥さんを後ろに乗せてタンデム走行したい』『でも速いバイクじゃなきゃダメ』という条件だったんですね(笑)。
で、いろいろ考えた結果、MT-10SPで行こうということになりました。じつはMT-10をベースにして足まわりをカスタム、という方向でまとまりかけたんですが、MT-10SPの電子制御サスを体感してみるのも悪くないだろうと。どうしても合わないということであれば、電子制御のない足まわりで組み直すこともできますし」(同店代表・杉本さん)
こうして今回のテーマは『ノーマルの素性の良さを味わう』『段階的にモディファイし、変わっていく過程も楽しむ』に決定。その第1弾として手を入れたのが、この仕様だ。現状で手が入っているのはマフラー、ステップキット、ブレーキマスター、クラッチホルダー、フェンダーレス装着程度と超ライトなのだが、納車前には数百kmにおよぶ実走テストを行い、セッティングを詰めたという。
「オーナーさんは何千km乗っても構わないと言ってくださったんですが、こっちもプロなので(笑)。おかげでECU、電子制御の足まわりともセッティングはバッチリです。モードも街乗り用、スポーツ走行用、タンデム用と3種類くらい作り込むことができました。ウチがやるからには、これくらいはやっときたいよね、という仕様です。最近のバイクはイジるところがなくてつまらない、なんていう声もよく聞きますけど、実際イジってみるとそんなことないですし、伸びしろもある。それに速い。まさに新世界で面白いですよ」(同)
エンジンはSTDだが、ECUのデータ変更などを行いフルパワー化。
マフラーはアクラポヴィッチRC。サイレンサー形状、エンド部分のデザイン処理などもMT-10とよくマッチしている。杉本さんいわく「乗ったフィーリングはR1とは別モノ。そして超速い。単なるR1のネイキッド版じゃないことは、乗ってみれば分かります」とのこと。
3.50-17/6.00-17サイズの5本スポークホイール、MOS・4Pキャリパーなどは現状ノーマル。
MT-10SPの純正サスペンションはオーリンズ製電子制御。実走テストにより入念なセットアップを施してあるが、どうしてもフィーリングに合わない場合は、電子制御なしのサスペンションで改めて組み直すことも視野に入っているとのこと。
アルミ削り出しによるステップはRUNオリジナル品を使っている。
特徴的なフロントマスクやキャリパー/ディスクはSTDだが、フロントのブレーキのマスターシリンダーのみブレンボラジアル(レーシング)に変更。
合わせてクラッチ側も操作感を向上させるためにホルダーの変更(ゲイルスピード)などを行っている。
オーナーは元々同店コンプリートカスタムに乗っていたということもあり、ブレーキに関してはよりハイグレードなものに変更しようという話が既に出ている、と杉本さん。上質なブレーキタッチは一度味わうと癖になる。知ってしまったがゆえの悩みといったところだろう。
リヤまわりはフェンダーレス化してすっきりとした外観に。
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