
掲載日:2011年07月13日 プロが造るカスタム
カワサキZのカスタムでリヤに180サイズタイヤ(STDは3.25-19/4.00-18で、メトリック表示換算すると100/90-19・110/90-18あたりになる。都合7cm、1.6倍以上の幅アップ=ワイド化となるわけだ)を履かせるなら、フレームと一体化しているタンデムステップブラケットのカット、タイヤ幅増に合わせた内幅を持つスイングアームへの交換、スイングアームピボット内側チェーンライン加工(スイングアームに合わせた同ピボットだから、タイヤがワイド化してチェーンラインを外側にオフセットするのだから、これも当然)をセットで行うものと、大筋が決まっている。と言うより、このようにしないと物理的に組むことが不可能なのだ。
だが、この車両はリヤに180/55-18サイズタイヤを履いていながら、先のタンデムステップブラケットまわりフレームカットも行わず、マフラーもZ1-STDの4本出しのままという1台。いったいどんなワザが使われているというのか。
「初期のAMAスーパーバイク('77年まではマフラーもストックシェルのまま使うこと、というレギュレーション)をイメージして、なおかつ日常の足にも使えるというコンセプトで作りました。足まわりは3回作り直して、ようやく完成したんですよ」(笑)。こう語るのは、作業を手がけたボイスジャパンの杉森さん。
気になる作業の内容だが、まずスイングアームは4.5インチ幅リム用のワンオフ品を用意。これの内側を切り抜いて5.5インチ幅のリムが入るようにした上でハニカム状の補強を追加。一方、フレーム側はタンデムステップ用ステーを左右20mmずつ広げ、それでもスイングアームに干渉する部分をスライス加工した上で補強。さらにマフラー取り付け部にカラーを入れ、サイドスタンドステーも8mm外側に出す(マフラー側のストッパーに位置を合わせるため)などして、文字どおりミリ単位でクリアランスを確保したのだ。
ちなみにエンジンはウェブ430カム&アウター→インナーシムの903→1105ccで後軸出力は130psをオーバー(エンジン単体では145psくらいか)しているとのこと。基本に必要なことを考えた上で加工そのものを工夫してワイド化をクリアし、さらにさりげない外観に秘められた、超絶加工とビッグパワー。このアンバランスが魅力の1台となっている。
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