PMC / Z1 カスタム写真
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カワサキ Z1

掲載日:2011年01月12日 プロが造るカスタム    

Zカスタムの可能性を大きく広げた
パーツメーカーからの提案

PMC / Z1 カスタム写真
「今はZに取っては一番いい時代かもしれない」と多くのカスタム/Z系ショップからの声を聞く。それはなぜか。いくら名車と言えども、後の時代に乗るためには、まず元になる車両がないことには話が始まらないし、それを乗り続ける、あるいはカスタムしてアップデートを図るといった場合には、前者ならレストアに使えるパーツがほしいし、後者にしても同様にまずはレストア、それからベース車に合うカスタムパーツがほしい。それが潤沢にあるのが今の時代で、Zの現役当時のスタイルから、今のバイクのエッセンスを注ぎ込んだものまでいろいろな車両を作ることができるから、というのがその理由だ。

 

そのパーツにしても、はなから今のようにあったわけではない。1970年代はメーカー純正でさえ国内仕様ではカウル装着やオイルクーラーの装着は許されなかった。1980年代はZの時代が終わり、次々と出てくる新車群への注目は著しかったが、あえて前の年代の車両を振り返ってパーツを作ることはほとんどなかった。1980年代終盤にはまだある程度の純正パーツ供給があり、カスタムブームも起こってきたが、実はこの頃がパーツ的には一番苦しかったとも言える。

 

そんな状況が変わってきたのは、1990年代も中盤にさしかかる頃だった。規制緩和によって、安全性に留意した上でならアフターパーツの換装が行いやすくなったことも追い風になり、パーツ製作/装着がしやすくなった。また前述のブームの主力だった純正流用もいろいろな加工は必要だし、元になるZそのもののテイストを生かそうとすればノーマルライクなパーツが必要だが、それが少なかった。このことを解決しないことには、Zを後世に残せない。そう考えた複数の有力ショップが、リプロパーツの製作・販売に乗り出したタイミングにもなったのだ。

 

上の車両を製作したPMC('90年代前半は“プロダクトMカンパニー”として知られた)も、そうした有力ショップのひとつだ。代表・正本さんは'80年代からZをいじり、'90年代にはアメリカから多くのZを車両として国内に導入。その一方でワイセコやウエブカムを筆頭にした国内外のブランドを取り扱い、さらにカワサキZ系を中心としたオリジナルパーツも数多く開発・販売してきた。この車両は、その'90年代中盤の同社デモ車だ。

 

見て分かるようにフレームはいったん塗装を剥離してサンドブラストを行った後に、補強加工やステムベアリングのボール→テーパーローラー化を行い、硬質ウレタン焼付け塗装を実施。足まわりは、前後ホイールをスチール→アルミリム&ワイド化を行いつつ、ブレーキ系を一新。サスはリヤにはZ1000S1タイプ・スイングアームとオーリンズリヤショックをセット。フロントはフォークスプリングをプログレッシブ・サスペンション製に変更している。一方のエンジンは入念なオーバーホールを行うと同時にワイセコピストンで排気量を903→1197ccに拡大し、吸排気をFCRキャブ+モナカタイプマフラーにと変更。当然、ドライブチェーンの630→530へのサイズダウンも行われている。

 

こうして再生新車と言うべき状態となったZ1だが、単に自社の取り扱いパーツを装着しただけではなく、車両1台を通してさまざまなレストア/カスタムの手法も提示しているのが特徴。実際にPMCのカタログを見れば、例えばピストンなら前述の1197cc以外に1015ccや1105ccなどの選択肢があるし、スイングアームやブレーキにも異なる形や仕様があり、それが選べる。つまり、ひとつに限定するのではなく、多彩な遊び方を提示する。それが昔も今も変わらないPMCの姿勢であり、正本さんのZに対する愛情の表れと言えるだろう。そんな多彩な楽しみ方が提示された上でパーツが豊富に用意される。だからこそ、多くのショップが“今が一番……”と言うわけだ。

PMC(ピーエムシー) Z1の詳細写真は次のページにて

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