掲載日:2026年08月13日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/小松 男 衣装協力/Alpinestars Japan

HONDA REBEL 500
2017年4月、レブル250とともに登場したレブル500。ホンダが掲げたのは、シンプルでクールなスタイリング、軽量で取り回しやすい車体、そして扱いやすい出力特性だった。いわゆる大型クルーザーの「大きさ」や「重厚感」を楽しむのではなく、もっと日常に近いところでバイクそのものを楽しませようというのが、このモデルの狙いである。
それから9年が経った現在も、基本的なキャラクターはほとんど変わっていない。これは裏を返せば、そもそもの素性が良く、実際に多くのユーザーに受け入れられてきたことの証明でもある。

とはいえ、手を入れられていないわけではない。2020年には大きな仕様充実を実施している。ヘッドライト、ウインカー、テールランプをLED化したほか、ギアポジションインジケーターを追加。アシスト&スリッパークラッチを採用してクラッチ操作荷重を低減するとともに、前後サスペンションも見直された。2022年には令和2年排出ガス規制に適合し、2023年モデルとして発売された。そして現行モデルとなる2025年型では、ハンドル形状を変更してライディングポジションを最適化したほか、シート内部の素材も変更し、快適性を高めている。

つまりレブル500は、「登場以来ほとんど変わっていない」モデルなのではない。基本設計を変えるほどの問題がないからこそ、必要な部分だけを少しずつ磨き続けてきたモデルなのである。
レブル500を語るうえで外せないのが、そのサイズ感だ。
現行レブル250と500を並べると、ほとんど同じバイクに見える。それも当然で、全長2205mm、全幅810mm、全高1090mm、ホイールベース1490mm、シート高690mm、最小回転半径2.8mという主要寸法は共通。前後タイヤも130/90-16、150/80-16で同一。フレームもダイヤモンドタイプを採用している。
つまり、「500だから大きい」という先入観は、レブル500には当てはまらない。

もちろんエンジンはまったく別物だ。250が249ccの水冷単気筒であるのに対し、500は471ccの水冷DOHC4バルブ並列2気筒。最高出力は46PS、最大トルクは43Nmで、250の26PS/22Nmに対してトルクはほぼ2倍となる。そのぶん車重は191kgと、250の171kgに対して20kg重い。
ただし、この20kgを「重い」と感じさせにくいのが、レブル500のうまいところである。低いシート高とナローな車体によって、跨った瞬間から車体との距離が近い。足を着いた状態で車体を支えやすく、取り回しにも余計な力を要求されない。クルーザーとしてはもちろん、一般的な大型二輪として見ても、非常に扱いやすい部類に入る。

そして、この車体に組み合わされる471ccツインエンジンが、実にいい仕事をする。
最高出力46PSという数字だけを見れば、最近の大型二輪としては控えめに映るかもしれない。しかし、レブル500に求められているのは絶対的な速さではない。低中回転域で43Nmのトルクを活かし、早めにシフトアップして速度を乗せていく。その走らせ方が、このバイクにはよく似合っている。
もちろん、回せば高回転までしっかりと吹け上がる。単なる低回転型のクルーザーではなく、並列2気筒らしい伸びやかさも十分に楽しめる。

2020年の改良で採用されたアシスト&スリッパークラッチは、現在のモデルにもその熟成が受け継がれている。クラッチ操作は軽く、今回試乗していてもレバーの遊びが大きく感じられ、妙にE-Clutchモデルに近い感触すらあった。もちろん機構そのものは別物だが、クラッチ操作に神経質になる必要がないという意味では、レブルらしいライダーフレンドリーさを象徴する部分だろう。

もうひとつ忘れてはならないのが、カスタムベースとしての魅力である。シンプルなボディワークとブラックアウトされたパーツによって、手を入れる余地が大きい。純正アクセサリーも多数用意されており、2025年型ではETC車載器やグリップヒーターも純正アクセサリーとして設定された。
「完成されたバイク」でありながら、「自分仕様に変えていく楽しみ」も残されている。この二面性こそが、レブル500の強さといえる。
跨ってまず感じるのは、やはりポジションの良さだ。
シート高は690mm。しかも細身の車体であるため、数値以上に足つき性は良好だ。レブル250と基本的な車体寸法が共通していることからも分かるように、500だからといって「大型バイクに乗っている」という構えた感覚がほとんどない。これは大きなメリットである。
街中では、このサイズ感が非常にありがたい。バイクパーキングに入っていくときも、狭い場所で向きを変えるときも苦労しない。最小回転半径は2.8mで、車体を大きく振り回す必要がない。大型二輪区分でありながら、街中での使用にも抜群に馴染むのである。

ところが、走り始めると「やっぱり500だ」と思わせてくれる。
250も十分に走る。現在のレブル250は26PSを発揮し、車体とのバランスを考えれば決して非力なバイクではない。だが、長く大型二輪に乗ってきたようなライダーからすると、やはり「もう少し欲しい」と感じる瞬間があるのも事実だ。
その点、レブル500なら話が違う。スロットルを開けた瞬間のピックアップが素直で、そこからしっかりとトルクが路面へとつながっていく。猛烈な加速ではない。だが、欲しいときに欲しいだけ前へ出てくれる。この「足りている」感覚が実にいい。
低中速では、ギアをひとつ上げてトルクで走らせるのが心地よい。街中であれば、高回転まで引っ張る必要はほとんどない。それでも、ワインディングなどでスロットルを開けていけば、ツインらしく上まで気持ちよく回ってくれる。この両方を楽しめるのが、500ccという排気量の絶妙なところだろう。

そして、レブル250と同様に好みだったのが、素直なハンドリングである。
前130/90-16、後150/80-16という、小さめの径のファットタイヤの組み合わせは、いわゆるボバースタイルに通じるタイヤチョイスだ。この手の太いタイヤと寝かせ気味のフォーク角度を組み合わせたモデルは、往々にしてハンドリングに独特のクセを抱えやすい。切り込みの重さや、倒し込んでからの座りの悪さなど、ライダーを選ぶ挙動になりがちなジャンルでもある。
ところが、レブル500にはそうした癖がほとんど感じられない。ライダーが思った方向へ、車体がナチュラルにリーンしていく感覚は、レブルシリーズに共通する美点であり、それがレブル500のトータルバランスにもしっかりと生きている。数段ギアを落としてエンジンブレーキを使い、クラッチを軽くコントロールしながらハーフロック気味の状態を作って向きを変える。そうした操作にも素直についてくる。太いタイヤから想像するような鈍重さはない。

余談だが、今回のテストでは97.8kmを走って3.42Lを給油。満タン法では約28.6km/Lとなった。走り方や条件によって変化する数字ではあるが、471ccのツインを搭載した191kgの車体として考えれば、十分に現実的かつ良い燃費といえるもので、ランニングコストを低く抑えられるというメリットにも通じている。

以前乗ったときは、正直に言えば、レブル250やレブル1100と比べて印象が薄かった。250には「軽快さ」という分かりやすい個性があり、1100には「大型クルーザーならではの圧倒的なトルク」という分かりやすい魅力がある。その間にいる500は、どこか中途半端に感じていたのだ。
ところが、今回は違った。むしろ、これがベターなのではないかと思えてきた。
自分自身の乗り方が変わったのかもしれない。以前よりも絶対的なパワーを求めなくなった可能性もある。だが、それだけではない気もする。2017年の登場以来、レブル500は基本設計を大きく変えていない。しかし2020年にはクラッチやサスペンションを改良し、2025年にはハンドルとシートを見直している。見た目こそ大きく変わらなくても、こうした小さな熟成が着実に積み重なっているのだ。
何より、ライダーに対してフレンドリーである。大型二輪の免許を取ったばかりの人であれば、最初の一台として十分以上に楽しめる。250からステップアップする人であれば、車体サイズをほとんど変えずに、明確なトルクの余裕を手に入れられる。

逆に、リッターオーバーのバイクに乗り続けてきたベテランにもすすめたい。1100ccクラスの大トルクは確かに魅力的だが、毎回それが必要なわけではない。むしろ街中では、500ccくらいのほうがアクセルを開ける自由度が高く、バイクとの距離が近い。
そして、意外にもこのカテゴリーには、直接的なライバルと呼べる存在がほとんど見当たらない。
そんなレブル500には、現在、新たな展開の気配もある。2026年7月には、インド向けモデルでE-Clutch仕様が発表された。日本仕様への導入はまだ明らかになっていないが、レブル500が次のステージへ進む可能性を十分に感じさせる。
だからこそ、今のレブル500にも価値がある。新しいモデルが気になるのは当然だ。しかし、約10年間かけて磨かれてきた現行型は、いわば円熟期にある。奇をてらわず、必要なところだけを改良し、250では少し足りず、1100では少し大げさというライダーの間を、絶妙に埋めている。
大きすぎない。遅すぎない。重すぎない。けれど、決して物足りなくない。
レブル500。なるほど、今の自分にはこれが「ベター」なのかもしれない。

低回転域からのトルクフルな粘りと、高回転までなめらかに伸びる吹け上がりを両立させた水冷DOHC4バルブ並列2気筒471ccユニット。日常域でスロットルを開ける楽しさを重視しつつ、回転上昇に比例して力が乗ってくるフィーリングに仕上げられている。

φ41mmの正立フロントフォークはあえてワイドピッチに配置し、迫力あるルックスを演出。オイルとスプリングの最適化で乗り心地と路面追従性を確保しているが、これだけワイドな前後タイヤとフォーク角度の組み合わせなら、本来は癖のある操縦性になっても不思議はない。それでもレブルは拍子抜けするほど素直に曲がる。この塩梅こそが、フロント足まわりの妙味だろう。

リアタイヤは150/80-16のワイドサイズを採用し、フロントと同様にオールブラックのキャストホイールでコーディネート。φ45mmパイプのスイングアームが低く構えたリアビューを支え、ディスクブレーキにはABSを標準装備し、制動時の安心感を高めている。

ブラックアウトされたφ175mmのケースに、4眼インナーレンズ式LEDヘッドライトを収めたフロントマスク。取り付け位置をあえて低く設定することで、クルーザーらしい低く構えたプロポーションを強調し、レブルシリーズを象徴する精悍な表情を作り出している。

690mmという低いシート高に加え、2025年型ではシート内部のクッション材を変更して座り心地を向上。ミドルポジションのステップと組み合わさることで、足つき性の良さと、様になるライディングポジションを高い次元で両立させている。

薄型の楕円形状ユニットにLEDを採用したテールランプは、視認性を確保しながら取り付け位置を低く設定。鋳造アルミ製のサブフレームはボルトオン構造とし、質感の高いメタルフェンダーとあわせて、シンプルかつ力強いリアビューを演出している。

視認性を高めたφ100mmの小型反転液晶メーターを、ハンドルホルダー上にコンパクトにマウント。ギアポジションインジケーターや燃費表示、左右独立点滅式のウインカーインジケーターを備え、走行中に必要な情報をシンプルに把握できる。

インチサイズを採用したハンドルまわりは、2025年型で形状が見直され、ポジションの最適化が図られた。マット&ブラックアウトのスイッチボックスがコックピット全体の一体感を高め、メインキーはあえてタンク下左側に配置し、すっきりとした眺めを保っている。

独自の存在感を放つアイコニックな造形のフューエルタンクは、容量11Lを確保しつつ高いデザイン性を追求。小型のエアプレーンタイプタンクキャップがメカニカルな印象を添え、低いシート高やステップ位置とあわせて個性的なライディングポジションを主張する。

ミッドポジションに配置されたステップは、扱いやすさと様になる佇まいを両立。常時噛合式6段リターンのミッションはアシスト&スリッパークラッチとの組み合わせで操作が軽く、渋滞路からロングツーリングまでシフト操作の負担を軽減してくれる。

窒素ガス封入式のダンパーユニットを採用したリアサスペンションは、減衰力の安定化とスプリングの最適化により、クルーザーらしい乗り心地と荒れた路面での挙動安定性を両立。低く構えたツインショックが、シンプルで力強いリアまわりの造形にも貢献している。








愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!