掲載日:2026年06月14日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/小松 男 衣装協力/Alpinestars Japan

HONDA REBEL 1100 S Edition DCT

こういっては何だと思われるかもしれない。それを理解して書き始めるが、もはや新鮮さも薄らいでしまっているものの、今から約10年前の2017にホンダ・レブル250が登場した時には、「えっ、このデザインで出してきたの?」と少々戸惑いを覚えたものだ。
それというのも、20世紀に免許を取得し長年バイクに慣れ親しんできた私にとって、レブルというモデルは、1985年に登場した本格的なアメリカンクルーザーのスタイリングで纏められた250ccモデルというイメージがあったからだ。
その旧レブルも、サイズ感とまとまりの良いデザインからヒット、派生モデルも輩出していたが、世の中的なアメリカンクルーザーブームが落ち着きを見せたこともあり、やがてラインアップから姿を消していった。
それから年月が経ち、再び前に現れた新生レブルは、もはや別物だったのだ。
しかし、世の中はこれを受け入れ、近年まれにみるヒットモデルとなったわけだ。

レブルのヒットを受けて、2021年に登場したのが、大型クルーザーモデルであるレブル1100だ。アフリカツインに搭載されている直列2気筒エンジンをベースにデチューンしたパワートレーン。レブルをそのまま大きくしたかようなモダンなスタイリング。
そして、オートマ限定大型自動二輪免許でも乗ることが出来るDCTバージョンも用意されたこともあり、大型クルーザー界に旋風を巻き起こす存在となった。
なぜそれほど人気を博したのか。はたから見ると、やはり個性的にまとめられたクルーザースタイルや、低く抑えられたシートによる足つき性だろうと伝わってくるのだが、それだけではない。実際に走らせてみると、姿形からは想像できないほど、従順な動きを見せ、それが心地よいバランスで纏められているのである。
レブル1100がブランニューモデルとして登場し、その際開かれたメディア向け試乗会に参加した私は、当時、「これは売れるだろうな」と思ったものである。

それから5年が経ち、いくつかの派生モデルを追加。その中で2025年に登場し、今回取り上げるレブル1100SエディションDCTは、ビキニカウルやバーエンドミラーなどスポーティなパーツが用いられたメーカーカスタムモデルだ。
ストリートでも見かける機会が増えた同モデルとじっくり付き合い、魅力の根底にあるものを探っていこう。
レブル1100のヒットを受け、2023年には新たなバリエーションとしてレブル1100Tが追加された。このモデルは大型フロントカウルとサイドケースを標準装備し、高速巡航時の快適性や積載能力を向上。レブル1100が持つ扱いやすさをそのままに、よりツーリング志向を強めた仕様として登場している。
さらに2025年モデルではシリーズ全体がマイナーチェンジを受けた。フルカラー5インチTFTメーターの採用をはじめ、シートやハンドル、ステップ位置の見直しが行われ、快適性や操作性を向上。そして同時に、新たなバリエーションとしてレブル1100 Sエディションがラインアップへ加わった。

レブル1100 Sエディションは、ヘッドライトカウルやバーエンドミラー、フォークブーツ、ショートフロントフェンダー、専用シートなどを標準装備。レブル1100Tがツアラーとしての個性を磨いたモデルだとすれば、こちらはよりスポーティでスタイリッシュな世界観を打ち出した仕様と言えるだろう。
興味深いのは、その成り立ちである。レブルシリーズのオーナー車両を見渡してみると、バーエンドミラーや小型カウルの装着など、Sエディションに通じるカスタムは決して珍しくない。つまりSエディションは、ユーザーが求めていたスタイルをメーカー自らが完成形として提案したモデルとも捉えられるのである。

そしてもうひとつ注目したいのが、その中身だ。レブル1100、レブル1100T、レブル1100 Sエディションは、外観や装備こそ異なるものの、エンジンやフレーム、サスペンション、ブレーキといった基本構成は共通。最高出力や最大トルク、ホイールベース、シート高といった主要諸元にも大きな違いはない。
派生モデルと聞くと、専用セッティングや性能向上が施されていることを想像しがちだ。しかしレブル1100シリーズは、完成度の高い基本パッケージを軸に、それぞれ異なる個性を与えることでラインアップを拡充してきたのである。では、そんなSエディションは実際にどのような乗り味を見せるのか。次章では、その実力を確かめていこう。
ホンダ レブル1100Sエディション DCT をグーバイクで探す>>
ホンダの広報車両を受け取りに行き、目の前に置かれたレブル1100 Sエディションを見た瞬間、素直に「カッコいいな」と思った。低く構えたヘッドライトに寄り添うコンパクトなヘッドライトカウル、引き締まった印象を与えるバーエンドミラー。そして何より、光の当たり方によって表情を変える鮮やかなオレンジのボディカラーが印象的だった。
車体にまたがると、710mmという低いシート高のおかげで足つき性は抜群だ。大型モデルであることを忘れてしまうほどの安心感があり、幅広いライダーが気軽に付き合えることがすぐに伝わってくる。

エンジンを始動し、DCTをオートマチックモードにセットして走り出す。すると237kgの車体は数字から想像する重さを感じさせることなく、驚くほど自然に動き始めた。
ホンダのDCTはもはや説明不要の存在かもしれない。クラッチ操作を必要とせず、状況に応じて自動変速を行うだけでなく、手元のスイッチで任意に変速できるマニュアルモードも備えている。2009年の市販化以来、熟成を重ねてきたシステムだけあり、その完成度はいまだ高いレベルにある。

今回の試乗では市街地、高速道路、ワインディング、ショートツーリングと様々なシチュエーションで走らせたが、不満らしい不満は見当たらなかった。発進や停止を繰り返す街中では快適そのものだし、高速道路ではライダーの意思を先読みしているかのように的確な変速を行う。ツーリング用途との相性は抜群である。
しかし、このモデルの真価はそこだけではない。

ワインディングへ持ち込むと、レブル1100 Sエディションはクルーザーらしからぬ身軽さを見せるのだ。ロードモードでも十分に力強いが、スポーツモードへ切り替えるとスロットルレスポンスや変速タイミングが変化し、より積極的な走りを楽しめる。
興味深いのは、そのスポーティさが決して過激ではないことだ。ライダーを緊張させるような鋭さではなく、自然にバイクへ身体を預けられる。タンクを軽くホールドしながら旋回していくと、タイヤの接地感をしっかり感じながらコーナーを抜けていくことができるのである。

シャシーや足まわりはしっかりとした剛性感を持ちながら、どこか肩の力が抜けたような懐の深さも感じさせる。だからこそ街乗りでもツーリングでもワインディングでも心地良い。レブル1100シリーズが長く支持されている理由は、この絶妙なバランス感覚にあるのだろう。
実は今回の試乗期間中、イタリアンスポーツクルーザーや2500cc級のパワークルーザー、さらにはアメリカンブランドのクルーザーにも触れる機会があった。しかし、それらと比較した上でもレブル1100 Sエディションの総合力の高さは際立っていた。

突出した一芸があるわけではない。だが、どのシーンへ連れ出しても期待以上に応えてくれる。その万能さこそが、このモデル最大の魅力なのである。
街中で見かける機会が増えたのも当然だろう。レブル1100シリーズは、どの仕様を選んでも満足度の高い一台だ。その中でもスポーティな世界観を求めるのであれば、Sエディションは非常に有力な選択肢になるはずだ。

水冷4ストロークOHC4バルブ1082cc並列2気筒エンジンを搭載。アフリカツイン系ユニットをベースに、低中速域の扱いやすさや鼓動感を重視した特性へと最適化されている。最高出力87PS、最大トルク98Nmを発生し、ゆとりある走りを実現する。

43mm径SHOWA製SFF-BP倒立フロントフォークを採用。タイヤサイズは130/70B18。ダブルディスクブレーキとの組み合わせにより十分な制動力を確保する。Sエディションでは専用ショートフロントフェンダーも装備される。

リアタイヤは180/65B16サイズを採用。スチール製スイングアームとツインショックの組み合わせにより、安定感のある走りを実現する。2-1レイアウトのマフラーからは歯切れの良いパラレルツインサウンドを響かせる。

Sエディション専用のヘッドライトカウルを標準装備。4眼LEDプロジェクターヘッドライトはシリーズ共通のアイコンであり、昼夜を問わず高い視認性と個性的な存在感を演出している。

ダイヤモンドパターンのステッチを施したSエディション専用シートを採用。シート高は710mm。ライダー側とパッセンジャー側が分かれたセパレートタイプとなっており、快適性とデザイン性を両立している。

2025年モデルから採用された5インチフルカラーTFTメーター。視認性が向上したほか、Honda RoadSyncにも対応。各種車両情報やスマートフォン連携機能を利用できる。

DCTのマニュアル変速用シフトスイッチを装備。さらにライディングモード切替やクルーズコントロール、各種メニュー操作を集約し、走行中でも直感的に扱えるレイアウトとなっている。

容量13Lのフューエルタンクを装備。丸みを帯びた造形は往年のロードスポーツを思わせる雰囲気も持ち合わせている。ニーグリップしやすい形状で、スポーティなライディングにも対応する。

リアフェンダー上に配置されたLEDテールランプとウインカーを採用。シンプルながら独自性の高いデザインは、後方からでもレブルシリーズと分かる存在感を放っている。

DCTのAT/MT切替スイッチを配置。グリップヒーターも標準装備されており快適性を高めている。Sエディション専用のバーエンドミラーもスポーティな雰囲気づくりに貢献する。

ポジションはクルーザーとしては極端なフォワードコントロールではなく、自然なライディング姿勢を取りやすい設定。DCT仕様のためシフトペダルは備わらず、足元もすっきりしている。

SHOWA製デュアルショックを採用。別体式リザーバータンクを備え、プリロード調整にも対応する。乗り心地とスポーティな操縦性を高次元で両立している点もレブル1100の特徴だ。

ライダーシート下には比較的大きなユーティリティスペースを確保。ETC車載器や車載工具、書類の収納に加え、小物類も収められるため日常使いでも重宝する。







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