【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ!

掲載日:2025年01月16日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/小松 男

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! main画像

HONDA CBR400R

日本が世界に誇るモーターサイクルブランドであるホンダのフルカウルロードスポーツモデル”CBR400R”。その本質は、気持ちよく、速く、快適なオールマイティスポーツだ。

CBR400復活登場から10年余り、
進化を続けた成熟系!?

最近『CBR400F』が異常なほど価格高騰をしていると耳にした。それこそが1983年に登場した『CBR400』の最初のモデルであるのだが、面白いことにその姿はカウルを持たないネイキッドモデルである(しかも角型ヘッドライト)。1986年には末尾をFからRに変えフルモデルチェンジが行われた『CBR400R』が登場。この時に初めてフルカウルが装着されるが”AERO(エアロ)”と呼ばれる流麗なデザインでどちらかと言えばツアラー的なスタイリングだった。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 01画像

その翌年には末尾をRRとした『CBR400RR』が登場。世の中が空前のレーサーレプリカブームとなっていたことから、NSR250やVFR400などに近い、いわゆるレプリカの”そのカタチ”となったのだ。CBR400Fの登場から僅か4年でこれほどの変化を遂げたCBR400というモデルを語ることが一筋縄ではいかないことは伝わると思う。しかも並行して上位モデルや250ccのCBRも同じように様々に形を変えて進化をしていったのだから、もはや手のつけようが無い。

ただ当時のモデルに関して一貫して言えることがあった。それは【CBR=並列4気筒エンジン】ということだ。だが2013年に満を持して復活を遂げた『CBR400R』はなんと並列2気筒エンジンだったこともあり、旧世紀に親しんだ一部のライダーからはやや距離を置かれる存在となったことは事実だ。実は私自身もそちら側の人間であったとここで白状しよう。ただ復活登場から10年余りの時間を経た今、再び吟味してみると、素晴らしいと言える一台となっていたのである。

ホンダ CBR400R 特徴

以前感じられた”物足りなさ”は
今乗ってみると”味わい”に変化!!

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 04画像

2気筒となったCBRについて少々がっかりしたという気持ちの内側には、1993年夏に中型自動二輪免許(現普通自動二輪免許)を取得した当時、兄がCBR250Fを所有しており、しばしば借りて乗り回していたことや、その後CBR400RRを所有したり、CBR250RRに乗るバイク仲間がいて触れる機会が多かったからということがあるのだが、それを除けばCBR400Rというモデルが再び登場したことにむしろ喜んだことを覚えている。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 03画像

カムギアトレーン機構を採用する4気筒エンジン的に超高回転を楽しむような性格ではないが、全回転域でトルクがある2気筒エンジンは扱いやすく、ツーリングレポートの記事を手掛ける際など率先してホンダから車両を借用したものである。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 02画像

峠道で戯れる人たちに囲まれて育ったこともあり、正直なところ物足りなく思っていた節はあるが、2000年代に入ると走り屋文化はしっかりと廃れ、優等生キャラがもてはやされるようになった世情を反映して登場したシン・CBR400Rは2016年モデルで攻撃的なスタイリングへと一新、その後もABSの標準装備化などが図られながら、2019年にはフルモデルチェンジが行われエンジン内部のリセッティング、ライディングポジションの変更、スリッパ―クラッチの採用など多岐に渡り手が加えられた。2022年にはフロントフォークを倒立タイプへと変更、ダブルディスクブレーキ化の上、ラジアルマウントとしている。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 05画像

そして現行にあたる2024モデルではHSTC(トラクションコントロール的システム)や5インチフルカラーTFTメーター、スマートフォンとの連携システムなどが採用されている。つまりCBR400Rは着実に進化をしながら現在に至っているのである。

ホンダ CBR400R 試乗インプレッション

これぞ究極のロードスポーツ
極みを感じさせる仕上がり!

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 06画像

それが良かったのか悪かったのか難しいところではあるが、今回試乗テストのためにCBR400Rを引き取る際、それまで借用していたCBR1000RR-R SPと入れ替えとなった。世界最高峰スーパーバイクの極みであるモデルから乗り換えたCBR400Rはライディングポジションはルーズでクラッチレバーの反発力もスカスカと言えるほど軽い、エンジンもボソボソとしておりエキサイティングと言うにはほど遠く(街中ワンブロック走った時点での話)、「そうだ。これは量産型乗用車だったんだっけ」と最初に思ってしまった。だがしかし、そんなチープな話で収まらないのがCBR400Rである。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 07画像

いったんコーヒーブレイクを挟み感覚をリセット。再び乗り出すとなんと素晴らしい乗り物ではないかと思えてくるのである。前後にクルマが詰まった渋滞路でも急な坂道であろうとも、なんにも気を使わなくとも走り出すことができる粘りのあるエンジン特性とミッションの繋がり、スーパーバイクのように窮屈でなくとも、しっかりとスポーツライディングを楽しめるライディングポジション、肘、膝、肩、腰、頭、どこから入力しても意のままに旋回を楽しめるコーナーリング性能。すべてにおいて最高である。

エンジン特性も実は平坦ではなく抑揚があり、低回転域ではトルクがあり扱いやすく、高回転域では2気筒とは思えないほど良く伸びる。特に注目したいのが4~5000の中回転域で、スロットルワークに対してストレスない反応を見せる上にスポーツエンジンらしいピックアップの良さを楽しませてくれるのだ。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 08画像

足まわりのセッティングも秀逸。フロントブレーキレバーの初期はカチカチとタッチが良く、奥でジワーッと効いてくる。制動能力が高いという以前にコントロールのしやすさが上質。そのブレーキと併せて超絶と言える程良い仕事をしてくれるのが前後のサスペンションで、ちょんとブレーキをかけるとスッとバネが縮み、その後ギューッと粘る。戻り(伸び)のダンピング特性もバツグンである。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 09画像

膝が接地するほどまで深々とバンクさせることも容易であるが、そんなに寝かせずともしっかり曲がる。濡れた路面や未舗装路でトラクションコントロールの作動テストも行ったが、スリップモーションを程よく抑制してくれるのでとてもナチュラルな感触だ。意のままに操ることが出来、しかも転ぶ気がしない。これほどまでバランスの優れたスポーツバイクは他にあるだろうか。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 10画像

ライディングスキルに自信の無いライダーでも、長年バイクに親しんできたエキスパートライダーでも楽しむことができる。パフォーマンスで見れば上はいるが、総じて最高と言えるロードスポーツモデルとして、私はCBR400Rに太鼓判を捺すことにした。と、私が現行CBR400Rを大絶賛する中、メーカーでは4気筒モデルの開発を行っているという噂もある。その動向も注視していきたいと思う。

ホンダ CBR400R 詳細写真

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 11画像

搭載されるDOHC4バルブ並列2気筒エンジンはボアストロークは67×56.6mmのショートストロークタイプ。扱いやすく、しっかりとしたパワーも得られる良いエンジンだ。NX400と共通のパワートレーンとなる。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 12画像

SHOWAのSFF-BPフロント倒立フォークにNISSIN製ブレーキキャリパーをラジアルマウント。フロントタイヤサイズは120/70ZR17。フロントの接地感、状況インフォメーションは良く、意地悪な走らせ方をしてもしっかりと受け止めてくれた。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 13画像

トータルデザインの一部としてフロントカウルやサイドパネルから流れるようなラインが描かれた燃料タンク。容量は17リットル。カラーバリエーションはブラックメタリックとグランプリレッドとなっている。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 14画像

精悍な印象を受けるフロントマスク。両サイドのカウルにはウイングレットも備わっている。しっかりと伏せると高速道路を走った際にライダーが受ける風はかなり少ない。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 15画像

ステップバーは若干高めの位置にセット。ただ膝の曲がりは少なめで、長時間乗っていても疲労度が少ない。シフトチェンジロッドが長いが、ギアの入りは良い。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 16画像

シート高は785mmでフルカウルスポーツモデルとしては足つき性は良い方。パッセンジャーシートは段違いのセパレートタイプ。タンデム走行も行ったが特に不満はなかった。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 17画像

スイングアームはオーソドックスなボックスタイプ。チェーンの張り調整もしやすそうだ。リアタイヤのサイズは160/60ZR17となっている。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 18画像

セパレートハンドルを採用しているものの、実際にハンドルバーがある位置はトップブリッジの上となっており、ライディングポジションは楽だ。総じて気持ちよくスポーツライディングを楽しめるような設定となっている。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 19画像

2024年モデルから採用されたHSTC(ホンダセレクタブルコントロール)やスマートフォンと連携できるHonda RoadSyncの操作を行えるよう、スイッチボックスも変更されている。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 20画像

テールカウル内に設けられたユーティリティスペースは結構広く、ETC車載器+αの小物を収めることができる。日常的な使い勝手も考えられていることが分かる。

【ホンダ CBR400R 試乗記】ある意味、現在最強フルカウルスポーツ! 21画像

ライセンスプレートホルダーやターンシグナルはステーを介してセットされており、テールカウル内のビスを外すことで脱着が可能だ。なおテールカウル下はタンデムグリップとしても利用できる形状となっている。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

愛車を売却して乗換しませんか?

2つの売却方法から選択可能!

方法1.オークション

出品前買取相場が分かる!
3000社の中から最高入札店のみとやり取りで完結。

方法2.買取一括査定

業界最大級の加盟店数!
最大12社一括査定
愛車が高く売れるチャンス

メーカー

郵便番号

タグで検索