掲載日:2024年11月06日 試乗インプレ・レビュー
写真/井上 演 取材・文/小松 男 川上 礁太
HONDA REBEL 1100 DCT vs HARLEY-DAVIDSON STREET BOB 114
ジャパニーズクルーザーの歴史を塗り替えたホンダ現行レブルシリーズ。2023年に登場した『レブル1100DCT』は、その中でもフラッグシップモデル的な存在となっているのだが、これがまたバカ売れしており大型バイクマーケットにおいてヒット街道を驀進中である。その多大なる人気の裏側には何が隠されているのだろうか。
今回はクルーザーセグメントの礎を築き上げ、世界中のライダーから愛されてきたキングオブモーターサイクルブランド、ハーレーダビッドソンの長き歴史を今に伝えるモデルの一つとして挙げることができるモデル『ストリートボブ114』を持ち出して両者の素性、及びキャラクターを比較する。
……てか、この2台全然違うように見えるけど、対決企画として成立するの!?
このバイクブロスマガジンズの対決企画は、まさか連載モノになるとは考えてもいなかったのですが、各方面から反響があるとのことで再度制作チームを編成し取材に挑むこととなったわけです。
陣頭指揮を取らせていただくのはバイクブロスマガジンズでもインプレッション記事などを寄稿している私、小松 男(コマツ ダン)なのですが、もうバイクメディア業界にどっぷりと浸かってしまっていることや、年間50台近くのバイクをとっかえひっかえ乗り回しているために、”斜めに見がち”。
だから今回もピュアでフレッシュな意見を取り入れるべく、ヤング代表一般ライダーとして川上 礁太(カワカミ ショウタ)さんをパートナーとして抜擢! ニュートラルな意見に期待しましょう。
肝心の車両はというと、アメリカが世界に誇るキングオブモーターサイクルブランド、ハーレーダビッドソンからオーソドックスなボバースタイルで纏められた「ストリートボブ114」。対するは日本が誇る世界最強モーターサイクルメーカー、ホンダの「レブル1100DCT」です。
この車種選定は担当様が行われているのですが、私は聞いた時に「キャラが全然違うモデルじゃん。これ比較になんないじゃん!」と思いましたが、そう考えることこそがオジサン型垂直志向なのです。もし20年前の私だったら素直に「オモシロソー」と言えたはず、きっと……。
ショウタくんこんなオジサンのサポートをよろしくメカドック!!
ハーレーダビッドソン ストリートボブ114をグーバイクで探す>>
レブル1100DCTの大まかなスタイリングは、2017年に劇的な復活を遂げたレブル250のデザインを踏襲したもの。近未来感漂う独特な佇まいが世間に受け入れられ、シリーズを通してストリートで多く見かける存在となりました。
ハーレーダビッドソンの伝統的な空冷Vツインエンジンを搭載するストリートボブ114は、シンプルながらもミニエイプバーハンドルやショットガンマフラーなどで個性を主張するボバースタイルで纏められています。
レブル1100DCTのシート高は700mm。数値的にはストリートボブ114よりも20mm高いのですが、股下部分が細くシェイプされたデザインなので、足つき性は良好です。さらにまっすぐ前方に手を伸ばした位置にハンドルバーがセットされているので、自然なライディングポジションとなります。
ストリートボブ114のシート高は680mmと低く抑えられており足つき性抜群。ミニエイプバーハンドルの採用により上体が起きたライディングポジションとなるのがポイント。ミッドフォワードセットされたステップとの兼ね合いで、アメリカンクルーザーらしいライポジです。
小松 男(以下・ダン):今でこそ語弊を防ぐためにクルーザーモデルと呼ぶようになったけど、そもそもハーレーダビッドソンの多くのモデルのようにシートが低くて長距離を楽に走ることを想定したバイクを総じて”アメリカンバイク”と言っていた時代があったのだよ。国産アメリカンバイクを”ジャメリカン(ジャパニーズ・アメリカン)”などと呼んでいる人もいたくらいだ。
そう考えるとハーレーダビッドソンの偉大さが分かってもらえると思うけど、日本だけでなく欧州などに言っても昔からハーレーダビッドソンの人気は高く、世界中のライダーに受け入れられてきたのは事実。
バイクは2輪で走る不安定な乗り物だから、シートが低くて足つき性が良いのは安心感にも繋がるというのも大きなポイントとなっているよね。
ショウタくんはなにかクルーザーバイクに乗ったことはあるの?
川上 礁太(以下・ショウタ):父が所有するレブル250に乗ることはあります。でもレブル1100DCTは初めて触れますし、ハーレーダビッドソンも乗ったことはありません。大型のクルーザーモデルは総じて高価ですし、その中でもハーレーダビッドソンは高級車っぽいイメージですよね。
ダン:ジェネレーション的なものがあるのだと思っていたけれど、「バイクはハーレー、クルマはベンツ」と言うのが割と年齢を問わずDNAに擦りこまれてしまっている感はあるよね。実際に乗ってみると良いのだから仕方ないけどね。
そのような中、昨年登場したレブル1100がめちゃくちゃ売れていると言うのが面白いと思っているんだ。しかもその大半がDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)というオートマモデルなんだって。
ショウタ:レブル1100に乗ったのが初めてだと言いましたが、そもそもDCT搭載モデルに触れるのも初めてなことで、最初はなんだか違和感がありました。物凄いトルクなので出だしがちょっと怖いとも思いましたね。
ただ僕は普段クロスカブに乗っていることもあり、クラッチ操作が必要無いという点はすんなり受け入れることができました。
「ストリートボブ114もレブル1100も、ものすごいトルクっすね!!」と大排気量クルーザーを堪能するショウタくん。ハーレー特有のプレミアムな存在感に傾向するかと思いきや、レブル1100の乗りやすさが気に入った様子。
手元のスイッチボックスを見ると、両者の思想の違いは歴然ということが分かります。ストリートボブ114はハーレーダビッドソンが伝統的に使用してきた左右振り分けウインカーを採用しています。これの使い方にショウタくんは戸惑っていました。
対してレブル1100DCTはクラッチレバーの代わりにシフトチェンジボタンが設けられているほか停車中に車両が前後に動かないようサイドブレーキも用意されています。グリップヒーターが標準装備というのも嬉しいです。
47歳まだまだこれから! とイケイケを装うアラフィフライダーのダン(右)と、ピチピチではないもののまだフレッシュ感が漂う28歳のショウタくん(左)。オジサンギャグが通じないところに見えないジェネレーションギャップが!!
「ストリートボブ114のポイントはやっぱりハーレー伝統の空冷Vツインエンジンでしょ!」。ちなみに114とはキュービックインチでエンジンの排気量を指します。総排気量1868cc! 一気筒あたり934cc!! パワフルなはずです。
レブル1100はマニュアルミッションモデルも用意されているのですが、DTCモデルの方が人気が高いそうです。オートマでの走行はもちろん任意のセミオートマチック操作ができるのもポイントで、スポーティな走りも得意だったりします。
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ショウタ:ストリートボブ114はクラッチレバーの操作感が重かったりシフトチェンジでは”ガチャン!”とショックが伝わってきたり、後ろから蹴られるような加速の仕方をしたりする感触が上手く表現できないのですが、なんだか動物っぽいなと感じました。
ハーレーダビッドソンってみんなこんな感じなのでしょうか。
ダン:そうだね。クラッチワークとかビッグツインの鼓動感などを”ハーレーらしさ”と捉えている人も少なくない。けれど、それでも現行モデルは優しくて乗りやすいというビンテージハーレーオーナーもいるし、感じ方は人それぞれだとは思うよ。
ハーレーを指して”鉄馬”って呼ぶ人たちがいるじゃない。ショウタくんが動物みたいだと感じた部分と言うのはそういったところにあるのかもね。
ハーレーダビッドソンとひとことで言っても、車種によってキャラクターはかなり異なるし、最近はアドベンチャータイプのパンアメリカ1250や普通自動二輪免許で乗れるX350なども登場し、それこそ「ハーレーは変わった」と言う人がいるほど、さらにモデルレンジが広がっているんだ。
そんな中でストリートボブ114は昔ながらのハーレー特有のアイデンティティがあちこちに残されていて、ファンが多いモデルになっているよ。
ショウタ:レブル1100ははじめこそDCT特有のミッションの繋がりに戸惑ったものの、それ以外は普通に乗れましたし、安楽でいながら若干前傾姿勢になるライディングポジションが好印象でした。
ストリートボブ114とレブル1100DCTでどっちが好きかと聞かれたら、ぶっちゃけレブル1100を選ぶと思います。
ダン:まあねえ。ストリートボブ114に関しては、そもそもハーレーダビッドソンというブランドが持つプレゼンスも多大にあるのは確かだよね。ただハーレーダビッドソンの現行モデルほぼすべてに乗ったことがある身としては、やっぱりハーレーには特有の魅力があるんだよね。
例えば車両重量ひとつを見てもレブル1100DTCは233kgなのに対し、ストリートボブ114は出荷時で286kg。走行可能状態での車重は297kgもある。
普通なら重いことがネガティブに感じるところだけど、なぜだかハーレーの重さは許容できるというかむしろ魅力にすら思えてしまうから不思議だよ。
姉妹サイトである【virgin HARLEY>>】でも車両インプレッションの多くを担当していることもあり、ハーレーダビッドソン現行モデルのほとんどに触れたことがあるダン。以前スポーツスターXL1100Sに乗っていたことも。
ショウタくんのレブル1100DTCチェックポイントは、乗車時にちょうど足を下ろす部分がシェイプされたスリムなフレームワーク。足つき性の良さ、車重の軽さ、ライポジの安楽さなどで、とっても扱いやすいと太鼓判。
「ストリートボブ114のシフトチェンジの際、ガチャン!!と強い感触があるのは”うおお、俺は今鉄馬に乗ってるぜ!”という気持ちにさせてくれます」とショウタくん。オートマのレブル1100DTCとは真逆ですね。
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ダン:レブル1100DTCはこれまでにも何度か試乗したことがあるけど、やっぱり良くできてると思うよ。DTCもこの機構が開発されて最初に用いられた頃に比べて格段にフィーリングが良いし、普段日常的に走っていてメリットに感じられる場面がたくさんある。
スクーター特有のイージーライディングさをモーターサイクルに付け加えたような、それでいながらシフトチェンジの楽しさを味わえるのは美味しいよね。
レブル1100DTCからストリートボブ114に乗り換えるとクラッチの重さがやっぱり気になるものだよ。でもストリートボブ114は、そこにこそ魅力がある。「俺こんなタフなバイク転がしてんだ!」って自信につながるもんね。
ショウタ:ストリートボブ114の重さやフィーリングを魅力に思えるようになる。それはオトナのライダーだなあ。普段小さいバイクに乗っていることや、これまでスポーツバイクを好んで乗ってきたこと、さらに最近ではオフロードにハマっていることなどもあるのですが、今回初めてハーレーに乗って、やっぱり異次元の乗り物なんだと感じましたね。
その上で確かに他のメーカーには無いテイストは強く伝わってきました。ただ車両価格270万円以上でしたよね。うっへえ、なかなか手が出せないなあ。
対してレブル1100DTCは125万円以下で買えると言うのはやっぱりホンダもすごいメーカーだなあと思いました。
両者ともオーソドックスな丸型ヘッドライトケースを採用。ストリートボブ114のヘッドライトもLEDデイタイムランニングライトが用いられるなどモダンなエッセンスが取り入れられているものの、レブル1100DTCの方がスマートな印象を受ける?
レブル1100DTCはライディングモードセレクトや各種細かいセッティング、さらにスマートフォン連携などもできるため多機能なメーターディスプレイとなっています。ストリートボブ114のメーターはハンドルライザーの上に添えられた小さい液晶ディスプレイ。めちゃクール!
ストリートボブ114の大きな特徴の一つに挙げられるソフテイルフレーム。外観上にはサスペンションの存在がわからず、まるでリジッドフレームかのように見えるもの。レブル1100DTCはツインショックタイプとなっています。
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