掲載日:2022年07月27日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/小松 男
GPX DEMON GR200R 4VALVE
バイク業界を牽引する4大メーカーを有する日本にいると、なかなか視界に入ってこないものではあるが、世界を見渡すと様々なバイクメーカーがあることがわかる。その多くがメジャーシーンに上がるべく切磋琢磨しており、タイに拠点を置くGPXというバイクメーカーもその一つに挙げることができるが、ここ数年、着実に認知度を挙げてきた有力株だ。
色々なタイプのバイクをラインアップしているが、その中でもクラシックテイストのレジェンド250と、ここで紹介するフルカウルスポーツモデル、デーモンGR200Rを2枚看板として勢力を広げてきた。今回は今期エンジンを2バルブから4バルブに変更し、モデルチェンジを行ったニューデーモンGR200Rに触れ、その本質に迫る。
デーモンGR200Rの話を始める前に、GPXについて簡単に説明するところから始めよう。GPXはタイの新興モーターサイクルブランドだ。本国タイではすでにナンバーワンシェアを誇るうえに、アジア圏を中心にグローバルなマーケティング展開を行っている。そもそもタイは古くから日本のバイクメーカーの多くが現地生産工場を構えてパートナーシップを組んでいた企業が多く存在することもあり、クオリティに関しても高い基準をキープしてきた。日本でも2018年にGPXジャパンが発足し輸入を開始、数種のモデルが販売されてきたのだ。
私もこれまでに、クラシックスタイルのレジェンド250をはじめ数台のテストを行ったことがあったが、想像以上に良くできたバイクであることに、いつも驚かされている。
今回取り上げるデーモンGR200Rは、GPXのフラッグシップモデルにあたるフルカウルスポーツモデルだ。2020年に初代モデルが登場し、今シーズンはエンジンを2バルブから4バルブへと変更し、さらにパフォーマンスを高めるためのモデルチェンジが図られたのだ。国内では最近ワンメイクレースも行われるようになり、その最先端に立つモデルの登場となったのである。
デーモンGR200Rは、獰猛な生命体を連想させ人の目を惹きつける威圧感のあるフェイスマスクが魅力だ。GPXではイタリアからデザイナーを招き入れており、デーモンGR200Rを筆頭にトレンドの一歩先を進んでいるようにも思える。
200ccエンジンを採用したモデルと考えると標準か、やや大柄に見えるが、実際に跨ってみるとかなりシート高が低く、足つき性に不満を持つことはまず無いだろう。イグニッションをオンにしてエンジンを始動する。バッテリー電力不足のように一瞬メーターが全消灯してからセルが回るという点が気になったが、そういった仕様なのだろう。ミッションを1速に入れて走り出す。拍子抜けするほどにいたってスムーズであり、むしろショートなストロークタッチでシフトチェンジできることがスポーティに走らせようという気分を引き立てる。
フルカウル、セパレートハンドル、倒立フロントフォークというセットはスポーツバイクとしては嬉しい装備であるが、一方でその場合、ハンドルの切れ角が少なく日常生活でデメリットになりがちというイメージなのだが、GR200Rはレジャーバイクのようにハンドルの切れ角が大きい。よって、狭い路地やUターンなどが驚くほど楽に行えてしまう。これならばスポーティなスタイリングでありつつも毎日使ってもストレスがない。
セパレートハンドルに関しても、やや位置が遠いと思ったが、それほど低い位置ではないので、車体を扱いやすい。低いシートと相まって、長時間乗車も快適なのである。
今回のモデルチェンジで4バルブ化されたエンジンは、2バルブシングルエンジン特有の鼓動感は薄れたものの、高回転まで気持ちよく回る。2バルブモデルからメーターは変更されていないようで、回転計のレッドゾーンは9000回転から目盛りが振られているのだが、実際には1万1000回転でリミッターが利いた。排気音もなかなか良く、スポーツライディングを助長してくれる。
足まわりに関してもフィーリングが良く、ブレーキのタッチ、効きも良く、深々とバンクさせてもおかしな挙動をせず、立ち上がりではしっかりとトラクションを得ることができた。基本的なセッティングの良さが光る、という印象だ。
特に新興メーカーの車両を扱う場合には、ポイントを絞れば良くも書ければ、悪くも書くことができる。しかし、デーモンGR200Rの場合は、全体的に良くまとめられているために、圧倒的に良い点の方が目立つのだ。そのような中、重箱の隅をつつくような気になったポイントを一点挙げるとすれば、タンクの下にデザインされた”エラ”の部分がヒザの先にあたり痛かったということ。ただ身長178cm足長めの私の場合、である。
調べてみたところ日本人とタイ人の平均身長はほぼ一緒とのことであるし、出力特性、パワー感、運動性能、そしてライディングポジション、すべてを考えて、多くの日本人ライダーにマッチしていると思う。外車であるために、メンテナンス時のパーツ供給体制に関しても気になるところであったが、消耗品はもちろん、予備パーツの管理体制もしっかりしているとのこと。これで新車価格50万円を切るというのだから、なかなか魅力的だ。今後さらに勢力を広げてくると思われるGPX、一足先に手に入れるのは面白いかもしれない。
ボアストロークを65.5×58.8mmとした排気量198cc水冷4ストロークシングルエンジンを、4バルブ化し搭載。最大トルクが17.5Nm/7500rpmに引き上げられた。5000回転以上をキープするとスポーティで楽しい。
クランクケースと同様のレッドカラーとされた倒立フロントフォークに、100/80-17サイズのタイヤをセット。IRC製のバイアスは軽いハンドリングを楽しめ良好。ブレーキはタッチ、効きともに良いが、ABSは未装備。
独特な表情で纏められたフロントマスク。面発光LEDがデイライトでその下、左右のカウルの先端にヘッドライトがセットされている。スクリーンがレッドスモークというのも特徴的だ。
フルデジタルLED液晶ディスプレイを採用。9000回転からレッドゾーンとなっているが、実際は11000回転でリミッターが作動した。シフトインジケーターなどのインフォメーションも備えており、視認性も良かった。
従来モデルと新型を見分けるポイントとなっているのはステップバーだ。より高くセットされスポーティなライディングポジションとなった。ただ、このステップの変更により、私の場合膝の先がタンクの造形に当たるようになったのかもしれない。
ボックスタイプのスイングアームは、プレス成型され剛性力向上とデザインエッセンスを付加している。リアタイヤサイズは140/70-17。リアサスペンションはYSS製モノショックを、リンクを介して設置している。
テールランプは面発光LEDをシートカウル内にインサート。テールセクションにもデザインの良さが光る。ターンシグナルやライセンスプレートをステーごと外せば、そのままサーキット仕様となる。
ライダーとパッセンジャー側がセパレートしてセットされたシート。伏せるようなライディングポジションを取る際に、もう少し後方に座りたいという場面もあったが、一般的な走行、乗り方をする際にはむしろ快適なポジションだった。
セパレートハンドルは若干垂れ気味にセットされているために、前傾姿勢を強いられるものの、低いシートと相まって、さほどタイトなポジションにはならない。スイッチボックスのボタンの位置も一般的。
容量11リットルとされた燃料タンクは、上部にカーボンケブラー模様があしらわれている。サイドの黄色いパネルの中間部に見える”エラ”に、膝が当たることが気になった。なおカラーバリエーションはイエロー、ブラック、レッドが用意される。
シート下にはバッテリーが収められているほか、ユーティリティスペースとしても割と余裕が持たされている。ETC車載器+車載工具程度の物を収めることができるだろう。
シングルエンジン特有の歯切れの良いサウンドを奏でるエキゾーストシステム。割とボリュームのあるサイレンサーはデザインとしてのマッチングは良いが、軽量化を図るならリプレイスマフラーを探しても良いだろう。
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