掲載日:2018年10月24日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/小松 男
ヴィットピレン401はKTM・390DUKEをベースとして開発されている。バーハンドルを備えスクランブラースタイルのスヴァルトピレン401も共通コンポーネントだが、ヴィットピレン401ではクリップオンハンドルが採用されておりネオカフェレーサー的な雰囲気だ。835mmというシート高は、数値からして大きく足つき性に腰が引ける上に、角のあるサイドカウルおよび薄目のシートにより、まるで角材に跨っているかのよう。
ハンドル位置はクリップオンとしては一般的な垂れ角ではあるが、先述したシート高との兼ね合いで前傾はきつめだ。よって何も考えずにタラっと流すような走りをすれば勝手にハンドルに荷重が掛かってしまい、疲れるし曲がっていかない。背筋をしっかりと使いハンドルに力が入らないように乗りこなさなければならない。こういった面はヴィットピレン701に通じるところがありスパルタンだ。
375ccのシングルエンジンはスポーティな味付けがされており、低回転域からスロットル操作に対するツキが良く、6000回転前後からレブリミットまでの回転上昇はまさしく快活の一言に尽きる。マッピングはスヴァルトピレン401と同じということだが、ポジションからくる所以なのか、より一層パンチの効いたキャラクターに感じる。ただ走らせていて気になったのは足回りの感触だ。走行中のフロントタイヤからの細かな振動がダイレクトにハンドルに伝わってくる。
もちろん前傾姿勢がきついことも関係しているのだが、意識的にハンドルに手を添えるほどで走行しても気になる振動があった。ダンピングが弱いようなイメージなので、フロントフォークに関して調べてみたところ、まずヴィットピレン401とスヴァルトピレン401で異なるスプリングが採用されていた。前者にはリニアスプリングが採用されているのに対し、後者には初期の沈み込みは優しく後半は固く感じるプログレッシブスプリングが用いられている。
市街地、高速、ワインディングと一般的な使い方で考えられる様々なシチュエーションでテストしたが、常にスポーツライディングを意識していなくてはならないのは数十年前のイタリアンスポーツのようだとも思え、スポーツモデルであってもライダーに優しいバイクに傾向しつつあるマーケットの中では異端と言えるものだ。
高い次元でのトータルバランスがとれたスポーツマシンであり個人的に高い評価をしたスヴァルトピレン401だったが、ヴィットピレンに関しては同じコンポーネントを使用していながらも乗り手を選ぶバイクであり、その独特なスタイリングは魅力的ではあるもののカスタムバイクの枠を脱せてないようにも思えるものだった。
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