【2018年型X-ADV試乗記事】新トラコン採用でオフ走行がもっと身近に!

掲載日:2018年07月20日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/田宮 徹

ホンダ X-ADV 試乗インプレッション

フラットダートでの操縦性が増して
ツーリングでの安心感もアップ

今回の熟成は電子制御機構の追加のみなので、基本的な車体パッケージは初期型と同じ。欧州仕様と比べればシート高は30mm低減された790mmに設定されているが、シートの幅があることなどが影響して、足着き性はあまりよくない。シート最前部に座っても、身長167cmの筆者だと両つま先+αが接地する程度だ。

フロアボードは、前側に足を完全に投げ出せるようなつくり。大柄なライダーでも窮屈感はないだろう。膝を軽く曲げてステップボード手前側にべったり足を着くと、かなり太めのフロアトンネルを両足のくるぶしでホールドできるので安心感がある。ハンドルバーはオフロードバイクイメージの幅広タイプとなっていて、一般的なスクーターとの違いをライディングポジションからも感じることができる。

ホンダ X-ADVの試乗インプレッション

通常走行用のDモードを選んでスロットルを開けると、かなり俊敏なスタートダッシュ。市街地などのオンロードで乗っている限り、DCTのタイムラグはまるで感じられず、一般的なCVTスクーターのイメージで乗りはじめると、そのダイレクトなレスポンスに最初は驚くかもしれない。DCTは、NC750シリーズと比較して低めのギアを使う制御となっていて、日常的な市街地移動ならDモードのままで十分。よりキビキビ走りたい場合には、Sモードのレベル1(3段階に調整できるSモードのうち、もっともマイルドな仕様)あたりで乗ると、よりフィーリングがよい。

ホンダ X-ADVの試乗インプレッション

一方、ワインディングをスポーティに走らせるなら、もっとも高回転を多用するSモードのレベル3を選択すれば、自動変速モードのままでもかなり満足感を得られる。MTモードでハンドシフトするのも楽しいが、スクータータイプのX-ADVはリアブレーキを手で操作する設計なので、左手の操作をブレーキングに集中させられる自動変速モードの恩恵は大きい。

ホンダ X-ADVの試乗インプレッション

ブリヂストン社が開発した大きなブロックパターンのチューブレスタイヤは、ワインディング走行でも十分なグリップ力を発揮。素直で軽快なコーナリングを、安心して楽しめる。2気筒ナナハンとして考えると、車重はあるほうだが、ワインディングでのコーナリング時に重さが気になることはない。

ワインディングでX-ADVをスポーティかつスムーズにライディングするためのコツは、手動によるシフトダウン。Sモードレベル3でも1速までシフトダウンしてくれるシーンは少ないので、超タイトなコーナーをクリアするときや、より大きなエンジンブレーキを得たいときには、左手の「-」スイッチを押して1速までダウンさせたい。変速制御は非常に秀逸で、1速まで落としても後輪がロックしたり車体の挙動が乱れたりすることはない。しかも、ある程度の時間が経過するとまた自動変速に戻ってくれるので、操るのは簡単だ。

さて、2018年型ではトラクションコントロール機構が追加されたが、X-ADVの最高出力は54馬力とマイルドなので、常識の範囲内でワインディング走行を楽しんでいるぶんには、介入が多めのモードにしておいたとしても、トラコンが作動するシーンは皆無だった。ただし、ツーリング途中で路面状況が悪いシーンに遭遇した場合には、トラコンがあることが大きな安心感になる。ダート走行をする場合、モード2では介入が多すぎてほとんど前に進まないので、モード1にするのがお薦め。もちろん中上級者は、オフにすればよりアグレッシブなライディングもできる。

ホンダ X-ADVの試乗インプレッション

もうひとつの新機構であるG-スイッチの効果は、ダートでON/OFFの状態を乗り比べてすぐに体感できた。スロットル操作に対するレスポンス性能が向上することで、後輪にトラクションを掛けたりテールスライドをコントロールしたりすることが、より意のままとなる。例えば他機種に搭載されているドライブモードのような劇的なフィーリング変化ではないのだが、ONとOFFで確実に違いがある。

ちょうど1年前、初めてX-ADVに乗ったとき、新感覚であることに加えて乗り味が楽しいことに、とても感動したことを覚えている。市街地では快適かつ便利で、ワインディングではかなりヤンチャに遊べて、しかもフラットダートまで走れてしまう。ナナハンで120万円オーバーと価格は高めだが、その価値は十分にあると感じた。

そして2018年型では、価格はほぼそのままにトラコンとG-スイッチが追加され、フラットダートを含むツーリングシーンでの安心感や操縦性がさらに向上されている。熟成版X-ADVは、これまで以上に「欲しい」と思わせてくれるバイクだった。

ホンダ X-ADVの試乗インプレッション

X-ADVの詳細写真は次のページにて

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