掲載日:2018年05月31日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之、バイクブロス・マガジンズ
エンジンをかけると、ピンと跳ね上がったマフラーからは単気筒エンジン独特の、鼓動感のある歯切れのいいサウンドが聞こえてくる。アクセルをあおると、CB125Rに比べて軽々とエンジンが吹け上がるのがわかる。
跨ると、ハンドル幅は少々広めで、ヨーロッパのストリートファイターのようなライディングポジションだ。シート高は800mmと、カワサキZ250の785mmに比べると若干高い。ステップから自然な位置に足を降ろすとちょうどステップが邪魔になるのが気になるものの、股の部分がシェイプされていることもあって、足着き性自体は悪くない。ちなみに、シート高はCB125Rが815mmで、CB250Rのほうが15mm低いという逆転現象が起きている。
走り出しの第一印象は、とにかく軽い!
エンジンの吹け上がりも低回転から高回転までストレスなく一気に回って軽いし、ハンドリングもクイックで切れ角も大きく、混雑する街中のライディングではキビキビとした挙動を見せ、とにかく気軽で乗りやすく、しかも楽しいのだ。ミドルクラスのエンジンだと、信号待ちからの発進時などについついアクセルを開けてエンジン回転を高めにキープしなければ出遅れる、と気を遣いがち。ところがCB250Rはそんな乗り方をしなくても、自然にアクセルを開けてクラッチを繋げばスルスルっと前に出て、気が付けばモリモリと加速している。
CB125Rも低速からトルクが出ていつの間にか速いタイプのマシンだが、CB250Rはさらにパンチ力が加わり、力強い瞬発力も併せ持った加速を見せてくれる。一般道で法定速度に達するのはあっという間で、その先も高速道路での法定速度プラスアルファまで、伸びしろは十分だ。
カウル付きのロードスポーツとは違う自然なライディングポジションとコーナーリング時の挙動の素直さも、乗りやすさに一役買っている。バイパスなどの中・高速域でのコーナーでは、フレームやスイングアームの剛性の高さがよくわかるし、多少荒れた路面ではフロントフォーク、リアショックなどがよく動いて路面からの突き上げを軽減してくれるのを実感できる。
極太のリアタイヤは路面を良くとらえ、前後のディスクブレーキもコントローラブルで、強力な制動力を有している。CB125Rにはなかった、リアショックのプリロード調整が装備されていることもあり、気軽に扱える乗りやすさと同時にどんな時でも気負うことなくマシンに身を預けられるという、安心感も併せ持ったマシンだと言える。ABS付きモデルなら、さらに安心感は増すだろう。
CB250Rの車両本体価格は税込みで50万3,280円(ABS付きモデルは55万4,040円)。250ccクラスとしては標準的なプライスと言えるが、質感の高さや乗り味など、トータルの商品力を考えるとむしろ価格以上のバリューを持っていると感じる。それも、CB125Rと共通の部品を使うことで実現した戦略だろう。
懐かしさと先進性を併せ持つデザインに、軽快さと安心感、それに所有欲を満たす上質さまでも高次元でバランスさせたCB250R。ビギナーのファーストバイクとしてはもちろん、大排気量スポーツバイクを多く乗りこなしてきたベテランライダーたちが持つ「年齢のこともあるし、もうちょっと気軽に乗れるマシンが欲しい。でも乗るなら良いものを!」というニーズにもしっかりマッチしていると思う。
「前かがみになってスピードを追い求めるだけがバイクじゃないんですよ。こっちの世界も楽しいですよ……」。CB250Rは、そんなホンダのささやきが聞こえてきそうなマシン。乗り手に新たなバイクの楽しみ方を教えてくれる、良きパートナーとなることだろう。
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