カワサキ ニンジャ1000ABS

Ninja1000ABS
KAWASAKI

カワサキ ニンジャ1000 – SS譲りのIMU(慣性測定装置)で安全性と快適性が向上

掲載日:2017年06月01日 試乗インプレ・レビュー    

レポート/中村友彦  写真/渕本智信  記事提供/ロードライダー編集部

後継車というわけではないものの、2016年の夏にそれぞれファイナルエディションを発表したZRX1200DAEGとW800に代わるモデルとして、カワサキは国内向け2017年モデルに、従来は輸出専用車だった4機種を投入した。その中から、SBKで圧倒的な強さを誇るZX-10R/RRと同様のフロントマスクを導入した、ニンジャ1000のインプレをお届けしよう。

SS譲りのIMUで
安全性と快適性が向上

近年のビッグバイク界では、スーパースポーツの基本構成を転用して、ネイキッドやツアラーを生み出すことが一般的になっている。そんな中にあって、2010年型以降のニンジャ1000とZ1000は異質の存在だ。兄弟車として開発されたこの2台は、アルミツインスパーフレーム+並列4気筒という構成でありながら、カワサキ製スーパースポーツの旗艦にして、レース用ホモロゲモデルのZX-10R/RRとはほとんど部品を共有せず、すべての面でストリートを重視した設計が行われているのだ。

もちろん、これはどちらがいい悪いという話ではないし、スーパースポーツの基本設計を転用することで得られる美点も存在する。とはいえ、日常域におけるライディングプレジャーや、どんな用途にも気軽に使いたくなる万能性、本来の資質が削ぎ落とされたデチューン感も皆無という点で、ニンジャ1000/Z1000が秀逸な資質を持っているのは事実だ。

さて、2台に関する前置きが長くなったが、僕にとってのニンジャ1000は、ZX-14Rと10RとDAEGのいいとこ取りと言いたくなるキャラクターで、デビュー当初からかなりの好感を抱いている。もっとも、ストリートファイター的な特性のZ1000と基本設計を共有しているからか(ただし、前後サスペンションや燃料噴射マップの設定は当初から各車専用設計で、2014年型以降はニンジャ1000のみがトラクションコントロールを導入)、ロングランでは時として、ツアラーらしからぬアグレッシブさが気になって、これを解消するには、キャスター/トレールとホイールベースをもっと大きくするべきではないか、と感じていた。

トレールは1mm少ない102mmだが、キャスター角:24.5度、ホイールベース:1440mmという数値はZ1000とまったく同じ。ちなみに装備重量は、Z1000の221kgに対して、ニンジャ1000は+14kgの235kgである。2017年型日本仕様のボディカラーは、写真の緑×黒に加えて、黒×グレーを用意する

だがしかし、大幅刷新を受けた2017年型ニンジャ1000は、なんとZX-10R/RRで実績を積んだIMU=慣性測定装置を導入し、トラクションコントロールとABSの高性能化を図り、課題に対処。言ってみれば、従来のアグレッシブさや軽快さやスポーツ性さはそのままに、最新の電子制御によって安全性を高めて来たのである。そして実際に2017年型を体感した僕の感想は……。

ライディングポジションは適度にアップライト。シート高はZX-10RとDAEGの中間となる815mmだ

1本取られました、だった。この感触なら、従来型のニンジャ1000より雨天や悪路走行は楽なはずだし、従来型よりレベルの高いスポーツライディングが楽しめるだろう。いずれにしても2017年型には、安易なキャラクター変更をよしとせず、独特の乗り味を大切にする、カワサキ技術陣のニンジャ1000への思い入れを感じたのだ。

なお2017年型に関しては、快適性を考慮して座面幅と厚みを見直したシート、握りやすくなったグラブバー、LED化で明るさが増したヘッドライト、視認性が良好な多機能メーターなども好印象で、率直に言ってこれはもう、見事な進化だと思う。もちろん従来型と同じく、ボディと同色のパニアケースやグリップヒーターといった純正アクセサリーも豊富に準備されており(日本仕様はETCユニットを標準装備)、このあたりもライバル勢と比較した際に、大きなアドバンテージになるだろう。

ニンジャ1000の詳細写真は次のページにて

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