ニンジャ650ABS

Ninja650ABS
KAWASAKI

カワサキ ニンジャ650 – 全面刷新で研ぎ澄まされた定番ミドルツインの万能性

掲載日:2017年06月05日 試乗インプレ・レビュー    

レポート/中村友彦  写真/渕本智信  記事提供/ロードライダー編集部

2006年の発売以来、世界各国で好評を得てきたものの、各メーカーから魅力的なライバルが続々と登場した近年は、その勢いを失っていた感があるカワサキ製650ccパラレルツイン。ところが、フルモデルチェンジを受けた2017年型の登場で、ミドルクラスの勢力図は大きく変わることになりそうだ。

全面刷新で研ぎ澄まされた
定番ミドルツインの万能性

どこからどう語るべきかで迷うものの、ニンジャ650の乗り味にはビックリした。まさか、11年目を迎えたカワサキのミドルツインが、ここまで真摯な熟成を行うとは……。

本題に入る前に説明しておくと、2006年から販売が始まったカワサキの650ccパラレルツインシリーズには、フルカウルバージョンとネイキッドが存在し、従来は仕向け地によって車名が異なっていた(日本を筆頭とする一部地域用として、400cc仕様も存在)。

ただし、全面刷新を受けた2017年型は、フルカウル:ニンジャ650、ネイキッド:Z650で統一。そしてニンジャ650は兄貴分と同じく、ZX-10R/RRに通じるフロントマスクを採用し、僕はそれを含めた外装の刷新が2017年型の目玉とタカをくくっていたのだが、実際に乗ったニンジャ650は、先代とは完全な別物だったのである。

2006年以降のカワサキ製650ccパラレルツインに対する印象は、よく言えばやんちゃ、悪く言えば大ざっぱだった。具体的には、日常域で昂揚感が得られる一方で、走行条件が悪くなったり、その気になって飛ばしたりすると、エンジンマネージメントや足まわりに不安を感じる場面があったけれど、2017年型はどんな場面でどんな走りをしても、不安になることなく、操る楽しさが維持されている。

もっとも僕自身、やんちゃな従来型を否定するつもりはないのだが、2017年型はあらゆる場面でみっちりテストが行われた印象で、この特性なら速度域が高いサーキット、あるいは逆に路面がガタガタの酷道を走っても、心からライディングが満喫できそう。

では、カワサキはどうやって現状の特性を獲得したのだろう。あまりに変更点が多いので断言はできないが、キモになるのは18kgも軽くなった車重、H2の技術を転用したようにも思える新設計のスチールトラスフレーム、軽量化とトラクションを重視して設計されたアルミスイングアーム(従来型はスチール製)、直押し式→リンク式となったリアショック、最高出力の低下を気にすることなく、あえて2mm小径化した36mmのスロットルボディ、あたりだろうか。

いずれにしても2017年型ニンジャ650とZ650は、コストが重視されがちなミドルの世界では、異例と言えるほど気合いが入った仕様変更を行ってきたのだ。

しかも日本仕様の価格は、他メーカーのライバル勢の平均値をごくわずかしか上回らない、ニンジャ650:80万7,840円、Z650:78万6,240円で、いずれもABSを標準装備する。ここ数年は、MT-07を擁するヤマハが先行し、それをホンダNC750X/SとスズキSV650が追いかける図式になっていた日本のミドルツイン市場だが、2台のカワサキが登場した今後は、ガラリと勢力図が変わるんじゃないだろうか。

ニンジャ650の詳細写真は次のページにて

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