ホンダ VFR1200X デュアル・クラッチ・トランスミッション
ホンダ VFR1200X デュアル・クラッチ・トランスミッション

ホンダ VFR1200X デュアル・クラッチ・トランスミッション – 海外向けクロスツアラーを国内向けモデルとして投入

掲載日:2015年03月12日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真・動画/山家 健一  衣装協力/HYOD

ホンダ VFR1200X デュアル・クラッチ・トランスミッションの試乗インプレッション

ホンダ VFR1200X デュアル・クラッチ・トランスミッションの画像

フルパワーに負けない走りが楽しめる
快適で安全な万能高速ツアラー

以前『無限』が国内に導入していた海外仕様のクロスツアラーに試乗したときは、V4エンジンにDCTの組み合わせということで、アドベンチャーツアラーとしては変わり種という感じがしたが、それから数年でこのジャンルも多様化して、「快適ビッグオフ」という括りに収まらないモデルも増えてきた。DCTという機構もNCシリーズやNM4などホンダの新たなコンセプトを体現するモデルに次々と採用されたこともあり、今回のVFR1200Xについても最初に試乗したときのような戸惑いはない。

久々に乗ってみたが車重や車格のサイズ感は相変わらず。あのCB1300シリーズよりひとまわり大きく重いと言えばイメージしやすいと思う。取り回しはさすがに体力勝負となるが、国内仕様ではシート高がかなり下げられたおかげで、このジャンルとしては足着きがすこぶる良い。

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加速力は健在だ。海外仕様のフルパワー129psの圧倒的な加速と比べても遜色ないレベルで、体感的にはカタログ値の106psよりもっと出ている感じがする。最大トルクで見るとほぼ変わらないかもしれないが、通常の公道走行では十分すぎるほどパワフルだ。

「Honda セレクタブル トルク コントロール」と名付けられたトラクションコントロールが装備されており、路面状態が怪しいときなどはとても頼りになる。介入度は最強レベルでも普通にスロットルを開けて加速できるので違和感はなく、それでいてマンホールなどで滑ると即座に作動してパワーを制御してくれるので安心。一方、コンバインドABSブレーキは前後連動ならではの強力さ。ただし、リアだけ操作してもけっこう効くので、Uターンや低速バランスでは少々慣れが必要かも。ちなみにABSの介入タイミングは割と早めだ。

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ハンドリングはダイナミックで、大柄な車体と19インチホイールで豪快に曲がっていく。長い脚とワイヤースポークホイールのおかげで、コーナー途中にある減速帯や路面の荒れなど気にせず走り抜けられるのは、このジャンルの強みだ。

クルーズで真骨頂を発揮してくれるのがDCTだ。ゆったり街を流したいときはATモードのDモードでストレスフリー。追い越し加速やメリハリよく走りたいときはSモードでキビキビと。ワインディングなど自分の意思でマシンを制御したい場合はMTモードで…といった具合に、気分やシチュエーションに合わせて、1台で3つのキャラクターを楽しめてしまうわけだ。また、DCTはエンストしないので、坂道発進やUターンなど失敗体験がトラウマになっている人にもおすすめ。ただ、やはり通常のミッション式と比べればMTモードでも若干のタイムラグはあるので、そこを許せない人にはDCTは不向きだと思う。

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海外の動画などを見ると、VFR1200Xでオフロードを豪快に走るくシーンを見ることもあるが、こと日本の環境において、それは夢のような話。ただ、このマシンがその気になればオフロードを走るだけのポテンシャルを持っていることが嬉しいし、頼もしい。オフロードバイク由来のモタードが、実は市街地では敵なしの通勤快速であったように、アドベンチャーツアラーも実は過酷な環境になるほど快適力を発揮する“万能高速ツアラー”と言える。もて余すほどのパワーとフル装備の巨体、長い脚がそれを可能にしている。そしてDCTは、快適さの次元をさらに高めているのだ。

ホンダ VFR1200X デュアル・クラッチ・トランスミッションの詳細写真は次ページにて

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