

掲載日:2015年02月26日 試乗インプレ・レビュー
レポート/和歌山 利宏 写真/徳永 茂 記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『New Model Impression』を再編集したものです
ひと足先に登場したフルカウル付きのCBR400Rに対し、第2弾のCB400Fは、ネイキッドタイプ。車体もエンジンも共通で、サスセッティングまでも変わらないという。ライディングポジションは違っても、ステップ位置は同じで、ホンダの技術説明会でも「両車のハンドリングの違いは、ハンドル位置によって表現されています」とのことだ。
実際に僕自身、ハンドル位置がハンドリングに大きく影響することは、何度も経験している。だけど、本質が変わる訳ではなく、単なるCBR400Rのネイキッドバージョンか、といった気持ちで試乗に臨んだのだが、これがなかなか違うのである。バイクから受ける雰囲気、バイクに接しているときの気分が、絶妙にアレンジされているのだ。
まず、最初にお伝えしないといけないのは、ライポジのこと。多くの国内向けネイキッドのつもりでいたら、これが大違い。グリップが手前に絞られているのではなく、開き気味で、どちらかと言うとストリートファイター風なのだ。欧州製ネイキッドとしては普通だろうが、ともかく変に肘を絞るのではなく、自然体でコントロールしやすい姿勢で身構えることができるので、このライポジには拍手モノである。
CB400FとCBR400Rでは、車重こそRのほうが2kgほど重いが、車体ディメンションは全く同じで、サスセッティングも変わらない。これはエンジン搭載位置やフレームの剛性バランスが、最適化されていることの証しでもある。ともにシート高は785mmで、両車のステップ位置も同じだが、ご覧の通り、Fはハンドル位置が高く、扱いやすさを重視したものとしたのが分かる
CB400Fのハンドル位置は高くにあって、ハンドルに手を伸ばすと、上の図のように、上体はアップライトになる。だけど、ハンドルは高くても前方にあるし、ダイナミックに駆る状況では、肘を開き気味に身構えることになり、必ずしも上体が起きたままという訳ではない。ハンドルが低くても手前にあるCBR400Rが、前傾度が強いとも言い切れないのは、両モデルの走りの写真を見比べてもらえば、察してもらえるはずだ。
ともかく、ハンドリングが両車で異なるのは事実。おそらく、それはライポジだけでなく、カウリングの有無による重量や空力効果の違い、ステアリング系の慣性マスの違い(ミラーやカウルのマウント方式が異なる)によるものだと思う。
つまり、このCB400Fのほうが軽快感があって、安定性という面ではCBR400Rに敵わなくても、ステアリングにキビキビ感もあって、操る面白さでは勝っているという訳だ。もちろん、それはシチュエーション次第で、サーキットのようなところならRのほうが攻め込めるが、街中を中心に日本中のどこにでもあるような山道を走ろうというなら、このFが最高かと思う。
特に、見通しが悪く小さく回り込んだところでも、舵角を入れて曲げていく面白さを引き出しやすい。その中間バンク角での過渡期の接地感もなかなかのものである。
エンジンはRと同じである。しかし改めて、輸出用の500でなくても、この400で十分と思えてくる。最高出力は1kWしか変わらず、トルク的に不利だとしても、全くトルク不足には感じられないからだ。それにひょっとすると、トルクカーブに乗る感覚はこの400エンジンの方が上手かもしれないと思えてくる。
以前、このエンジンについての紹介記事を展開した際、500のスケールダウン版であっても、400としても最適化されているという旨を紹介した。でも、この話にはおまけがあって、聞けばそもそもの開発の出発点は400だったようだ。国内向けに400を企画したものの、国内市場が冷え込んだ状況下では、新機種を起こすのは無理で、全世界向けの500として企画が続行されたという経緯だったそうなのだ。
だから、このCB400ファンダメンタルシリーズは、海外向け500のお下がりなどではなく、これが本来の姿であると思っていいのかもしれない。とにかく、そう考えていい出来栄えなのである。
で、両車の選択はRはレーシングイメージ、Fはファイターイメージと捉え、好みで選んでもらって差し支えないと思う。
車両の構成自体はCBR400Rに限りなく近いが、カウルレスとしてアップハンドルを装備。実際、400Fは軽さや取り回しのしやすさなどを高めて、日常的な移動手段にふさわしい作り込みを受けているのだ。カラーリングは、写真のホワイトのほか、ブラックも用意されている
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