

掲載日:2014年08月07日 試乗インプレ・レビュー
取材協力/本田技研工業株式会社 取材・文/友野 龍二 写真/MotoRIDE編集部
2輪車史上初となる、水冷90°V型4気筒DOHC16バルブ、排気量748ccエンジンがデビューしたのは1982年のこと。より高出力、小型で幅の狭いエンジンこそが、モーターサイクルに求められるものと判断したホンダが生み出したこの高性能エンジンには、5速+OD付トランスミッションや、2輪車初の油圧クラッチシステムが組み込まれ、世界戦略車としての使命を受けた『VF750セイバー』に搭載された。その直後にはバックトルクリミッターを市販車として世界で初めて採用した『VF750F』が登場。1986年には『VFR750F』となり、カムシャフトの駆動をチェーンからカムギアトレーンに変更したエンジンをアルミツインチューブフレームに搭載し、1990年にはツアラー色を強め、片持ち式スイングアームを導入。1998年には2mmロングストローク化され、排気量が781ccに拡大した『VFR』が登場し、2002年にはバルブ休止システム『HYPER-VTEC』や、デュアルコンバインドブレーキシステム(前後輪連動ブレーキ)が搭載されるなど、先端技術によって時代をリードするシリーズであったが、2008年をもって日本仕様はカタログから姿を消した。
スポーツツアラーとしての確固たる地位を築き上げたVFRが次に目指したもの。それはシャープで気品漂うスタイリングと質感の高さを主張する造形美である。全体的なスタイリングではボディサイドを貫く上下2本のラインをシルエットの基調とし、大きな面の構成によってエッジの効いたデザインを完成させた。
フロントビューも特徴的で、ボリュームを抑えたカウルにはXシェイプの4灯式LEDヘッドライトを採用し、リアビューではコンビライトを踏襲しながらも、テールランプのライン発光と、発光部が分けられたストップランプにより、精悍さを演出している。
また正立フロントフォークのアウターチューブはアルミニウムを削り出した後に、アルマイト仕上げを施し、トップブリッジ、ホイール、シリンダーヘッドカバー及びケースカバーをブロンズ色で統一するなどして、高級感を演出している。“走る、曲がる、止まる”という基本性能の磨き上げも徹底して行い、シートレールの材質変更に始まり、右1本出しのマフラー、スイングアーム、フロントフォーク、ホイールの新規開発によって大幅な軽量化を達成。こうしてライダーの如何なる要求にも応える俊敏な運動性も手に入れた。
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