ヤマハ MT-09
ヤマハ MT-09

ヤマハ MT-09 – ヤマハは3気筒たるを車体とも調和

掲載日:2013年10月24日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/和歌山 利宏  取材協力/ヤマハ発動機株式会社

ヤマハ MT-09の試乗インプレッション

ヤマハ MT-09の画像

日本的な優等生の一面を感じさせる一方で
ちょっとアウトロー的なアグレッシブさも

一見するとシートは高い印象だが、跨ると意外とそうでもない。下半身が驚くほどスリムに収まり、シート高は815mmでも、感じる高さは790mmといったところ。しかも軽いので、ツインに跨っているかのようだ。ライディングポジションも、普通のロードモデルよりハンドルグリップが幅広で、高く近くにある。上体が起きて余裕もあり、コントロールしやすそうだ。

車体を揺すると、前後サスペンションのストロークが豊かだ。一般的なロードスポーツよりも、ストロークは大きめなのだ。路面の荒れに影響されにくく、姿勢変化を大きく生かした走りに向いているようだ。

ヤマハ MT-09の画像

始動したエンジンは、スムーズさの中にパルス感があっていかにも3気筒らしい。発進していくと、そのパルスはさらに大きく、はっきりと伝わってくる。クランクマスは軽めとのことで、鼓動をより明確に感じさせているようだ。そうすると神経質なフィーリングになりそうなものだが、それはない。あくまでも上質なのだ。極低回転での粘りもある。

実際に走ってみると、跨ったとき以上に車体をスリムに感じる。フレキシブルな車体がしなってストレスを吸収してくれるのか、フロントは常にニュートラルに保たれている。寝かし込みに応じてフロントの内向性と接地感が高まっていく。おまけに、寝かし込んでスロットル開けるときもストレスがなく、ニュートラルなまま。だから一層スリムに感じるのかもしれない。お断りしておくが、あくまでも車体はシャキッとしていて、ヤワに感じるわけではない。

ヤマハ MT-09の画像

前後サスペンションの豊かなストローク量によるネガはない。姿勢変化させやすくても、然るべきところにスッと落ち着き、あおられることもないのだ。

エンジンは全域に渡ってトルクカーブがスムーズで扱いやすく、メリハリもある。また、常用域は 7,000rpm 以下であっても、11,000rpm でリミッターが効くまで使い切る面白さがある。

パワーモードは、スロットルを閉じれば走行中も右ハンドルスイッチのボタンで、「A」「STD」「B」の3段階に切り換えができる。最もスポーティなAモードでも、決して過敏で神経質な反応を見せず、うまく扱えばむしろダイレクトに扱える。もちろん、もっともソフトな「B」だと、少々のミスも見逃してくれる。また、特にこの雨の中ではABSがありがたく、ストレスを感じさせない。

ヤマハ MT-09の画像

そして何より、足着き性が良く、取り回しもしやすいことで、スポーティに楽しめる街乗りバイクとして、実用性も高い。

と、ここまでが、MT-09のフレンドリーなストリートスポーツとしての一面である。ところがそれだけではない。エキサイティングに楽しめるストリートファイターとしての資質を備えているのだ。扱いやすいエンジンも、怒涛の太いトルクを取り出すことができる。パワーモードAで1速全開加速をすれば、7,000rpm ぐらいから軽々とフロントが浮き始め、トルクピークの 8,500rpm に向ってサオ立ちになりそうな勢いなのだ。

ヤマハ MT-09の画像

また、雨の中での扱いやすさが光るハンドリングも、晴れた路面ではスポーツ性を見せつけてくれる予感がある。ニュートラルな内向性を生かしてクルッと向きを変え、フレームを撓ませるようにリアから回り込むように向きを変え、ダッシュしていく…。

日本車らしい、フレンドリーで優等生な面=“Bright Side”(表向きの明るい面)があるとしたら、“Dark Side”(暗黒面)には日本の意外な一面もあるということでないか、と思ってしまうのである。

ヤマハ MT-09の詳細写真は次ページにて

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索