ヴィクトリー ヴィジョン ツアー
ヴィクトリー ヴィジョン ツアー

ヴィクトリー ヴィジョン ツアー – 気鋭の “アメリカン” が登場

掲載日:2013年07月11日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真・動画/MOTOCOM  衣装協力/HYOD

ヴィクトリー ヴィジョン ツアーの試乗インプレッション

ヴィクトリー ヴィジョン ツアーの画像

巨大トルクに弾ける加速
迫力満点で走りもいい

スモール DUKE シリーズの完結編となる 390 DUKE が登場したことで、多くのライダーが知りたいのは 200 DUKE との住み分けだろう。今回、両者を乗り比べることができたので、そのあたりを中心に話をすすめたい。

昔のSF映画で見た未来のバイク、あるいは20世紀初頭に流行したアールデコ調のクラシックカーを思わせる斬新なデザインが目を惹く。新しさの中にレトロな雰囲気も持ったヴィジョンは、今までに見たことがないバイクだ。他の真似をしないチャレンジ精神の体現こそが、ヴィクトリーというブランドの存在意義である。

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ピカピカの巨大なエンジンに、これでもかと言わんばかりのグラマラスなボディ。とにかくデカいし目立つ。現車を前にすると、まずその存在感に圧倒されるはずだ。さぞ重いのだろうと覚悟を決め、サイドスタンドを払って車体を起こそうすると、意外やそれほどでもない。低重心なのかバランスが良く、跨ってみるとシート前方はほっそりしていて足着きもかなりいい。急に親しみが湧いてきた。

セルボタンを押してエンジンをかける。重いクランキング音に続いて、「ズドーン!」と身震いしながらエンジンが目覚める。さすがに 1,700cc オーバーの迫力はハンパではない。アクセルひとつで 400kg 近い車重をものともせずにグイグイと引っ張っていく。狭角の大排気量空冷Vツインということで、どうしてもハーレーと比べてしまうが、やはりエンジンの鼓動感や低速から弾けるトルクフィールなどは似ていると言わざるを得ない。ただ、ヴィクトリーは動弁系に SOHC 4バルブ(ハーレーは OHV )を採用しているためか、出力特性の輪郭がよりはっきりしている気がする。スロットルに対するレスポンスも比較的シャープだ。

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ハンドリングはこの巨体にしては軽快。今どきの大型ツアラーは、ハーレーの 『ロード・グライド』 やホンダの 『ゴールドウィング』 にしても、車重のワリにハンドリングが重ったるいということはあり得ない。今回試乗したヴィジョンも、タイトなワインディングを右に左に切り返しながらスイスイと走り抜けることができる。バンク角もそこそこ深く、コーナーでけっこう頑張って寝かし込んでいくとフロアボード(ステップ)が接地するが、可倒式なので車体の挙動が乱れることはない。前後サスペンションの動きにもグレード感があり、ソフトな乗り心地の中にもしっとりとしたコシ感がある。ギャップの多い路面でも巨体をしっかり支えつつ、安定して思い通りのラインをキープできた。

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秀逸なのはブレーキ。前後連動 ABS を採用しており、ペダルを踏むとリアと連動してフロントのダブルディスクも効くタイプで、制動力も極めて強力。右足の操作だけでほとんど間に合ってしまう。もちろん、フロントも使えば、コーナー手前でピッチングモーションを作って倒し込むなど、普通にバイクの動きを見せてくれる。そして、減速度に耐えきれずタイヤがグリップ限界を超えたときは、ABS がきっちり作動してくれるので安心だ。ちなみに、ヴィクトリーは全モデルに 『カヤバ製』 サスペンション、『ニッシン製』 ブレーキなど日本製のパーツが採用されているそうだ。

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極めつけは「ストレージ」と呼ばれる収納スペース。ヴィジョンにはパッセンジャーシートの周囲に一体型のトップケースやサイドバッグを備えているが、その容量はなんと 109 リットル。他の GT ツアラーに例えるなら、フルオプション並みの収納が標準装備されている。また、クルーズコントロールや電動スクリーン、高性能オーディオ、グリップ&シートヒーターなどの快適装備も最初から付いているなど、車両単体ですでにツーリングパッケージとして完成している点も魅力である。

アメリカンスタイルは好きだがハーレーとはひと味違う個性を求めたい人、走りの性能にもこだわりたい人、新しいもの好きでとにかく目立ちたい人にはおすすめのモーターサイクルだ。

ヴィクトリー ヴィジョン ツアーの詳細写真は次ページにて

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