ホンダ ゴールドウイング
ホンダ ゴールドウイング

ホンダ ゴールドウイング – 「キング・オブ・モーターサイクル」を標榜

掲載日:2012年02月02日 試乗インプレ・レビュー    

ホンダ ゴールドウイングの試乗インプレッション

ホンダ ゴールドウイングの画像

比類なき快適性を極めた
まさにファーストクラスの走り

GLには1500時代を含めて何回か試乗経験があるが、今回はひと際、魅力的に見える。GLと聞くと、今まではなんとなく「オジサンくさい」と思っていたのだが、従来型のいかにもグランドツアラー然とした重厚感から比べると、新型はぐっとスポーティで若々しくなった印象だ。自分が歳を重ねたこともあるだろうが、GLが時代の慣性によりマッチしてきたのかもと思う。35年という長い年月をかけて熟成してきたGLは、他に比類するものがない気品と存在感を持ってそこに佇んでいる。

サイドスタンドを払って起こしてみるが思いのほか軽く、センタースタンドも意外なほど簡単。軽自動車並みの 425kg の車重とはとても思えないほど楽に上げられる。跨ってみると足着き性はかなり良いのだが、深く腰掛けるとサドルの縁が盛り上がっているため足を出しにくくなる。足を着くときはシートの前寄りに着座位置をずらすのがコツだ。市街地での「足着き性」と長距離クルーズでの「快適性」を両立させるための機能的デザインと言える。シートの座り心地は素晴らしく、まるで重役椅子のように快適。跨るというよりは腰全体が包み込まれる感じだ。

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熟成を重ねた水平対向6気筒エンジンはとても静粛で上品なサウンドを奏でる。ビロードのような滑らかな回転はまさに “シルキーシックス” そのもの。5速トップギアで 1,000rpm からでもグズることなく加速していく圧倒的な低速トルクは、まるで4輪車のよう。シリンダーが左右に寝そべった形の水平対向エンジンは、極低速での安定感にも優れていて渋滞路でも意外とバランスを保ちやすいのもメリットだ。取り回しは正直厳しいのだが、セルモーターで駆動する電動式のリバースギアのおかけで狭い駐車場での出し入れなどは心強い。

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高速道路はGLの真骨頂だ。まるでレールの上を走っているかのような直進安定性とラグジュアリーカーのような極上の乗り心地はGLならでは。文字どおり、バイクに身を委ねていれば、とても平和な時間が流れる。ウインドスクリーンは走行風を完全にプロテクトしてくれるし、雨が降れば間欠ワイパーが視界を確保してくれる。冬場ならグリップヒーターとシートヒーター、さらには足元からは温風ヒーターを投入して暖を取ることも。トップケースと左右トランクを含めて140リットルのラゲッジスペースは頼もしい限りで、荷物満載でタンデムするときも、ボタンひとつでサスペンションのプリロードアジャスターやヘッドライトの光軸まで調整できてしまう機能には驚きだ。また、ナビ画面は手元のスイッチでルート検索やオーディオ画面への切り換え、ラジオで渋滞情報を入手したり、携帯音楽プレーヤーでお気に入りの曲を6点スピーカーから流れる迫力の重低音サラウンドシステムで聞くこともできる。

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この巨体からして鈍重なイメージを持たれがちだが、GLはその外観イメージより遥かにスポーティだ。大排気量ラグジュアリーカーが大トルクを生かしてスポーティな走りを見せるように、節度さえわきまえればGLでもワインディングを楽しむことができる。ハンドリングは非常に素直で、フロントの切れ込みや途中からバンキングスピードが変わるなどのライダーを不安に陥れる要素がまったくない。回転数は上げすぎず、豊かなトルクのメリットを存分に生かしつつ、スロットルのオン/オフだけで切り返していくのが気持ちいい。

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重量と低重心が成せる技だと思うが、どっしりと地に足が着いている感じでコーナリング中も独特の安心感がある。新型になってフロントまわりの剛性バランスが見直されていることも効いていると思う。

これだけの巨体を止めるとなると、デュアルコンバインドABSも無くてはならない装備だ。リアブレーキをかけるとフロントも同時に効くタイプの前後連動方式だが、気軽にワインディングを流すペースなら、ペダル操作だけで速度コントロールができるので楽である。

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今回の試乗モデルは<エアバッグ・ナビ>仕様で、これを実際に試してみることはできないが、万が一の際の安心感たるや絶大なものがあることも付け加えたい。そして、次世代のGLではぜひトラクションコントロールも装備されることを期待したい。

「クルマみたい」と揶揄されることも多いゴールドウイングだが、走りはモーターサイクルそのもの。2輪メーカーであるホンダのマインドがしっかり詰まった、操ることが実に愉しいマシンである。

ホンダ ゴールドウイングの詳細写真は次ページにて

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