掲載日:2008年04月22日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
ライトカウルとフロントフェンダーを一体とした、鳥のくちばしを連想させるフロント周りや、エンジン下に取り回されるエキパイと急角度に跳ね上がるツインサイレンサー。690 SUPERMOTO Rのスタイリングは、第一印象からして独自性に満ちており、いわゆる今までの「オフロードバイクをベースとしたモタード」とは一線を画している。ニューエンジンを搭載した初めてのストリートモタードとして、エンジンだけでなくスタイリングにも新しさを取り入れようというKTMの意志が感じられるところだ。ニューLC4エンジンの特徴は、軽量コンパクトでハイパワーであることと、静粛性やユーロ3排ガス基準への対応など環境性能との両立。燃料供給はインジェクションとされ、APTCスリッパークラッチも標準装備する。そのエンジンを包むのはトラス構造のクロモリフレーム。690 シリーズ共通の装備となるが、690 SUPERMOTO Rではオレンジ塗装となり、メーカー色を強く打ち出している。リヤサスはKTMのレーサーモデルに多く見られるリンクレス方式ではなく、旧LC4モデルから引き続き採用するボトムリンク式。これを独自のオープン構造スイングアームと組み合わせている。
モタードモデルにスポークホイールが採用されていたのは、オフロードモデルと同じくジャンプの着地などの大きな衝撃を吸収するため。サスペンションだけでなく、ホイール自体がたわむことで衝撃を和らげてきたのだ。しかしコンペティションの世界では、サスペンション自体の進化や16.5インチタイヤ・ホイールの登場、ジャンプセクションの簡略化などに合わせ、キャストホイールの注目度が高まっている。ましてやストリートでは、ホイール自体で衝撃を吸収するようなステージはほとんどないわけで、ユーザーの好みの問題はあれど、単純に強度が高く、メンテナンス性もいいキャストホイールの採用にメリットは大きい。