掲載日:2011年12月07日 バイク購入ガイド 件のユーザーレビュー
文/淺倉 恵介
YZF-R1ゆずりのハイパワーエンジンを搭載する、スパルタンなストリートファイターとして好評を博しているFZ1。そのFZ1と基本コンポーネンツを共有するモデルが『フェザー8』です。ルックスもFZ1のイメージを踏襲していますが、カウルや燃料タンクはフェザー8の専用品。「似てはいても、同じではない」というところに、ヤマハのこだわりが感じられます。
金型鋳造で作られた、アルミ製フレームはFZ1と同スペック。ステアリングステム、フロントフォーク、スイングアームなど車体を構成する主要部品もFZ1と基本的に同じもので、ディメンジョンもFZ1のそれに倣います。フロントフォークとリアショックユニットのスプリングやダンパーはフェザー8の専用設定とされ、リアタイヤのサイズも異なりますが、シャシーはかなりの部分をFZ1と共有していると言ってよいでしょう。
ベースとなったエンジンは、兄弟車であるFZ1と同様2004年モデルのYZF-R1です。排気量は779cc、フェザー8のアイデンティティは、このエンジンにあると言っても過言ではないでしょう。排気量ダウンはシリンダーボアを 9mm縮小することで行われており、相対的にロングストローク化されたことになります。シリンダーヘッドも専用設計品で、バルブ数は5バルブから4バルブに変更されています。超ショートストロークで高回転高出力を狙ったYZF-R1とは異なり、全域でのスムーズなトルク特性を意図したモディファイだと考えられます。ほぼ同一の車体に、ただパワーを落としただけのエンジンを載せても、あまり意味はないでしょう。フェザー8はFZ1とキャラクターの異なるエンジンを搭載することで、独自の魅力を生み出しているのです。
また、ライディングポジションの見直しも、フェザー8のキャラクターを表す大きなポイントです。ハンドルはライダーに近く、ステップは低く変えられています。スペック上のシート高はFZ1と同じですが、前部が絞り込まれた形状に変更され、燃料タンクの前後長が詰められているので、足着き性は向上しています。全体的にコンパクトになり、乗車姿勢も緩やかになったポジションは、日常使用やツーリングでの使い勝手を上げています。パフォーマンスを追うばかりではなく、ストリートでの楽しさやユーティリティを重視した フェザー8は、我々ライダーに新しいバイクの楽しみ方を提案してくれるイノベーティブな1台なのです。