掲載日:2009年03月09日 特集記事 › ガンコ者には“ニューボニー”が効く!
着実な進化をたどってきた
51年目のボニーに達観する
>> 前編からのつづき
…ギヤを1速に入れ、クラッチをゆっくりとつないで走り出すと、やはりバーチカルツインはトトトと吹け上がっていく。2気筒エンジンで語られる鼓動とか力強さは薄めだ。しかしそれはボンネビルのせいではないし、鈍磨されたとはいってもやはりキバはキバ、排気量865ccのエンジンはキッチリとトルクを発生し、タイヤが地面を蹴りつけていく。吹け上がりは軽いのだが、低回転域からシッカリとしたトルクが生まれていて、乗り手の予想以上にスピードが上がっていく。回転上昇は360度位相クランクらしさに溢れた、スムーズでなめらかなものだから、気をつけていないといつの間にか制限速度を超えてしまう。
それはエンジンが本来持っている豊かなトルクに加えて、17インチアルミキャストとなったホイールがもたらす軽さも大きく作用しているところなのだろう。試しにスラロームをしようと右へ左へ荷重移動してやると、ボンネビルはとても素直に車体を傾け、方向を変える。これまでのボンネビルの持ち味でもあった、おおらかなハンドリングはどこにもない。スタイルこそ旧き良き時代を色濃くしているが、その走りはまったく現代的だ。
道を間違えたことに気づいて不意にブレーキを握る、そのときにもホイールの軽さの恩恵は現れる。スピードを咄嗟に殺し、さっと向きを変えて交差点を曲がれる。これを今までのボンネビルでやろうとすると、それなりのテクニックがいるし、カスタムやチューニングも必要になってくるかもしれない。
市街地をひとしきり走ってボンネビルのエンジンを止める頃には、私の偏見はなくなっていた。やっぱりオートバイは乗ってみなけりゃわからないし、世の中がオートバイに夢と希望を託していたおおらかな時代と比較しているだけでは、新たな価値を持ったオートバイを見つけることはできない。ニューボンネビルはオートバイ本来の楽しさに加えて、誰もが楽しめるやさしさという価値を持つ。ガンコな旧来の乗り手の目を覚ましてくれることだろう。 |
| フロントホイールが19インチスポークから17インチキャストへと変わり、抜群に軽快なライディングフィールをもたらしてくれた。ストレートを飛ばしているときにもその効果をハッキリと感じられるし、エンジンをかけずとも押し引きしているだけで十二分に感じられる。
新しいボンネビルの軽快さは市街地走行でもっとも発揮される。ふと思いついて交差点を曲がりたいとき、または止まりたいときに車体が素早く反応してくれるのだ。乗り手のふいの思惑を素早く汲み取ってくれる柔軟さが、ニューボンネビルの真骨頂なのである。これは劇的な進化なのだ。 |