掲載日:2021年09月17日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
いま思うと昔の50ccバイクは実にバラエティに富んでいた。例えば1977年~78年頃のスズキを思い出してみる。縦型2ストエンジンを使ったロードスポーツモデルの「RG50 」が中心にあり、同エンジンを使ったアメリカンスタイルの「マメタン」、オフロード車の「ハスラー」。さらに横型2ストエンジンを使ったモデルが実用車の「バーディー」、ファミリーバイクの「ミニ50」、レジャーバイクの「バンバンRV50」、タウンバイクの「ランディー」と、合計7車種もあった。
そんな時代、短い期間でカタログから幻のように消えていったバイクもある。その名前は「ミニタン」。知っている人はどれ位いるだろう? 当時は小径タイヤ(前輪15インチ×後輪14インチ)のミニオフ車としてヤマハのGT50「ミニトレ」が大人気で、その対抗としてスズキが発売したのが「ミニタン」だった。
当時のスズキミニタンのカタログには「フリーランド・バイク ~決められた道の上しか走れないなんて、青春じゃない。街も大地も、自由自在に楽しむバイク、スズキからデビュー~」と書いてある。なかなかいいコピーなのだ。またオプションとして、フロント&リアキャリア、風防などがあることからツーリングを意識したモデルであることがわかる。内容はそれなのに、インパクトが残せなかったミニタン。さらに翌年、ほぼ同じ内容で、新カラーリングとタイヤを大型化したオフロード車、ハスラーは大人気になるという悲劇まで。確かに売れなかったし、飛びぬけた個性もなかったけど、レトロバイクグラフティを彩る1台であることは間違いない。
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