掲載日:2019年05月10日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
いまから10年いや20年以上前かもしれない。日本全国を旅しているとき、酒屋の前でビールケースを載せた、ボテッと太った不思議な3輪バイクを見つけた。当時はバイクに詳しくなかったので、丸くて動物みたいなバイクだな、きっと海外のバイクなんだろう……と勝手に思っていた。
その後もたまに見かけることはあったが、特に乗りたいとも思わなかったので、メーカーも名前も知らぬまま、そのバイクの印象だけはずっと頭に残っていた。
レトロバイク連載が始まってから「そういえば、昔おかしな形をした3輪車があったけど、何という名前なのかな?」と思って調べると、さすがインターネットの時代、そのバイクの画像はすぐに見つかった。
名前は“ダイハツ・ハロー“。外国製ではなく日本製、それも自動車メーカーのダイハツが作ったバイクと知り2回驚いた。
販売開始は1974年。電気モーターを載せた”ハローBC“もあったらしい。配達や御用きき等のために生まれたトライクで、低くて広く安定した荷台、跨る方向に傾斜するスイングフレーム機構を採用していた。当時の社会事情に合わせた最先端のバイクだったが、残念ながら1年間で販売中止になってしまったらしい。全国のディーラーでしか買えなかったことがひとつの原因らしい。
物を効率よく運ぶための道具だった時代のバイクだが、実用性だけでなく、ホノボノ癒し系の空気を持っているのがハローの魅力なのである。
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