2017EICMA(ミラノショー)/コンセプトモデル「T7」の発展版が発表されたヤマハ・プレスカンファレンス・レポート

掲載日:2017年11月17日 トピックス    

取材協力/YAMAHA  取材・写真・文/河野 正士

ホンダのプレスカンファレンス会場と目と鼻の先にある別会場で開催されたヤマハのEICMAプレスカンファレンス。

「NIKEN」の市販バージョンが登場
「テネレ700」の市販化は未定

ホンダのEICMAプレスカンファレンスの会場と目と鼻の先にある別会場で開催されたヤマハのEICMAプレスカンファレンス。欧州のメディア関係者に言わせると、ヤマハは欧州ブランドのような振る舞いが板に付き、またデザイン的にも機能的にも欧州を強く意識していることから“オラが国のブランド”に近いイメージを持っているという。EICMAにおいても、以前からプレスデー前日にプレスカンファレンスを行い、そこではたっぷりと時間を掛けてニューモデルの発表を行う。それだけ欧州市場を大事にしていることを伺い知ることが出来る。

しかし今回のヤマハは、事前に開催された東京モーターショー2017を越えるトピックスはなかった。強いて言うなら前二輪のLMW(リーニング・マルチ・ホイール)三輪のモーターサイクル「NIKEN(ナイケン)」の市販バージョンの発表と、昨年コンセプトモデルとして発表した、MT-07と同じ並列2気筒エンジンを搭載するアドベンチャー・コンセプトモデル“T7”の発展版、そして今回はプロトタイプとして発表された「Tenere700 World Raid」だろう。

日本人は、これまで何度となくコンセプトモデルだった「ナイケン」を目にしていたが、コンセプトモデルの展示を好まない欧州にとっては、LMWの大型バイクである「ナイケン」を目にするのは今回がほぼはじめて。したがって、その構造や乗り味に興味津々といった印象だった。

冒頭には、2018年は会長職に就くことが発表されたばかりの柳社長が登壇した。

まず登場したのはオーリンズ製サスペンションを採用した「MT-09SP」と、デザインを一新した「MT-07」。ヤマハの新スタンダード・シリーズである“MT”シリーズは欧州でも好調なセールスを記録。よりリッチな装備とパワフルなエンジンを装備する“09”と、軽量コンパクトでシンプルなライトウェイト・スポーツを追求した“07”と、そのキャラクター分けも定着した。

欧州におけるスポーツツーリングカテゴリーで、ヤマハ躍進の原動力となっているのがMT-09をベースにした「トレーサー900」。日本ではMT-09トレーサーと呼ばれているが、欧州ではアタマのMT-09を取り除き、“トレーサー”ブランドを前面に押し出している。トレーサー900はボディデザインを変更するほか、アルミスイングアームなどを新採用。さらにはサイドケースやクイックシフター、クルーズコントロールなど豪華装備を採用した「トレーサー900GT」も発表した。

昨年、MT-07系の並列2気筒エンジンを搭載した、新型アドベンチャーシリーズのコンセプトモデルとして登場した“T7 Concept”は、その市販バージョンが発表されるのではと期待されていた。今回発表されたのは“プロトタイプモデル”となる「テネレ700」だった。ラリーマシンの様なスケルトンフェイスはそのままに、アルミ叩き出しだったタンクとモトクロッサー用リアフェンダーは、より洗練された素材と形状に進化していた。エンジンはMT-07系のままだが、荒々しかったフレーム周りもより市販車に近いフィニッシュで仕上げられていた。欧州モデルとしてラインナップされている、1,200cc 2気筒エンジンを搭載する「スーパーテネレ」もマイナーチェンジ。カーボンサイドパネルや新デザインのアルミ製37リットル燃料タンクを装備。

いまや、すっかりヤマハEICMAプレスカンファレンスの顔となったバレンティーノ・ロッシも登場。プレゼンターとして最後の発表をお手伝い。

東京モーターショー2017ではコンセプトモデルだった「ナイケン」が、市販バージョンとして発表された。おそらく欧州バイク関係者的には“ホントに市販するの?”的に思っていた大排気量LMWモデルだけに、その個性的なスタイリングと独特のメカニズムに期待と不安が入り乱れている、という感じ。

最後はロッシと「ナイケン」を中心に、ヤマハ首脳陣と記念撮影。

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