ユータロー直伝! 林道ツーリング10のポイント/5.シッティングでのブレーキング編

掲載日:2018年08月01日 フォトTOPICS    

取材協力/内山ユータロー、本杉卓也
文/ガルル編集部 写真/舟橋 賢
記事提供/ガルル編集部
※この記事は『月刊ガルル vol.365』に掲載された内容を再編集したものです。

ブレーキング時には
腕と尻でバイクを路面に押しつける

「ブレーキングは、タイヤと路面の摩擦の増減によってバイクの速度をコントロールするもの。より短く確実に止まりたいのであれば、タイヤを路面に押しつけるしかない」とユータロー先生は言う。「意識するのは、前輪と後輪の2カ所。シッティングの場合、前輪はハンドルを前方下に押すことで、また後輪は背骨を丸めお尻でシートを押すことで荷重を増し、タイヤを路面に押しつけている。安定感も大きく増すので試してみてほしい」。

ブレーキングを開始する赤いコーンの手前では、まだリラックスしたシッティングのフォームのまま。シート中ほどに座り、腕はバランスボールを抱えるよう、脇を開け、ヒジを下に落とさずに軽く曲げてハンドルを握っている。

ブレーキングと同時にハンドルを斜め下に押して前輪を、シートの中程に座って背中を丸めるようにしてお尻でシートを押して後輪を、それぞれ路面に押しつけてタイヤのグリップを増している。

前後のサスペンションが大きく均等に沈んでいるのが分かる。これはユータロー先生が前後輪に荷重をかけるようフォームを変化させたことで、タイヤを路面に強く押しつけている証でもある。

これは走行時の基本フォームだが、上の写真と比べてみると、タンクの直近に座り、手もハンドルに乗せているだけだ。ブレーキング時にライダーは、レバーを握るだけじゃなく積極的にフォームを変化させる必要がある。

本杉君のブレーキングを見てみよう。多くのビギナーライダーと同じように、本杉君も赤いコーンを目印に前後ブレーキをかけただけだった。これだと前輪にGが多くかかるので、後輪が浮き気味になってスリップしやすくなる。シートやや後方に座って後輪の荷重を増やすだけでもグリップ力が増し制動距離は短くなるはずだ。

ユータローと本杉君の制動距離はこれだけ違った! フォームを変化させて前後輪の荷重を増やしたユータロー先生と、ただレバーを握っただけの本杉君のブレーキングを比較すると、その差約3mと大きな違いが出た。もちろん安定感も、グリップ力を増していたユータロー先生のほうが上だった。

フロントブレーキだけと、リアブレーキだけとでは制動距離に大きな違いが出た! ユータロー先生にフロントブレーキだけと、リアブレーキだけで、どれだけ制動距離に差が出るのか試してもらった。結果はフロントブレーキのほうが約6mも短く止まれた。この検証でフロントブレーキがいかに大切か分かったはず。やや後方に座り、お尻でシートを下に押して後輪の荷重を増やすことも大切だが、ハンドルを前方下に押して前輪を路面に押しつけ積極的にグリップ力を増すことで、制動距離を確実に短くすることができるのだ。ぜひ普段から、前後輪に荷重をかけてブレーキングする練習をしておこう!

フロントだけのブレーキングだと、フロントサスが大きく沈み込んでいる分、後輪の荷重が抜けているが、制動力はある程度保たれている。

リアだけのブレーキングでは、リアサスが大きく沈み込んで尻下がりの状態。姿勢は安定しているが、前輪の荷重が抜けてしまっている。

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