【ホンダ NX400 試乗記】毎日が大冒険。これはタマラン!

掲載日:2024年07月01日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/小松 男

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HONDA NX400

普通自動二輪免許で乗れることもあり、幅広い層に支持されてきたミドルクラスアドベンチャーモデル400Xが大幅にアップグレードし、NX400として登場。モダンなスタイリングで大ヒットの予感!

高い完成度を誇った400Xを
凌駕することはできるのか!?

アドベンチャーバイクが多くのライダーに支持されているのは、自動車のSUVブームと良く似ていると思う。高いアイポイントによる広い視界、走破性能、そしてタフギア感などなど。それらは日常的なシーンでもメリットとなるのだ。

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ただ同時に、本格的なオフロード走破性能を持つものやオンロード志向のルックモデル、大型や小排気量モデルなど細分化されてきたため、アドベンチャーバイクと言われるモデルはかなりの車種が出回っている。そのような中において、今回ピックアップするNX400の旧モデルにあたる400Xはオンロード走行をメインとしながら、未舗装路でも入っていけるバランスの良さが秀でていたため世界中でヒットを遂げた。

今回NX400へとフルモデルチェンジを行ったことで、スタイリングの印象は大幅に変わったが、果たしてその内容、そしてキャラクターは従来モデルを超えることができているのだろうか。市街地、高速道路、ワインディング、未舗装路とステージを変えながら、進化の具合を確かめることにした。

ホンダ NX400 特徴

見た目一新、トラコン追加!
さらにナビやアプリ接続も!!

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今から約10年前となる2013年のこと。CBR400R、CB400F、400Xというエンジン及びコンポーネントを共通とした3モデルがホンダからリリースされた。私は少しの期間だが高校生の頃にCBR400RRを所有していたことがあり、四半世紀以上の時を経て復活したCBR400に心を躍らせたものだったが、以前のモデルが4気筒だったのに対し新たに誕生したCBR400Rは2気筒エンジンを採用しておりイメージしていた超高回転域を楽しむようなものではなかった。ただ、一方でこの2気筒エンジンは低回転域から粘りがあり扱いやすいことは大きな魅力に思えた。その中でもバランスの良さが際立ったのが、クロスオーバータイプの400Xだった。

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案の定400Xは国内外のライダーから多大な支持を受けて大ヒットを果たすことになる(海外ではCB500X)。2019年にはフルモデルチェンジを果たし、スタイリングはもちろん、フロントタイヤサイズを従来の17インチから19インチへとサイズアップ。この事によりアドベンチャーモデルとして昇華することになる。2022年のビッグマイナーチェンジでは倒立フォークやフロントブレーキのダブルディスク化など足まわりを中心にアップデート。多くのモーターサイクルジャーナリストに、”もはや完成形”と言わしめるまでに素晴らしい一台となっていた。

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しかし、それから2年ほどしか経過せぬうちに400XはNX400として生まれ変わった。モデル名から変更してきたNX400は、スタイリングも従来モデルと大幅に印象が変わった。”クチバシ”フェイスをやめ、そそり立つ顔つきはラリーレイドを彷彿させるものだ。そしてトラクションコントロールであるHSTCを搭載したほか5インチフルカラーTFTメーターの採用、さらにスマートフォンと車体の連携を可能とするHonda RoadSyncを装備するなど、細部にわたり進化している。

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従来の400Xがとても完成度が高かったため、それを超えるものとなっているのか気になる方も多いだろう。実車に触れた印象をお伝えしていこう。

ホンダ NX400 試乗インプレッション

バディでありティーチャーな性格が
ヘビーユーザーへと導いてくれる

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NX400を目の前にすると400ccクラスのバイクとは思えないほど大柄な印象を受ける。同じホンダの大型モデルであるXL750トランザルプにも通じる堂々としたスタイリングは所有欲を満たしてくれるものだが、一方で「これは初心者には厳しいのではないか?」と思ってしまう。

しかし跨ってみるとシート高は800mmとこの手のモデルにしては抑えられているし、車重は196kgと400Xと比べて3kgほど減量されており、足つき性、取り回しのしやすさ共に、フレンドリーな仕上がりとなっている。

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エンジンを始動し走り出す。パラレルツインエンジンは低回転域から車体をグイグイ前へと押し出そうとするトルク感を持ち、上は10,000回転まで引っ張れる懐の深いキャラクターだ。以前からこのエンジンに好印象を抱いているが、よりセッティングが煮詰められており、スロットルワークに対して従順かつ不快なギクシャク感もない。4,000〜6,000回転のいわゆる常用域のパワー感、トルク感は特筆すべきものがあり、もうこのエンジンだけでもこのバイクは良いと思えるものなのだが、NX400は走れば走るほどに魅力あふれる世界を見せてくれた。

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まず低速域では前後サスペンションの動きがスウィートで柔らかく快適な乗り心地をもたらしてくれる上、豊かなサスペンションストロークを活かしたダイナミックな走りを楽しむことができる。これが高速道路などのハイペースランになると、サスペンションの動きにしっかりとした腰が出てきて落ち着いた走りを楽しめるのだ。ワインディングロードでも足まわりのセッティングの良さは光り、一気にフルバンクまで寝かせるような走りも楽しめてしまう。

そして新たに5インチフルカラーTFTメーターを備えたコクピットから見る世界はまるで飛行機の操縦席に乗り込んだようで、過ぎ去る景色の流れがなんとも爽快に映る。未舗装路に持ち込んでみても安心、安全、屈強なキャラクターを示してくれて、オフロードエキスパートならトルコンを切ってスライドを楽しみ、ビギナーならトルコンをオンにしてタイヤを滑らせずにパスすることができる。

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Honda RoadSyncを標準装備しており、スマートフォンと連動することで音楽再生やナビゲーションなどアプリ操作ができるのも非常に便利だ。今回は利用していないが、別売りのヘッドセットで音声入力もできることになっている。

実は当初400Xから見た目が変わっただけだろうと思っていたことを白状するが、数日間触れたNX400は、より一層扱いやすく、それでいながら走る楽しみや喜びをもたらしてくれる一台に仕上げられていることが分かった。かなり柔軟性のあるキャラクターなので入門用バイクにもってこいだと思っていたら、NX400をベースにローダウン化などを施した教習バイクが存在するではないか。

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長年”生まれて初めて触れたバイク”に君臨してきたCB400SFの生産が終了した今、その役を受け継ぎ、バイクのある生活の楽しみを広げてくれる相棒となってくれるNX400。これは多くの人に薦めることができる一台だ。

ホンダ NX400 詳細写真

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エンジンはこれまでも定評のあるDOHC4バルブ並列2気筒。ボアストロークは67×56.6mmでややショートストローク気味。これが元気の良い走りを楽しめるポイント。最高出力は46馬力、9,000回転で発生する。燃費も良好。

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フロントタイヤサイズは110/80R19。ブレーキはダブルディスクでタッチ、効きともに良い。SHOWAのSFF-BPフロント倒立フォークの動きも秀逸で、快適な乗り心地、高い走破性を兼ね備えている。

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リアタイヤは160/60R17であり、これが絶妙なハンドリングをもたらしている。これ以上太いと切り返しは重く感じるだろうし、細ければ乗り心地がスポイルされるだろう。サイレンサーが奏でるツインサウンドも心地よい。

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燃料タンク容量は17リットル。走り方にもよるが燃費はかなり良く、レギュラーガソリン仕様なので維持費も抑えられる。カラーバリエーションはブラックとパールホワイトの2種類。

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400Xと比べてガラリと印象が変わったフロントマスクはラリーレイドモデルを連想させる。スクリーンの防風性能は高く、ロングクルージングも快適。

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NX400となり新たに採用された5インチフルカラーTFTメーターは視認性がよく、スマートフォンと連動することで色々なアプリの状態を表示することができる。

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左側のスイッチボックスは新しいタイプに変更している。トラクションコントロール設定ボタンの右にレイアウトされているファンクションセレクトボタンのクリック感が良い。

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シート高は800mm。内ももにあたる部分がかなりシェイプされていることもあり足つき性は良い。パッセンジャー側がフラットな座面となっているので、荷物の積載もしやすそうだ。

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コンパクトにまとめられたテールセクションはタフネスさとスポーティさを兼ね備えた印象を与えてくれる。タンデムグラブバーは握りやすい位置にセットされ、下方には荷掛けフックも備わっている。

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スチール製のメインフレームにそのままセットされているステップはロードバイク寄りの位置となっているが、むしろこれがステップ入力での荷重移動をしやすくしている印象。

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ハンドルバーは高すぎず低すぎず、車体をコントロールするのにベストと言える位置にセットされている。ディスプレイメーターが高い位置にあるため、コクピット的な視界を楽しむことができる。

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シート下にはバッテリーや車載工具が収められているほか、割と余裕のあるユーティリティスペースが確保されている。ETC車載器のセットもしやすいだろう。

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