KTM フリーライド 250 R
KTM フリーライド 250 R

KTM フリーライド 250 R – 野山をトレッキングするバイク

掲載日:2013年12月24日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/ダートライド編集部  取材協力/KTMジャパン

KTM フリーライド 250 Rの試乗インプレッション

KTM フリーライド 250 Rの画像

そのトレッキング性能は驚異的
どこまでも潜り込んでしまいたくなる

今回試乗のコースとなったのは、千葉県勝浦にあるミツミネパークというところだ。ぼくは初めてのコースだが、以前からエンデューロライダーやトライアルライダーの間では知られているようだ。人工的に作られたジャンプセクションなどを幾つもクリアし、ラップを重ねるようなコースではなく、自然そのままの林道やシングルトラック、とんでもない斜度とその先に待ち構えている超タイトなコーナーなど、スピードよりトライアルのようなテクニックが要求されるフィールドだ(野山と言ってもいい)。ところによっては、ガレた激坂や斜めにえぐれたいやらしい岩盤などもあり、専らモトクロスコースしか走らない自分にとっては、正直、初めは「無理」と思わされた。

そんな絶妙なバランス感覚が要求されるトレッキングフィールドを走り出し、初めは優しい林道を抜けいくと大きな岩盤のドロップオフ。初めてなのでそうっとここは降りたが、その先の超激坂+タイトターンの難所を、うっかり前を行くベテランライダーが挑戦して行ったので自分もひょいひょい着いて行ったら、とんでもないハードさで途中で後悔するハメに。ところが、最後の激坂を登りながらキツいアールで右に周るセクションを、危ないながらフリーライド 250 Rは見事クリア。ここで、早くもこのマシンの只者ではないポテンシャルを知ったような気がした。自慢ではないが、ぼくはこういったセクションはとても下手で苦手なので、マシンがフリーライド 250 Rでなかったら転倒、リカバリー不可となっていただろう。その先のシングルトラックは難しいものではなかったが、それもフリーライド 250 Rだったからかもしれない。

KTM フリーライド 250 Rの画像

その後、ななめにえぐれた岩盤の登りは何度トライしても転倒してクリア出来なかったが、車体が軽いのでリカバリーが楽なのも、フリーライド 250 Rのメリット。セルスターターなのも身長156cmの自分には助かる。この坂は諦めて場所を移し、パッと下から眺めた程度では相変わらず「無理だろう」と思わせられるガレ場の激坂は、2速のまま進入してアクセルに緩急をつけながらコントロールすると、フリーライド 250 Rはグングンと登っていく。専用にチューニングされた2ストローク250ccエンジンはレスポンスとトルクのスペックが非常に高く、また専用設計のタイヤのグリップ力とクッション性能は驚異的で、トレッキング初心者の自分が、このセクションを何度挑戦してもすべて問題なくクリア出来た。登れば下りもあるわけで、今度はガレていたり岩盤で覆われた急坂(下り)にトライするわけだが、フロントとリアのブレーキを上手く使いながら下ってもエンジンはストールする事なく(2速)、サスペンションも適度にきれいに動いてくれて、腰が引けそうな下りも充分に遊べた。

そう、このフリーライド 250 Rに乗っていると、トレッキングフィールドを『遊べて』しまうのだ。2ストローク250ccと言えば以前はピーキー(凶暴)なエンジンの代名詞であったが、フリーライド 250 Rのそれは、実にマイルドでトルクフル。粘りのあるエンジンとフィーリングタッチが良好なクラッチ操作により、どんなセクションも瞬く間に遊び場と化す。また、このエンジンは最後の1/5辺りから急に2ストローク特有の立ち上がりがあるので、ここぞという立ち上がりが欲しい時は、めいいっぱい回せばよい。初めは不安だらけだったが、試乗が終わる頃には山林の色々なところに潜り込んでしまいたくなった。

KTM フリーライド 250 Rの画像

保安部品が付き(ナンバー取得可能)で、混合比1:80とは言うものの、やはり給油のたびに2ストロークオイルとのミキシングは必要で、またタンク容量がアップして低燃費とは言えクルーズ走行にはやや不安がある。足着き性は思ったよりいいが(片足つま先がギリギリ着く程度だが、車体が軽いので楽)、フリーライド 250 Rが真価を発揮するのは、トランスポーター(クルマ)でトレッキングエリアの入り口までアクセスし、後は1日、広大な手付かずの自然と融け合う遊び方だろう。ド下手な自分でも色々なセクションに「挑戦したい」と思わせたその実力は、このフリーライド 250 Rでしか味わえない、唯一無二のものだ。このマシンは、オフロードのまったく新しい世界を見せてくれる最高の遊び道具と言える。

KTM フリーライド 250 Rの詳細写真は次ページにて

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