

掲載日:2013年08月09日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/三上 勝久、ダートライド編集部 写真・取材協力/KTM ジャパン
日本に輸入されるSXシリーズは2ストロークモデルの125 SX、4ストロークモデルの250 SX-F、350 SX-F、450 SX-Fの4モデル。これに加えてキッズモデルの50、65、85 SXも導入される。
2ストロークエンジン搭載モデルの125 SXはBoysen製リードバルブのリニューアル、側面を最適化したピストンなど小変更に留まったが、相変わらずのコストパフォーマンスの高さだ。爆発的かつ扱いやすいパワーを持ちながら、価格も比較的廉価に抑えられ、なおかつシンプルな構成のためランニングコストの低いモデルに仕上がっている。現在では主流ではなくなってしまった2ストロークモデルだが、パワーバンドに入れてジャンプを飛ぶ練習など、これからモトクロスを始めるユーザーにとっては基本スキルを磨きやすいモデルに仕上がっている。
ミッションが6速から5速に変更された250/350 SX-Fは、正直エキスパートでないと昨年から変更された事に気付かないほどの乗り易さ、速さを継続している。ミッションの段数が減った事によるデメリットはまるで感じられない。
当然ながらEXCシリーズ(エンデューロ用)よりもダンピング、スプリングとも堅めのセッティングだが、クロモリフレームのしなやかさもあって手強さはない。走り始めて1周目からジャンプをしっかり飛べる、パワーとトルクの出方を判別しやすい乗り易さを実現している。250/350はともにトルキーな性格で、レブリミットまで回す事なく低中速だけ使っていても、スロットル一ひねりでジャンプを飛び切れる頼もしさだ。350は250と同じ車体にパワフルなエンジンを使用しているだけに開け切って走るのは上級者でないと難しいだろうが、250であれば中級者でも回して走る楽しさを味わえる。
トルキー、柔らかい、軽い、スリム、そしてハイパワー。その性格を最も高いレベルでバランスさせているのが450 SX-Fだ。450ccクラスのモトクロッサーは手強いというのが定評だが、450 SX-Fに関してはそうした扱い難さが一切ない。柔らかく、そして豊かなトルク型の特性は、ビギナーにもお勧めできるくらいの乗り易さだ。
いずれも日本製モトクロッサーに比べるとやや高価なSXシリーズだが、軽くタッチのいい油圧クラッチやしなやかでフルアジャスタブルのWP製サスペンション、優れたフロントの接地感を実現した新設計のアルミ削り出しロワークランプなど、価格に見合った性能を持っている。とくにしなやかなクロモリ製フレームは絶品とも言える乗り味で、ジャンプでショートしても跳ね返される事なく、前方への推進力に変換する性格はKTMならではのもの。憶する事なく乗って欲しいと思う。価格もEXCシリーズよりやや廉価に設定されているので、クロスカントリーなどクローズドコースで開催されるエンデューロにしか参加しないのであれば、こちらを選んでも間違いないと思う。さらに、KTMが用意している豊富なパワーパーツ(純正オプション)を使用すれば、世界チャンピオンであるアントニオ・カイローリ、ジェフリー・ハーリングス、ライアン・ダンジーの乗るファクトリーマシンに限りなく近付ける事が可能だ。
外国製という事で耐久性に不安をもつ向きもあるようだが、少なくとも僕の周囲では国産に比べてトラブルが多いという話は聞かない。ただ単に速く走りたいライダーはもちろん、休日のスポーツとしてモトクロスやファンライディングを楽しみたいライダーには、ぜひ一度体験してみて欲しいと思う。世界チャンピオンがどうしてそうなれたのか、きっと理解してもらえると思う。
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