掲載日:2017年01月31日 特集記事
写真/楠堂亜希、KTM JAPAN 文/ガルル編集部
KTMのオフロードモデルは毎年小変更が行われているが、2017モデルは新設計フレームに新設計エンジンを搭載してフルモデルチェンジ。ここではEURO4をクリアし、ナンバー登録可能な4ストモデルを紹介。
KTMのオフロードモデルには、モトクロス(スプリントレース)用のSXシリーズと、エンデューロ(耐久レース)用のEXCシリーズと、大きく分けて2シリーズがラインナップされている。この2シリーズは、高い戦闘力を維持するために毎年マイナーチェンジが行われているが、それは「READY TO RACE(乗ってすぐにレースで活躍できる)」をブランドスローガンとしているKTMらしさであると言える。
そうした中で、2017EXCシリーズはさらなる戦闘力の向上を実現するためにフルモデルチェンジを敢行。フレーム、エンジン、スイングアーム、前後サスペンションが一新され、クラス最軽量・最強のスペックを手に入れたのだ。そしてこの2017EXCシリーズが日本へ上陸。2ストモデルは125、150、250の3機種、4ストモデル(EXC-Fと呼称)は250、350、450、500の4機種が国内販売されることになった。しかも4ストモデルは騒音・排ガス規制のユーロ4に対応し、ナンバー登録が可能で公道走行もOK。ここではロードライダー読者のセカンドバイク候補として、今回試乗できた250と450の試乗インプレッションを紹介しよう。ライダーは日本最大級のエンデューロレースJNCC(ジャパン・ナショナル・クロス・カントリー)チャンピオンの渡辺学選手。
テスト当日は雨が降り続き、歩くのも困難なドロドロ状態。エンデューロレースではそうした路面の状況が多い。それだけにエンデューロモデルとしての基本性能を確認するには絶好のテスト日和となった。
「新エンジンはパワーアップしていますが、尖ったところがなく扱いやすいです。トルク特性も穏やかで、スロットルを開けてからちょっとタイムラグがあって、リアタイヤが路面をグリップする感じです。これはレスポンスが鈍いのではなく、敢えてマイルドにセッティングしているからですね。こうするとスロットルのオンオフに対してマシンの姿勢変化がクイックにならず、長時間のエンデューロで疲れにくくなるからです。前後サスの動きもよく、路面からの衝撃もスムーズに吸収しています。こんな路面でも確実に走破できるのは、エンジンとサス、それを取り付けるフレームのバランスが絶妙だからで、2016モデルからさらに乗りやすくなっています」
250と350はDOHCヘッドを採用。昨年型よりクランクシャフト位置を6mm高くし、エンジン全高は20mm低くなる。エンジンブラケットも新型となり、振動を大幅に軽減し、軽快なハンドリングに貢献している
外装パーツは完全新設計となり、ライダーが身体を動かしやすいようにシート前端で10mm、後端で20mm下げた新シートを採用。車体左側からアクセスするエアクリーナーボックスも新形状となり吸気効率を向上しつつ、メンテナンス性も改善されている
さらに薄くなったヘッドライトマスク
EXCシリーズ専用設計の「No-dirt」フットペグ。従来より6mm高くしてコントロール性を向上。ドロも詰まりにくくなっている
右側リバウンド、左側コンプレッションと機能別に分けられたWP製「EXPLOR48」フロントフォークを新採用。フォークトップにあるアジャスターでセッティング変更できる。約200g軽量化
ねじれ剛性を20%向上し、タテ剛性は30%ダウンした新設計フレームは約350g軽量化。サブフレームはアルミ部材を見直して200g軽くなっている。ステアリングヘッド形状も新設計となり、振動を低減しつつ、ハンドリングの精度を向上している。リアショックは小型化され600g軽量化。220g軽くなった新設計スイングアームは、リアショック取り付け位置を5mmセンター寄りに変更し、マスを集中
「250より車重があるので、荒れた路面でのマシンコントロールは難しくなりますね。ただ、高回転まで回さなくてもパワーが立ち上がってくるので、上り坂は気持ちよく走れます。前後サスもしっとりとストロークするので、乗り心地も良好です。スロットルを開けなくても速く走れるので、林道ツーリングで疲れにくい乗り味です」と渡辺学選手は、450のツーリング性能の高さを評価した。500は同エンジンのボアアップ版となる
クランクシャフトを新設計し、エンジン全体をコンパクト化。燃焼室形状を見直した軽量SOHCシリンダーヘッドを採用し、トータル550g軽量化されている。フレーム、前後サスは250と同一のものを使用している
KTM 250EXC-F | KTM 450EXC-F | |
●寸法・重量 | ||
全長/全幅/全高 mm | --×--×-- | --×--×-- |
ホイールベース mm | 1472±10 | 1472±10 |
最低地上高 mm | 355 | 355 |
シート高 mm | 960 | 960 |
車両重量 kg | 103 | 106 |
キャスター 度 | 26.5 | 26.5 |
トレール mm | -- | -- |
●エンジン・性能 | ||
種類 | 水冷単気筒 | 水冷単気筒 |
弁形式 | DOHC4バルブ | DOHC4バルブ |
内径×行程 mm | 78×52.3 | 95×63.4 |
総排気量 cm3 | 249.91 | 449.3 |
圧縮比 | 12.8:1 | 11.9:1 |
最高出力 kw(PS)/rpm | --(--)/-- | --(--)/-- |
最大トルク N・m/rpm | --/-- | --/-- |
燃料供給方式 | 電子制御燃料噴射 | 電子制御燃料噴射 |
点火/始動方式 | ーー/セルフ | ーー/セルフ |
燃料タンク容量 L | ーー | 8.5 |
●変速機 | 常時噛合式6速リターン | 常時噛合式5速リターン |
1速:2.461、2速:1.875、3速:1.500、4速:1.217、5速:1.000、6速:0.769 | 1速:2.571、2速:1.882、3速:1.473、4速:1.043、5速:0.807 | |
1次減速比:3.041、2次減速比:3.714 | 1次減速比:2.451、2次減速比:3.714 | |
●サスペンション 前 | テレスコピック | テレスコピック |
後 | スイングアーム | スイングアーム |
●ブレーキ 前 | ディスク | ディスク |
後 | ディスク | ディスク |
●タイヤ 前 | 80/100-21 | 80/100-21 |
後 | 140/80-18 | 140/80-18 |
●標準現金価格 | 109万円 | 126万5,000円 |
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