掲載日:2009年12月09日 特集記事 › “もっと速く”の欲求を叶えるライディング
2009年8月1日発行 月刊ガルル No.280より記事提供
ライダー/東福寺保範、三橋 淳 写真/長谷川徹、酒井一郎 まとめ/倉持佑次
シフトチェンジをせずにアクセルを開けていくと、エンジン回転数が上がり、やがて固定していたギヤでもっともトルクが立ち上がるポイントまで到達します。このときマシンを前に進めようとする力が最大となるため、その上にまたがるライダーの体にも強力なGがかかってきます。一瞬ライダーをヒヤッとさせるこの力(衝撃)をモロに受け止めないように、エンジン回転数に注意しながら早め早めにシフトアップをするのがスムーズに加速していくためのポイントです。
エンジン回転数が上がりすぎてしまう前にシフトアップしていけば、アクセルを大きく開けてもいちばんトルクが出るポイントまで到達しません。加速の仕方がマイルドなので怖さを感じませんし、これならずっとマシンをコントロールできそうだとライダーに感じさせます。また、エンジン音がうるさくならないので、大きな音による恐怖も少なくなります。長丁場で走り続けるときほど、疲れにくいこの走り方を選ぶべきです。
エンジン回転数の上昇にともない強力なトルクを得たバイクは、まるで水を得た魚のように勢いよく走り出します。徐々にではなく短時間で一気にマシンが飛び出すため扱いにくく、ライダーは胸のあたりを突き飛ばされるようなカを感じます。スピードを上げようとアクセルを開けるたびにこのような状態に陥るのでは、ライダーも気が休まりません。精神的にも肉体的にもラクにスピードアップしたいなら、この走り方は×でしょう。
このふたつの写真、実は両方とも同じスピードで走っているところを撮影したものだ。きっと、BのライダーはAよりスピードが出ていると感じてるハズ。って、俺なんだけどさ(笑)。目的の速度に到達するまでの時間は異なるけど(Bのほうがすぐ到達)、同じスピードならAのほうが気持ちはラクだよね。
スピードを出して走りたいなら、アクセルを開けないことにはなにも始まりません。とはいえ、ただやみくもにアクセルを開けるだけでは上手にスピードを出せません。
上の写真を見てください。左向きに進んでいる2枚の連続写真は、ギヤを1速から2速へ 、そして3速へとシフトアップしながらアクセルを開けて走るときの様子です。一方、右向きに進む2枚の写真は、ギヤを1速に固定したままシフトチェンジをせずにアクセルを開けています。
両者を見比べたときに、アクセルを開けて加速しているマシン(A、B)の動きにはどのような違いがあるでしょうか。Aの写真を見ると、マシンは加速前とおおむね変わらない状態で進んでいます。フロントタイヤが少し浮いているのは、リヤにしっかりとトラクションがかかっている証拠。ライダーは背中を丸めてリヤに荷重しています。
次にBの写真を見てみましょう。ギヤを固定したままアクセルを開け続ければ、エンジン回転数がグングン上がって、もっともトルクが発揮されるポイントに到達します。「もっともトルクが発揮される」とは、バイクを動かそうとする力がいちばん強くなるという意味。ほんのわずかな瞬間にそのような強力なパワーが加われば、当然バイクは元気よく前に飛び出します。これでも決してマシンをコントロールできないわけではありませんが、ずっとこんな感じで加速するのは疲れてしまいます。スムーズな加速でスピードアップをねらうなら、早めにシフトアップをしながらアクセルを開けましょう。
上で紹介した走り方はコーナリングにも生かすことができます。曲がる手前からシフトアップすることで、アクセルを開けながらなめらかにコーナーを脱出できます(右の写真)。大きな動作を必要としない、疲れにくい走り方です。ギヤを固定している場合は、コーナー手前で減速、立ち上がりから力強く加速するような走り方になります。攻めている雰囲気ですが、限界に近いレベルで操作することになります。
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