
掲載日:2013年07月25日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
ライアン・ビロポート(カワサキ)、ライアン・ダンジー(KTM)の頂上決戦が続いている450クラス。しかし、これまですべてのレースでポディウムフィニッシュだったダンジーがラウンド7、レッドバッドのまさかのマシントラブルによるDNF(リタイア)で、その記録が途絶える事となってしまった。それにより、ここまで超接近戦だったビロポートとのポイント争いに、若干の開きが出てしまった。逆にビロポートとしては、優勝してもなかなか離れることのなかったポイント差が一気に離れるというラッキーなラウンドとなった。そして今回のラウンド8、ワシューガルはビロポートの地元ラウンド。ビロポートとしてはここで決定的なアドバンテージを築きたいところだ。
モト1(30分+2周)、ホールショットはダンジー、その背後にジャスティン・バーシア(ホンダ)、アンドリュー・ショート(KTM)、ジェイムズ・スチュワート(スズキ)、ビロポートらが続いた。2ラップ目、後からのプレッシャーに耐える事が出来なかったショートがスチュワート、ビロポートに次々とパスされてしまう。レース中盤、ここまで順調に2位を走っていたバーシアがフラットコーナーで転倒、スチュワート、ビロポートにパスされ、ポジションを4位まで落としてしまう。代わって2位に浮上したスチュワートだったが、今度はビロポートが背後に迫り、ここから彼らのバトルがスタートする。ラスト10分、ここまで3位に甘んじていたビロポートがついに動き出す。超高速のアップダウンセクションで鮮やかにスチュワートをパスし、2位へポジションアップしたビロポートは、そこからさらにペースを上げ、トップのダンジーへの追撃を開始する。しかし、序盤でダンジーが得たアドバンテージは大きく、そのまま順位の変動がないままチェッカーを受けた。
モト2、ホールショットはジョシュ・グラント(ヤマハ)が奪うが、すぐにダンジー、ビロポートが前に出る。さらにその後方からはスチュワートもグラントをパスし、モト1のトップ3が早くもレースをリードするという展開。序盤から早くも始まったトップ争いだったが、このハイペースにスチュワートが着いて行く事が出来ず、レース中盤にはダンジー、ビロポートの二人が完全にレースを支配する事となった。その後、ビロポートがダンジーをリードする形になるが、負けられないダンジーも必至でビロポートを追う。一方4位争いはグラント、ジェイク・ワイマー(カワサキ)によって展開されていたが、ここはワイマーが前に出て、4位のポジションを確立。ラスト2ラップ、ここまで粘っていたダンジーだったが、徐々にビロポートがその差を広げ、この時点で約7秒。結局最後までトップを守ったビロポートが勝利、オーバーオールウィンも手にした。
地元ワシューガルで2-1のオーバーオールウィンを手にしたビロポート。ダンジーも1-2のため、ポイントスタンディングでの変化はなかったものの、残りラウンドが少なくなればなるほど、ビロポートの優位性は強くなっていく。ダンジーもラウンド7でのDNF以外は素晴らしいリザルトでここまで来ているが、やはりノーポイントのレースでビロポートが勝利した事実は、彼らにとっては本当に大きな意味を持つ。残りラウンドが少なくなっていく中、ダンジーの逆転はあるのか。ここから見逃せないラウンドが続きそうだ。
順位 | 総合 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | |
1 | 2-1 | 2 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | |
2 | 1-2 | 1 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | |
3 | 3-3 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki | |
4 | 10-4 | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | |
5 | 7-6 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing | Suzuki | |
6 | 6-9 | 29 | A・ショート | BTO Sports KTM | KTM | |
7 | 5-10 | 33 | J・グラント | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | |
8 | 9-7 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | |
9 | 13-5 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki | |
10 | 4-17 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | ポイント | メーカー | |
1 | 2 | R・ビロポート | 380 | Kawasaki | |
2 | 1 | R・ダンジー | 338 | KTM | |
3 | 51 | J・バーシア | 271? | Honda | |
4 | 7 | J・スチュワート | 224 | Suzuki | |
5 | 41 | T・カナード | 219? | Honda | |
6 | 800 | M・アレッシ | 199 | Suzuki | |
7 | 29 | A・ショート | 164 | KTM | |
8 | 12 | J・ワイマー | 160 | Kawasaki | |
9 | 20 | B・ティックル | 159 | Suzuki | |
10 | 33 | J・グラント | 131 | Yamaha |
イーライ・トマック(ホンダ)、ケン・ロクスン(KTM)の拮抗したバトルが開幕以来続いている250クラス。ラウンド7、レッドバッドでも優勝を分け合うなど、シーズンも中盤に来て、そのバトルはさらに激化してきている。彼らのタイトル争いも然る事ながら、ルーキーたちの活躍からも目が離せないのが今シーズンの250クラスで、レッドバッドでは見事に、ジェレミー・マーティン(ヤマハ)がオーバーオールでポディウムフィニッシュを果たしたりと、彼らルーキーたちもシリーズを盛り上げている。
モト1、ホールショットはジャスティン・ボーグル(ホンダ)。その後方にトマック、ブレイク・バゲット(カワサキ)、ジャスティン・ヒル(カワサキ)、マービン・ムスキャン(KTM)が続いた。2ラップ目、タイトルを狙うトマックは早くもボーグルをパスしトップに立つと、ここから一気にリードを広げ始める。一方、ポイントリーダーのロクスンはスタートこそ出遅れるものの、順調にポジションをアップさせ、3ラップ目には6位までポジションを回復させていた。レース中盤、トップのトマックは順調にラップを重ねていたが、ボーグル、バゲットによる2位争い、ムスキャン、ロクスンによる4位争いが緊迫してくる。まず先に動いたのは、4位争い。背後まで迫っていたロクスンがアウトサイドからムスキャンをパスし、前に出る。さらにその数周後にはバゲットがボーグルをパスし2位にポジションをアップさせるが、その後バゲットはまさかのマシントラブルでレースを諦める事になってしまう。それにより、再び2位へポジションアップしたボーグルだったが、背後からはロクスン、ムスキャンが共に迫っていて、ボーグルはそのプレッシャーに耐える事が出来ず、彼らに連続でパスされる事となってしまった。それにより2位へとポジションをアップさせたロクスンだったが、トマックとの距離は広く、ここでゲームオーバー。トマックが完璧なレースで勝利した。
モト2、ホールショットはスタート好調のウィル・ハーン(ホンダ)。その後方にボーグル、トマック、ロクスン、オズボーンらが続くが、すぐにボーグルがトップに立つ。しかし、ボーグルはすぐに好調のトマックにパスされると、さらにロクスンにもパスされ、早くも優勝争いは彼ら二人に絞られる事になる。一方、後方からはスタートに出遅れたムスキャンとバゲットが共にハイペースで追い上げ、レース中盤にはそれぞれ、5位、6位までポジションをアップさせていた。レース後半、トップを走るトマックは順調にラップを重ね、2位のロクスンに対し、約9秒のアドバンテージを築いていたが、ボーグル、オズボーンのチームメイト同士による、3位争いが激しさを増していた。しかし、この日好調のボーグルが3位をなんとか守っていた。結局レースはトマックがオープニングラップからトップに立ち、そのままトップでフィニッシュ、モト1でも勝利した彼は1-1で完全勝利を果たした。2位にはロクスン、3位にはオズボーンがそれぞれ入っている。
今回のラウンド8、ワシューガルではトマックが圧倒的な強さで完全勝利を達成した。これによりポイントスタンディングトップのロクスンとの差はわずか1ポイントになり、残りのラウンドがますますエキサイティングなものになった。しかし、ロクスンも決して不調という訳ではないだけに、スーパークロスシーズンから続く彼らのハイレベルな戦いは、これからさらに熾烈なものになっていきそうだ。
順位 | 総合 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | |
1 | 1-1 | 17 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | |
2 | 2-2 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | |
3 | 3-4 | 25 | M・ムスキャン | Red Bull KTM | KTM | |
4 | 4-6 | 34 | J・ボーグル | GEICO Honda | Honda | |
5 | 5-7 | 317 | J・ヒル | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | |
6 | 14-3 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda | |
7 | 11-5 | 21 | J・アンダーソン | Rockstar Suzuki | Suzuki | |
8 | 7-9 | 40 | M・ダバロス | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | |
9 | 9-10 | 43 | C・シーリー | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | |
10 | 6-16 | 292 | A・シアンサルーロ | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | ポイント | メーカー | |
1 | 94 | K・ロクスン | 356 | KTM | |
2 | 17 | E・トマック | 355 | Honda | |
2 | 25 | M・ムスキャン | 298 | KTM | |
4 | 1 | B・バゲット | 260 | Kawasaki | |
5 | 338 | Z・オズボーン | 239 | Honda | |
6 | 21 | J・アンダーソン | 202 | Suzuki | |
7 | 34 | J・ボーグル | 178 | Honda | |
8 | 38 | K・カニンガム | 177 | Yamaha | |
9 | 77 | J・マーティン | 171 | Yamaha | |
10 | 175 | C・ウェブ | 159 | Yamaha |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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