
掲載日:2013年04月24日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
早いもので、2013シーズンも残り3ラウンドとなった2013 AMAスーパークロスシリーズ。先週のラウンド14、ミネアポリスでは地元のライアン・ダンジー(KTM)がディフェンディングチャンピオンでポイントリーダーのライアン・ビロポート(カワサキ)との劇的なレースを制し、アナハイム3以来、久しぶりの優勝を果たした。ただ、ビロポートもきっちりと2位に入ったため、ポイントランキングでは依然ビロポートが22ポイント差でトップを快走中。今回のシアトルはそのビロポートの地元でもあり、昨年彼が大ケガを負った因縁のラウンドでもある。ここのトラックは毎年軟質の土で作られているトラックとして有名だが、今回はさらにレース前日まで降り続いた雨の影響により、スリッピーで走行を重ねる毎に轍が増える、とてもテクニカルなコンディションでの開催となった。そんな中スタートしたヒートレースでは、デイビー・ミルサップス(スズキ)が久しぶりに勝利し、まだまだタイトルを諦めていない事を印象付けるような、アツいライディングを見せてくれた。もうひとつのヒートレースではビロポートが勝利し、こちらも地元での勝利を期待させるパーフェクトなレースを見せてくれた。
メインレース(20周)、ジャスティン・バーシア(ホンダ)が久しぶりにホールショットを奪うが、スタートから1コーナー・ファーストターンの距離が短く、そこでチャド・リード(ホンダ)がビロポートと接触転倒、早くもDNF(Did Not Finish リタイア/リザルト上はDNS)となってしまった。先週のミネアポリスで優勝のダンジーも、同じくファーストターンで前を走っていたジョシュ・ヒル(スズキ)のクラッシュに巻き込まれる形で転倒し、ほぼ最後尾から追い上げる波乱のメインレーススタートとなった。3ラップ目、2位を走っていたマイク・アレッシ(スズキ)をビロポートがリズムセクションであっさりとパスし、トップを走るバーシアへの距離を詰め始める。そして、さらにその後方からはヒートレースをトップで通過したミルサップスも、わずか2秒程後からビロポートを追う展開。6ラップ目、なかなかペースの上がらないアレッシを、今度はトレイ・カナード(ホンダ)がクリーンパスし4位へとポジションをアップさせるが、この時点で3位のミルサップスとは7秒以上の差が出来ていた。一方、スタート直後に転倒したダンジーは驚異的な追い上げで、7ラップ目にはなんとアレッシの背後、6位までポジションをアップさせていた。トップのバーシアは快調にトップを快走し続けていたが、ストレート直後のリズムセクションでビロポートが毎ラップ距離を詰めて来る。しかし、この日のバーシアはチャンピオンのプレッシャーにも負けないスマートなライディングで、逆にここからリードを広げ始める。レースが後半に差し掛かっても相変わらずバーシアがビロポートとの距離を保ち、そのままパーフェクトなライディングでレースをリードしきり、チェッカーを受けラウンド2以来の優勝を決めた。2位にはビロポート、3位にミルサップス、その後にろは驚異的な追い上げを見せてくれたダンジー、さらにジェイク・ワイマー(カワサキ)、アレッシが続いた。
今シーズン初のマディコンディションでの開催となった今回は、450ルーキーのバーシアがスタートからパーフェクトなレースで勝利した。地元のビロポートも地元ファンの声援を受けトップに迫る走りを見せてくれたが、一歩及ばず2位に終わった。3位に入ったミルサップスは1ポイント差ながら再びダンジーからランキング2位のポジションを奪い返したが、トップのビロポートとは残り2ラウンドで25ポイント。もしビロポートが次のソルトレイクシティで優勝した場合、ファイナルラウンドを待たずにタイトルが確定するという、シーズンの山場を迎える。若手からベテランまでタレントが勢揃いした2013シーズンは予想通り大混戦が続いているが、その中でもやはりディフェンディングチャンピオンが再びタイトルを獲得するのか。今から来週が楽しみだ。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | 55.949 | |
2 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 55.810 | |
3 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Energy Drink | Suzuki | 55.762 | |
4 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | 56.554 | |
5 | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 57.860 | |
6 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing | Suzuki | 57.486 | |
7 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki | 58.793 | |
8 | 10 | J・ブレイトン | Toyota/JGRMX/Yamaha | Yamaha | 58.625 | |
9 | 29 | A・ショート | BTOSports.com/KTM | KTM | 59.391 | |
10 | 49 | P・ニコレッティー | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 52.395 | |
11 | 42 | V・フリージー | - | Honda | 1:00.204 | |
12 | 75 | J・ヒル | RCH Suzuki | Suzuki | 58.940 | |
13 | 57 | B・ラメイ | Rock River Yamaha | Yamaha | 1:00.043 | |
14 | 84 | C・ブルース | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 1:00.555 | |
15 | 374 | C・ギルモア | Yankton Motorsports | Kawasaki | 1:01.406 | |
16 | 46 | W・ペイック | - | Suzuki | 59.543 | |
17 | 85 | K・パートリッジ | - | Honda | 1:01.595 | |
18 | 41 | T・カナード | Team Honda Muscle Milk | Honda | 56.846 | |
19 | 143 | M・ホーバン | - | Kawasaki | 1:03.089 | |
20 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | DNS |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 321 | |
2 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 296 | |
3 | 5 | R・ダンジー | KTM | 295 | |
4 | 51 | J・バーシア | Honda | 245 | |
5 | 22 | C・リード | Honda | 213 | |
6 | 41 | T・カナード | Honda | 202 | |
7 | 29 | A・ショート | KTM | 189 | |
8 | 7 | J・スチュワート | Suzuki | 174 | |
9 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 162 | |
10 | 20 | B・ティックル | Suzuki | 155 | |
11 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 139 | |
12 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki | 131 | |
13 | 800 | M・アレッシ | Suzuki | 107 | |
14 | 46 | W・ペイック | Suzuki | 79 | |
15 | 75 | J・ヒル | Suzuki | 72 | |
16 | 17 | E・トマック | Honda | 52 | |
17 | 39 | R・キナイリー | Yamaha | 50 | |
18 | 49 | P・ニコレッティー | Yamaha | 42 | |
19 | 42 | V・フリージー | Honda | 40 | |
20 | 33 | J・グラント | Yamaha | 40 |
約2か月の休憩期間から久しぶりの開催(イーストクラス開催のため)となった250クラス ウエスト。その期間、トッププロたちでさえ身体やメンタルのコンディションを整えるのが難しいと言われているが、今シーズンのウエストタイトルを争っているケン・ロクスン(KTM)、イーライ・トマック(ホンダ)の2人はどのように過ごしてきたのだろう。トマックは450クラスに4ラウンド、ロクスンもデイトナラウンドにエントリーしたが、2人ともがエントリーしたデイトナでは、トマックが勝利している。そんな休憩期間を挟んでの開催となったラウンド7 シアトル。450クラスでもそうだったように、今回はレース中に雨こそ降っていないものの前日までの雨の影響で、超ソフトコンディション。レース周回を重ねる度にコースはどんどん荒れ、轍も深くなる。450ccに比べパワーの少ない250ccライダーにとっては、非常に難しいコンディションとなる事が予想された。ヒートレース、早くもトマック、ロクスンの2人は同じヒートにエントリーする事になった。共に好スタートを決め、ヒートレースでのトップを争いを予感させたが、1ラップ目にロクスンが自滅。ここではトマックが強さを見せ、トップでメインレースへと駒を進めた。
メインレース(15周)、ホールショットはトマック。後にはクリスチャン・クレイグ(ホンダ)、ライアン・サイプス(スズキ)、そしてポイントリーダーのロクスンが続く。ロクスンは1ラップ目にはサイプス、2ラップ目にはクレイグをそれぞれパスし、トップを走るトマックの後に着けた。ヒート1のウィナー、マーティン・ダバロス(カワサキ)はスタートに失敗し、中盤くらいからのレースとなってしまった。3ラップ目、なかなかペースの上がらない4位のクレイグを、後からポジションをアップさせて来ていたザック・オズボーン(ホンダ)がパス、さらに前を走るサイプスまでもあっさりとパスし3位へ。さらに大きな動きが出たのは、10ラップ目。ハイペースでトップを快走していたトマックを悲劇が襲う。フープスの直後にある、なんでもないようなダブルジャンプの飛び出しの轍でリヤタイヤが跳ね上がり、そのまま前転の大クラッシュ。再スタートまでの間にロクスンにパスされ、さらには11秒のアドバンテージまでロクスンに与えてしまう事となった。残りのラップ数はたったの5周。この差を逆転するのは難しく、結局ロクスンがトップでチェッカーを受けた。2位にトマック、3位にはオズボーン。以下、コール・シーリー(ホンダ)、タイラ・ラトレイ(カワサキ)と続いた。
今回のラウンド7 シアトルでは、タイトル獲得のために少しでもロクスンとのポイント差を縮めたかったトマックが、トップ走行中にまさかのクラッシュ。元からロクスン有利のシリーズとなっていたウエスト後半戦だが、トマックにとってはさらにタイトルが難しくなってしまったラウンドになった。2ラウンドを残し、ロクスンがトマックに対し20ポイントのリード。ここから20ポイントを逆転するのは難しいようにも思えるが、予想の出来ないトラブルもあり得る。ポイント差的に完全にトップ2で争われる事になった250ウエストクラスは、次週のソルトレイクでタイトルが決まる可能性もあるだけに、絶対に目が離せない。ぜひ来週はこのクラスに注目しよう。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | 56.958 | |
2 | 1 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | 56.149 | |
3 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda | 57.928 | |
4 | 43 | C・シーリー | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 57.216 | |
5 | 28 | T・ラトレイ | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 59.055 | |
6 | 76 | A・ポリテリ | - | Honda | 58.594 | |
7 | 35 | R・サイプス | Rockstar Energy Suzuki | Suzuki | 58.858 | |
8 | 176 | J・サバージー | JDR/J-star/KTM | KTM | 58.925 | |
9 | 40 | M・ダバロス | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 58.492 | |
10 | 21 | J・アンダーソン | Rockstar Energy Drink | Suzuki | 58.641 | |
11 | 32 | M・スチュワート | JDR/J-star/KTM | KTM | 59.487 | |
12 | 59 | C・クレイグ | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 59.724 | |
13 | 66 | K・ラスク | - | Honda | 1:03.016 | |
14 | 23 | J・カナダ | Motoconcepts Racing | Honda | 1:00.524 | |
15 | 31 | T・ベイカー | Valli Motorsports Yamaha | Yamaha | 1:00.972 | |
16 | 78 | S・チャンピオン | 51fifty energy drink | Honda | 1:03.742 | |
17 | 965 | T・ブライト | - | Honda | 1:04.297 | |
18 | 38 | K・カニンガム | StarRacing | Yamaha | 59.287 | |
19 | 240 | B・スチュワート | Rock River Yamaha | Yamaha | 1:05.339 | |
20 | 400 | T・アイベリー | RockWell Watches | Honda | 1:04.979 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 94 | K・ロクスン | KTM | 163 | |
2 | 1 | E・トマック | Honda | 143 | |
3 | 43 | C・シーリー | Honda | 113 | |
4 | 338 | Z・オズボーン | Honda | 102 | |
5 | 21 | J・アンダーソン | Suzuki | 99 | |
6 | 40 | M・ダバロス | Kawasaki | 94 | |
7 | 38 | K・カニンガム | Yamaha | 86 | |
8 | 176 | J・サバージー | KTM | 75 | |
9 | 28 | T・ラトレイ | Kawasaki | 74 | |
10 | 76 | A・ポリテリ | Honda | 72 | |
11 | 59 | C・クレイグ | Honda | 71 | |
12 | 36 | J・ネルソン | Honda | 60 | |
13 | 31 | T・ベイカー | Yamaha | 59 | |
14 | 32 | M・スチュワート | KTM | 56 | |
15 | 35 | R・サイプス | Suzuki | 45 | |
16 | 74 | M・アンスティ | Suzuki | 38 | |
17 | 205 | J・カヒア | KTM | 29 | |
18 | 23 | J・カナダ | Honda | 28 | |
19 | 992 | J・ラモス | Kawasaki | 21 | |
20 | 78 | S・チャンピオン | Honda | 17 |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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