
掲載日:2013年04月17日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
今回のミネアポリスを含め、残り4ラウンドとなった2013スーパクロスシリーズ。序盤こそポイントの取りこぼしが多かったディフェンディングチャンピオンのライアン・ビロポート(カワサキ)だったが、ラウンド9のセントルイスから先週のヒューストンまでで5連勝と、中盤戦以降は絶好調だ。また、ランキング2位のデイビー・ミルサップス(スズキ)も決して彼らに劣る事無く、常に上位フィニッシュを続けている。そして、そのビロポートにいつも僅差で勝つ事が出来ないライアン・ダンジー(KTM)だが、今週はそのダンジーの地元ミネソタ州での開催だけに、地元ファンの期待がかっていた。その期待通り、ダンジーはプラクティスから好タイムを連発、ヒートレースでは残念ながらミルサップスに次ぐ2位に終わったが、きっちり上位でメインレースへと進んだ。そしてもう一つのヒートでは、なんと今シーズンから本格復帰、そしてここ数ラウンド絶好調のジョシュ・ヒル(スズキ)が、ビロポート、チャド・リード(ホンダ)らのトップライダーたちを見事に抑え、トップでメインレース進出を決めた。
メインレース(20周)、ホールショットは今回もマイク・アレッシ(スズキ)。背後にはビロポート、ヒル、ダンジー、アンドリュー・ショート(KTM)、ミルップス、ジャスティン・バーシア(ホンダ)らトップライダーがずらりと並んだ。彼らトップライダーを抑える事の出来ないアレッシは、1ラップ目を終えた時点で5位までポジションを落とす事となる。2ラップ目、ビロポート、ダンジーに次ぐ3位を走行中のヒルが、ミルサップスにパスされポジションを落とす。さらにその後では、ヒートレースでトップ走行中にクラッシュしLCQ(ラストチャンスクォリファイ)からのメーンレースとなったジェイムズ・スチュワート(スズキ)が、バーシアをリズムセクションであっさりとパスし、5位へとポジションをアップさせる。さらに勢いに乗るスチュワートは、7ラップ目のリズムセクション手前のコーナーでインサイドからヒルもパスし4位へに上がるが、同ラップのフィニッシュジャンプで急にスローダウンし、ここでDNF(Did Not Finish リタイア)。どうやら、ヒートレースのクラッシュで痛めた手首の痛みに耐える事が出来なかったようだ。
スチュワートにパスされたヒルはこの後バーシア、ショート、リードにもパスされ7位までポジションを落としてしまう。10ラップ目、ここまでトップを快走中だったビロポートに地元のダンジーが徐々に迫り、ついにサイドバイサイドまで詰め寄り、ここから観客総立ちのエキサイティングなバトルが開始される。どちらもギリギリのライディングで一歩も引かないバトルが展開されるが、16ラップ目のフィニッシュジャンプ手前のコーナーでビロポートが小さなミスを犯し、そこからさらにダンジーが距離を詰め、17ラップ目の同じくフィニッシュジャンプの手前で、ついにダンジーがビロポートをパス。しかし負けたくないビロポートはそこから反撃、毎コーナーでダンジーに並ぶようなアグレッシブなライディングでダンジーにプレッシャーを与え、簡単にはダンジーに勝利は譲らない。しかし、地元で気合いの入っているダンジーは最後までトップを譲る事無く残りのラップを走り切り、アナハイム3以来の勝利を挙げた。
シリーズも終盤戦に差し掛かってきている、2013スーパークロスシリーズ。ここまで5連勝中だったビロポートがついにダンジーに敗れ、久しぶりに優勝を逃した。しかし残り3ラウンドで、この優勝によりポイントスタンディングでも2位にアップしてきたダンジーとのポイント差は22。残りのラウンド数を考えるとダンジー、ミルサップスの逆転は難しいようにも思うが、ビロポートのクラッシュやマシントラブルも考えられないわけではない。依然、ビロポートの有利は変わらないが、次はシアトル。ここが地元のビロポートが、昨年のこのラウンドで大ケガを負い、残りのスーパークロスシーズン、さらには5月からスタートするアウトドアシーズンをも棒に振った因縁のラウンドでもある。次のラウンドが今シーズンの大きなターニングポイントになるかもしれない。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | 49.652 | |
2 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 49.754 | |
3 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Energy Drink | Suzuki | 50.116 | |
4 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | 50.948 | |
5 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | 50.872 | |
6 | 29 | A・ショート | BTOSports.com/KTM | KTM | 51.275 | |
7 | 41 | T・カナード | Team Honda Muscle Milk | Honda | 51.068 | |
8 | 75 | J・ヒル | RCH/Dodge/Suzuki | Suzuki | 50.754 | |
9 | 10 | J・ブレイトン | Toyota/JGRMX/Yamaha | Yamaha | 51.264 | |
10 | 46 | W・ペイック | - | Suzuki | 51.925 | |
11 | 62 | M・ゴーキー | BTOSports.com/KTM | KTM | 51.732 | |
12 | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 51.147 | |
13 | 20 | B・ティックル | RCH/Dodge/Suzuki | Suzuki | 51.939 | |
14 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing | Suzuki | 52.402 | |
15 | 84 | C・ブルース | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 52.482 | |
16 | 39 | R・キナイリー | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 53.465 | |
17 | 57 | B・ラメイ | Rock River Yamaha | Yamaha | 52.817 | |
18 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki Factory Racing | Suzuki | 50.449 | |
19 | 49 | P・ニコレッティー | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 52.395 | |
20 | 54 | L・スミス | BTOSports.com/KTM | KTM | 55.100 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 299 | |
2 | 5 | R・ダンジー | KTM | 277 | |
3 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 276 | |
4 | 51 | J・バーシア | Honda | 220 | |
5 | 22 | C・リード | Honda | 212 | |
6 | 41 | T・カナード | Honda | 199 | |
7 | 29 | A・ショート | KTM | 177 | |
8 | 7 | J・スチュワート | Suzuki | 174 | |
9 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 149 | |
10 | 20 | B・ティックル | Suzuki | 141 | |
11 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 139 | |
12 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki | 115 | |
13 | 800 | M・アレッシ | Suzuki | 92 | |
14 | 46 | W・ペイック | Suzuki | 74 | |
15 | 75 | J・ヒル | Suzuki | 63 | |
16 | 17 | E・トマック | Honda | 52 | |
17 | 39 | R・キナイリー | Yamaha | 50 | |
18 | 33 | J・グラント | Yamaha | 40 | |
19 | 55 | J・アルバートソン | Honda | 38 | |
20 | 11 | K・チゾム | Yamaha | 38 |
ブレイク・ウォートン(スズキ)が2013シーズン初優勝を飾った、先週のヒューストンラウンド。タイトル争いは相変わらずウィル・ハーン(ホンダ)、マービン・ムスキャン(KTM)の2人によって展開されているが、彼らの後からタイトル獲得を狙っているウォートンにとっては、とても大きな意味のある勝利となった。しかし、250クラスイーストは今回のミネアポリスを含め、残りは2ラウンド。タイトル争いもクライマックスを迎えて来ている。ヒートレース、まずヒート1では先週のウィナー、ウォートンが危なげないライディングで難なく勝利するが、ヒート2ではムスキャンがホールショットからトップを快走したのとは対照的に、ランキングトップのハーンはスタート直後のクラッシュで最後尾からのレースとなる。それでも驚異的な追い上げで4位まではポジションをアップさせたが、メインレースでのスターティングゲートの選択権は限られてしまう結果となった。
メインレース(15周)、ホールショットはヒートレースから好調のムスキャン。その後にはハーン、ウォートン、ギャビン・フェイス(ホンダ)、タイラー・バウワーズ(カワサキ)らが続く。ムスキャンはオープニングラップから後続との距離をグングン開いていくが、その後の2位争いは熾烈なバトルが繰り広げられていた。トップのムスキャンを追いかけたいハーンに対し、ウォートンが何度もインからブロックパスを仕掛けてくる。何度もポジションを入れ替えながらバトルを繰り広げる2人に対し、その隙にリードを広げるムスキャンは4ラップ目には2位のポジションを確立したハーンに、すでに5秒以上のアドバンテージを築いていた。ハーンにリードを許してしまったウォートンは、さらに後から迫るバウワーズにもパスされてしまうが、再びリズムセクションの進入でブロックパス。接触したバウワーズはバランスを崩しクラッシュ。その間にバウワーズの後を走っていたフェイスにもパスされ、結局5位までポジションを落としてしまう。一方、完全に独走体制になっていたムスキャンは、10ラップ目に入った時点で約10秒ものリードがあり、ほぼ優勝は確実というところまで来ていた。その後もノーミスでパーフェクトライディングのムスキャンは、余裕のクルージングで優勝。2位にハーン、3位にはウォートンというお馴染みのメンバーが上位を占めた。
今回のミネアポリスではムスキャンが完璧なレースで勝利を収め、ファイナルラウンドのラスベガスを前にポイントリーダーのハーンにわずか5ポイントというところまで追い上げ、気がつけば、ラスベガスでハーンが3位以下でムスキャンが優勝すれば、タイトルはムスキャンというところまで迫って来た。ファーストラウンドの1コーナーでのクラッシュでシーズンがスタートしたムスキャンにとっては、これ以上無いほどのドラマチックな状況でファイナルラウンドに臨む事となる。この後2週間の休憩期間(ウエストラウンド開催のため)でハーン、ムスキャンの両ライダーがどうコンディションを整えてくるかでタイトルの行方が変わって来るだろう。また、タイトル獲得は絶望的となってしまったウォートンや、アリーナクロスチャンピオンのバウワーズもレースを掻き回してくる可能性も十分ある。さらに、タイトル決定後はウエストのトップライダー達と250クラスの統一王者決定戦であるシュートアウトも開催されるため、ますますこのクラスから目が離せない。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 25 | M・ムスキャン | Red Bull KTM | KTM | 50.362 | |
2 | 19 | W・ハーン | GEICO Honda | Honda | 50.726 | |
3 | 13 | B・ウォートン | Rockstar Energy Drink | Suzuki | 51.195 | |
4 | 67 | G・フェイス | Motoconcepts Racing | Honda | 52.280 | |
5 | 68 | T・バウワーズ | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 51.243 | |
6 | 87 | L・ビンセント | Munn Racing KTM | KTM | 52.871 | |
7 | 42 | V・フリージー | - | Honda | 52.256 | |
8 | 73 | A J・カンタザーロ | - | Kawasaki | 53.264 | |
9 | 552 | S・クラーク | Sher Racing | KTM | 53.157 | |
10 | 48 | C・トンプソン | - | Honda | 53.048 | |
11 | 248 | M・オールデンバーグ | - | Honda | 53.022 | |
12 | 194 | J・リチャードソン | XPR Racing | Honda | 53.869 | |
13 | 393 | D・ヒーレイン | A&Y Racing | Honda | 52.670 | |
14 | 93 | L・パウエル | - | Honda | 54.357 | |
15 | 412 | L・キルバーガー | - | Honda | 54.505 | |
16 | 385 | A・ガレイ | - | Kawasaki | 54.421 | |
17 | 862 | O・バーバリー | Munn Racing KTM | KTM | 56.082 | |
18 | 999 | M・マラティア | BWRengines.com | Honda | 56.916 | |
19 | 874 | Z・ウィリアムス | - | Honda | 54.016 | |
20 | 639 | D・ブラー | - | Honda | 55.653 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 19 | W・ハーン | Honda | 178 | |
2 | 25 | M・ムスキャン | KTM | 173 | |
3 | 13 | B・ウォートン | Suzuki | 153 | |
4 | 42 | V・フリージー | Honda | 103 | |
5 | 67 | G・フェイス | Honda | 100 | |
6 | 15 | D・ウィルソン | Kawasaki | 87 | |
7 | 48 | C・トンプソン | Honda | 83 | |
8 | 50 | K・ピーターズ | Honda | 78 | |
9 | 77 | J・マーティン | Yamaha | 71 | |
10 | 317 | J・ヒル | Kawasaki | 68 | |
11 | 87 | L・ビンセント | KTM | 66 | |
12 | 613 | J・デコティス | Honda | 66 | |
13 | 73 | A J・カタンザーロ | Kawasaki | 62 | |
14 | 248 | M・オールデンバーグ | Honda | 61 | |
15 | 69 | P・ラーセン | Honda | 54 | |
16 | 194 | J・リチャードソン | Honda | 42 | |
17 | 412 | L・キルバーガー | Honda | 40 | |
18 | 552 | S・クラーク | KTM | 39 | |
19 | 167 | Z・ベル | Honda | 37 | |
20 | 71 | Z・フリーバーグ | Honda | 36 |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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