
掲載日:2013年02月27日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
先週のアーリントンから舞台をイースト地区へ移した2013 AMAスーパークロスシリーズ。アーリントンではライアン・ビロポート(カワサキ)が貫禄のレースで今シーズン3勝目を挙げたが、シリーズポイントで彼の前を走るデイビー・ミルサップス(スズキ)、ライアン・ダンジー(KTM)もしっかりとポディウムフィニッシュで終わったため、ビロポートは大きくポイント差を詰めるまでには至らなかった。今回のラウンド7 アトランのヒートレース1では、先週、ビロポートに競り勝ちながらも、マシントラブルによりメインレースをまさかのDNS(Did Not Start 棄権)となったジェイムズ・スチュワート(スズキ)が2位のジャスティン・バーシア(ホンダ)に10秒もの大差をつけ勝利し、メインレースへと進んだ。もうひとつのヒート2では、ポイントリーダーのミルサップスがこちらもきっちりと勝利し、メインレースに駒を進めた。今回、唯一トップライダーでLCQ(ラストチャンスクォリファイ)へと回ってしまったトレイ・カナード(ホンダ)も、そちらでは勝利しメインレースに進出した。
メインレース(20周)、ホールショットはアーリントンでDNSに終わったスチュワート。しかしそのすぐ後方には、ビロポートがピタリと着ける。さらにその後ろにはケガから復帰のジェイク・ワイマー(カワサキ)、そしてジャスティン・ブレイトン(ヤマハ)、マイク・アレッシ(スズキ)、ミルサップスと続く。2ラップ目、早くもミルサップスは前の2人をパスし3位へ。その後方ではブレイトンとバーシアがサンドセクション手前のバンクで接触し、ブレイトンは転倒、順位を最後尾まで落とす事になる。一方、その後方ではこのレースが450ccクラスのデビューレースとなるイーライ・トマック(ホンダ)が、10位以降から追い上げて徐々に順位をアップ。9ラップ目にはアレッシを、10ラップ目にはワイマーをパスし、7位までポジションをアップしていた。一方のトップ争いは、スチュワートがビロポートを大きくリードする事はできないものの、ほぼノーミスの完璧なレース運びで2秒程度の差を保ち続けていた。そんな彼らの5秒ほど後方ではミルサップス、バーシアの2人が同じようなハイペースでそれぞれ単独走行する。
結局、今回のレースはその後、大きな順位の変動は無く、スチュワートが常勝だった時代を彷彿とさせるような強さで勝利。決して2位のビロポートと差は大きくないものの、昨年のようなミスやクラッシュも無く、素晴らしいレース展開だった。ここ数ラウンドで彼はどんどん調子を上げていたため、ある意味必然的な勝利だったのかもしれない。そしてビロポート、ミルサップス、ダンジーのポイントランキングトップ3も、きっちりと上位に入る結果となった。シーズン前から予想されていた通りではあるが、とにかく今シーズンは近年に無いほどのビッグタレントが接戦を繰り広げている素晴らしいシーズンが続いている。さらには、今回から450クラスにエントリーし7位をゲットしているトマックも、今後は間違い無く上位に食い込んでくるだろう。依然、ミルサップスがポイントトップを走り続け、中盤戦に突入した450クラスだが、まだまだ絶対的なポイントリードを築いているわけでは無いだけに、今後のポイント争いはさらにヒートアップして行きそうだ!
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki Factory Racing | Suzuki | 52.502 | |
2 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 52.876 | |
3 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Energy Drink/Motosport.com/ONE Indu | Suzuki? | 52.795 | |
4 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | 52.537 | |
5 | 41 | T・カナード | Team Honda Muscle Milk | Honda | 52.820 | |
6 | 5 | R・ダンジー | Red Bull/KTM/Motorex/Dunlop/Foremost/WP/Ak | KTM | 53.038 | |
7 | 17 | E・トマック | GEICO Honda/AMSOIL/Muscle Milk/Planet Fitne | Honda | 54.002 | |
8 | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 54.235 | |
9 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | 54.342 | |
10 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing | Suzuki | 54.688 | |
11 | 62 | M・ゴーキー | BTOSports.com/KTM | KTM | 54.481 | |
12 | 20 | B・ティックル | RCH/Dodge/Suzuki | Suzuki? | 54.706 | |
13 | 10 | J・ブレイトン | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 54.486 | |
14 | 29 | A・ショート | BTOSports.com/KTM | KTM | 54.196 | |
15 | 69 | P・ラーセン | Rocket Exhaust | Honda | 55.542 | |
16 | 75 | J・ヒル | RCH/Dodge/Suzuki | Suzuki | 55.538 | |
17 | 84 | C・ブルース | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 55.741 | |
18 | 54 | L・スミス | BTOSports.com/KTM | KTM | 55.571 | |
19 | 55 | J・アルバートソン | Fly Racing/HRT/MotoThump/Merge Racing/Beer | Honda | 55.305 | |
20 | 39 | R・キナイリー | Velocity3 Racing/Yamaha | Yamaha | 55.171 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 174 | |
2 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 152 | |
3 | 5 | R・ダンジー | KTM | 148 | |
4 | 41 | T・カナード | Honda | 135 | |
5 | 22 | C・リード | Honda | 127 | |
6 | 51 | J・バーシア | Honda | 116 | |
7 | 29 | A・ショート | Honda | 102 | |
8 | 7 | J・スチュワート | Suzuki | 100 | |
9 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 91 | |
10 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 79 | |
11 | 20 | B・ティックル | Suzuki | 77 | |
12 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki? | 61 | |
13 | 800 | M・アレッシ | Suzuki | 60 | |
14 | 33 | J・グラント | Yamaha | 40 | |
15 | 46 | W・ペイック | Suzuki | 39 | |
16 | 11 | K・チゾム | Yamaha | 37 | |
17 | 47 | M・ラモイン | Kawasaki | 34 | |
18 | 55 | J・アルバートソン | Honda | 31 | |
19 | 42 | V・フリッシー | Honda? | 30 | |
20 | 39 | R・キナイリー | Yamaha | 24 |
先週のラウンド1、アーリントンでの250ccクラス イーストは、カチカチのハードトラックの中、今シーズンからイーストシリーズにスイッチ・エントリーしているディーン・ウィルソン(カワサキ)が勝利し、ルーキーたちも素晴らしいライディングを見せてくれたベストスタートとなった。そして今週は、アトランタでのラウンド2。ウィルソン、ウィル・ハーン(ホンダ)の2人がそれぞれヒートレースで勝利し、メインレースを迎える事となった。注目のルーキー、ジャスティン・ヒル(カワサキ)、ザック・ベル(ホンダ)という2人も、アグレッシブなライディングでメインレースへの出場を決めた。
注目のメインレース(15周)、ホールショットはこの日絶好調のハーン。1ラップ目から攻めのライディングで、後ろを走るウィルソン、ブレイク・ウォートン(スズキ)、マービン・ムスキャン(KTM)、ヒルからリードを築いていく。3ラップ目、先週はスタート直後のクラッシュでポディウムを逃したムスキャンが早くもウォートンをパスし、トップ2人の追撃を開始する。7ラップ目、ルーキー同士のバトルが激化する。6位のジェレミー・マーティン(ヤマハ)が5位のヒルを捕らえ、さらには後ろから迫るギャビン・フェイス(ホンダ)もヒルをパス。一方、彼らの後ろ、9位争いはビンス・フリージー(ホンダ)とベルの2人が序盤からずっと接近戦を繰り広げていた。12ラップ目、なかなかペースの上がらないウォートンにマーティンが迫るが、なかなかパスするまでには至らない。一方、トップのハーンはレース後半までノーミスで走り続けているが、2秒差でウィルソン、そのさらに5秒後ろにはムスキャンも彼を追い続けていて、ラップ遅れも多数現れ始める。それでもこの日のハーンは強く、ラップ遅れにペースを乱される事なく最後まで安定したライディングを続け、ウィルソンとの緊迫したトップ争いを制し、初優勝を飾った。そして2位には先週のウィナー、ウィルソン、3位にはムスキャンがそれぞれ入賞した。
250クラス イーストはまだ序盤戦だが、ここまではウィルソン、ハーン、ウォートン、ムスキャンといった、昨年も上位常連だったライダーたちが優位に見える。だが、ヒル、ベル、マーティンといったルーキーたちもトップ争いにまでは絡まないものの、着実に上位に顔を出している。彼らがルーキーシーズンから超有力チームに所属しているという事は、今後ラウンドが進むごとに頭角を表す事も十分に考えられ、もしかしたら最終的にはこのクラスのトップライダー VS 若手という構図になるかもしれない。まだまだ続くシーズンでタイトルを獲得するのは、一体誰だろう。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 19 | W・ハーン | GEICO Honda | Honda | 54.018 | |
2 | 15 | D・ウィルソン | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 53.920 | |
3 | 25 | M・ムスキャン | Red Bull KTM | KTM | 54.200 | |
4 | 13 | B・ウォートン | Rockstar Suzuki | Suzuki? | 54.392 | |
5 | 77 | J・マーティン | Starracing/Yamaha | Yamaha | 54.577 | |
6 | 317 | J・ヒル | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 54.826 | |
7 | 67 | G・フェイス | Motoconcepts Racing | Honda | 55.785 | |
8 | 50 | K・ピーターズ | AG Motorsports | Honda | 55.551 | |
9 | 42 | V・フリージー | Slaton Racing/Tuf Racing/ONeal/Shoei/Dunlop/A | Honda | 56.308 | |
10 | 167 | Z・ベル | Motoconcepts Racing | Honda | 56.197 | |
11 | 248 | M・オールデンバーグ | Core MX Performance/Karl Klement Ford/One In | Honda | 56.385 | |
12 | 87 | L・ビンセント | Munn Racing | KTM | 56.429 | |
13 | 48 | C・トンプソン | - | Honda | 56.039 | |
14 | 613 | J・デコティス | High octane Harley Davidson/Dedicated athletics | Honda | 56.502 | |
15 | 552 | S・クラーク | Shea Racing/SMS Racing/Passportworld.com/N | KTM | 57.112 | |
16 | 45 | G・スワンプール | Motosport.com/Motul/WeAllRide/MX707 Designs | Kawasaki | 56.466 | |
17 | 385 | A・ガレイ | DG Flooring/Glory Hog/Fly/Shades of Gray/DZ G | Kawasaki | 58.611 | |
18 | 73 | AJ・カタンザーロ | Pilgrim Powersports/Pickett Weaponry/TLR Perf | Kawasaki | 57.432 | |
19 | 890 | C・マケーブ | Storm Lake Honda/Race Tech/Moose Racing/Bl | Honda | 58.603 | |
20 | 194 | J・リチャードソン | XPR Racing/Mongrel Custom Moto/Lusty Industr | Honda | 58.335 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 15 | D・ウィルソン | Kawasaki | 47 | |
2 | 19 | W・ハーン | Honda | 45 | |
3 | 13 | B・ウォートン | Suzuki | 40 | |
4 | 25 | M・ムスキャン | KTM? | 35 | |
5 | 50 | K・ピーターズ | Honda? | 31 | |
6 | 317 | J・ヒル | Kawasaki | 31 | |
7 | 67 | G・フェイス | Suzuki | 28 | |
8 | 42 | V・フリージー | Honda? | 24 | |
9 | 613 | J・デコティス | Honda | 20 | |
10 | 87 | L・ビンセント | KTM | 20 | |
11 | 248 | M・オールデンバーグ | Honda? | 19 | |
12 | 77 | J・マーティン | Yamaha | 16 | |
13 | 167 | Z・ベル | Honda | 14 | |
14 | 45 | G・スワンプール | Kawasaki | 13 | |
15 | 48 | C・トンプソン | Honda | 12 | |
16 | 194 | J・リチャードソン | Honda | 11 | |
17 | 385 | A・ガレイ | Kawasaki | 10 | |
18 | 412 | L・キルバーガー | Honda | 7 | |
19 | 552 | S・クラーク | KTM | 6 | |
20 | 244 | R・ジマー | Honda | 5 |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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