
掲載日:2013年02月13日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
アナハイムラウンド全3戦を終え、今週はカリフォルニア州の南端の街、サンディエゴでラウンド6が開催された。アナハイム3(ラウンド5)ではラウンド3、4と2連勝中だったライアン・ビロポート(カワサキ)を20番グリッドからスタートしたライアン・ダンジー(KTM)が破り、見事に2013シーズン初勝利を挙げ、ランキングも2位まで押し上げたが、ポイントリーダーのデイビー・ミルサップス(スズキ)もきっちりと2位に入ったため、ミルサップスのポイントリードをさらに広げる結果にもなった。今回のサンディエゴでは、どのトップライダーもヒートレース落ちするなどの波乱は無く、順当にメインレースへと進む事となったが、アナハイム3に続き、今回のトラックもとてもスリッピーで、さらにラップタイムも最速で46秒台というスプリントレースになるため、非常にスタートが大切なメインレースとなる事が予想された。
メインレース(20周)、ホールショットは絶好調のミルサップスが難なくゲット。その後にブロック・ティックル(スズキ)とチャド・リード(ホンダ)が続き、ここ数ラウンド鬼門となっていた2コーナーでも、誰もクラッシュする事無く通過し、久しぶりにトップライダー全員が上位に着けるレーススタートとなった。2ラップ目、早くもティックルをパスしたリードがミルサップスに迫る。さらに、ジャスティン・バーシア(ホンダ)が3ラップ目にティックルをパスし3位に上がると、ここから3人でのトップ争いが開始される。逆に、ティックルはその後どんどんポジションを落とす事となる。一方、トップ争いのすぐ後ではジャスティン・ブレイトン(ヤマハ)、ダンジー、ジェイムズ・スチュワート(スズキ)、ビロポートらがポジションをめまぐるしく入れ替えながらレースを展開している。ちょうどレースの折り返し地点となる10ラップ目、ミルサップスの背後に着けていたリードがトリプルジャンプ直後のバンクでスリップダウンし、8位(ビロポートのすぐ後)まで順位を落とす。昨シーズンはスチュワートが転倒を連発しタイトル争いから脱落した印象があったが、今シーズンはリードが3ラウンド連続で転倒し、それと同じような状況に陥っているように見える。
トップ争いはミルサップスが1~2秒のリードをキープしたまま後半戦に突入するが、この日のミルサップスはいつも以上に強く、安定感も抜群でバーシアを寄せ付ける事はなく、ポイントリーダーらしいライディングでそのままフィニッシュ。今シーズン2勝目を挙げた。一方の3位争いは、集団の中からダンジーが抜け出しチェッカーを受ける。4位には徐々に調子を上げてきているスチュワートが。その後にリード、ビロポート、ブレイトンという順位でのフィニッシュとなった。
今回のサンディエゴではミルサップスがアナハイム1以来の勝利を手にしたが、今シーズンの彼の強さは本物だという事が証明されたレースでもあった。ほぼすべてのレースでポディウムフィニッシュし、勝つチャンスが巡ってきた時には必ず勝つというレースがずっと続いている。気が付けば2位のダンジーとのポイント差も19まで広がっているだけに、何かトラブルが無い限りポイントリーダーはしばらく続きそうだ。もしかしたらそのまま初のタイトル獲得という事もあり得るかもしれない。そして、ランキング2位のダンジーもミルサップスと同じようにほとんどのレースでポディウムに立ち、気が付けば単独のランキング2位にいる。もちろん、ミルサップスと同様に今シーズン2勝しているビロポートも27ポイント差ながら、3年連続のタイトル獲得に向けて加速して来るだろう。そして、ランキングではトップに差を付けられているスチュワートやリード、トレイ・カナード(ホンダ)など、未だ未勝利ながら力のあるライダーも後に控えているだけに、450クラスはこれからの中盤戦で、さらにヒートアップして行きそうな気配だ。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Suzuki | Suzuki | 47.124 | |
2 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | 46.819 | |
3 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | 47.314 | |
4 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki | 47.261 | |
5 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | 46.777 | |
6 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 46.841 | |
7 | 10 | J・ブレイトン | RJGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 47.608 | |
8 | 41 | T・カナード | Musklemilk HONDA | Honda | 47.603 | |
9 | 29 | A・ショート | - | Honda | 48.069 | |
10 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing/Smartop/JT Racing/FMF | Suzuki | 48.328 | |
11 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki | 48.618 | |
12 | 62 | M・ゴーキー | BTOSports.com/KTM | KTM | 48.430 | |
13 | 47 | M・ラモイン | JAB Motorsports/SCOTT/Silkolene/FMF/JM Racing | Kawasaki | 48.111 | |
14 | 46 | W・ペイック | - | Suzuki? | 48.477 | |
15 | 69 | PJ・ラーセン | - | Honda | 49.189 | |
16 | 39 | R・キナイリー | - | Yamaha | 49.370 | |
17 | 84 | C・ブルース | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 49.061 | |
18 | 33 | J・ヒル | RCH Suzuki | Suzuki | 49.906 | |
19 | 57 | B・ラメイ | Rock River Yamaha | Yamaha | 50.565 | |
20 | 85 | K・パートリッジ | - | Suzuki? | 50.363 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 132 | |
2 | 5 | R・ダンジー | KTM | 113 | |
3 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 105 | |
4 | 41 | T・カナード | Honda | 105 | |
5 | 22 | C・リード | Honda | 97 | |
6 | 51 | J・バーシア | Honda | 83 | |
7 | 29 | A・ショート | Honda | 83 | |
8 | 7 | J・スチュワート | Suzuki | 74 | |
9 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 67 | |
10 | 20 | B・ティックル | Suzuki | 57 | |
11 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 56 | |
12 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki | 48 | |
13 | 800 | M・アレッシ | Suzuki | 40 | |
14 | 33 | J・グラント | Yamaha | 40 | |
15 | 11 | K・チゾム | Yamaha | 37 | |
16 | 47 | M・ラモイン | Kawasaki | 34 | |
17 | 42 | V・フリッシー | Honda | 30 | |
18 | 46 | W・ペイック | Suzuki | 29 | |
19 | 14 | K・ウィンダム | Honda | 21 | |
20 | 55 | J・アルバートソン | Honda | 21 |
ケン・ロクスン(KTM)がオークランド、アナハイム3と2連勝し、ランキングでもトップを独走している250クラス ウエスト。ディフェンディングチャンピオンのイーライ・トマック(ホンダ)としてはここで彼に3連勝されてしまってはタイトル獲得が本当に難しくなってしまうため、非常に重要なラウンドとなる。しかし、今回のラウンドで最も調子を上げていたのは、マーティン・ダバロス(カワサキ)だった。2回行われるプラクティスの両方でトップタイムを出し、さらにはヒートレースでも勝利するなど、初優勝に向けて着々と階段を登っていた。もちろんトップを争っている二人も好調で、順調にヒートレースを通過するが、ランキング3位のコール・シーリー(ホンダ)はヒートレースでクラッシュし、LCQ(ラストチャンスクォリファイ)からのメインレースとなってしまった。
メインレース(15周)、ホールショットはオークランドで3位に入っている、ジェーソン・アンダーソン(スズキ)。その背後にダバロスが着ける。しかしダバロスは2コーナー後のリズムセクションでケースしクラッシュ、ここで優勝争いからは脱落してしまう。代わって2位に上がってきたのは、ここ2ラウンド、勝利から遠ざかっているトマックだったが、すぐにロクスンも3位に上がり、トップグループはこの3名にマルコム・スチュワート(KTM)を加えた4名で形成されつつあった。レースが動いたのは5ラップ目。ハイペースでレースをリードしていたアンダーソンだったが、最終コーナー手前のリズムセクションでスピードに乗ったトマックがクリーンパス。ロクスンが2位へ上がる前にリードを広げに入る。しかし、ロクスンも8ラップ目にはアンダーソンをパスし、トマックを追撃する態勢を整えた。一方、単独で4位を走っていたスチュワートは10ラップ目のフープスでクラッシュし、ここでDNF(Did Not Finish リタイア)。2ラウンド連続の不運で、ポイントランキングでも下位に沈んでしまう。
完全にトマック、ロクスンの2人に絞られたトップ争いは、残り5ラップの時点でその差は約4秒。残りのラップ数を考えるとトマックが相当有利に見えたが、ここから徐々にロクスンがペースを上げ、ファイナルラップには2秒差まで詰め寄る。さらにファイナルラップに入ると、トマックのすぐ前方にはラップ遅れも控えていて、思うようにペースの上がらないトマックにロクスンが最終コーナーで並びかけるが、ここでゲームオーバー。僅差でトマックが勝利し、ロクスンは2位に終わる。そして、3位には今シーズン2度目のポディウムフィニッシュとなるアンダーソン。4位にはオースティン・ポリテリ(ホンダ)、5位にはヒ一レースウィナーのカイル・カニンガム(ヤマハ)がそれぞれ入った。
次のラウンド、ダラスからは250イーストが始まるため、250ウエストは4月20日のシアトルまでの間、長い休憩期間に入る。各ライダーともこの期間でどのように調整してくるかがキーとなるが、トマックがオークランドでDNFとなっているので、ロクスンは後半戦の3ラウンドを残して17ポイントのアドバンテージを築いている。何か特別な事が無い限りこの差を逆転するのは難しいように見えるが、実際にはまだわからない。そして、次週から始まるイーストシリーズにも多数注目ライダーがいるので、こちらも非常に楽しみだ。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 1 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | 46.322 | |
2 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | 47.031 | |
3 | 21 | J・アンダーソン | Rockstar Suzuki | Suzuki? | 48.021 | |
4 | 76 | A・ポリテリ | - | Honda | 48.290 | |
5 | 38 | K・カニンガム | StarRacing | Yamaha | 48.095 | |
6 | 31 | T・ベイカー | Valli Motorsports Yamaha | Yamaha | 48.715 | |
7 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda | 48.055 | |
8 | 28 | T・ラトレイ | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 48.581 | |
9 | 40 | M・ダバロス | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 47.939 | |
10 | 36 | J・ネルソン | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 48.700 | |
11 | 176 | J・サバージー | JDR/J-star/KTM | KTM | 48.304 | |
12 | 205 | J・カヒア | JDR/J-star/KTM | KTM | 49.742 | |
13 | 59 | C・クレイグ | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 48.819 | |
14 | 992 | J・ラモス | - | Kawasaki | 50.065 | |
15 | 43 | C・シーリー | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 48.147 | |
16 | 360 | A・シミノエ | - | Kawasaki | 50.404 | |
17 | 329 | C・ゴレス | - | Honda | 51.685 | |
18 | 72 | T・ブライト | - | Honda | 50.986 | |
19 | 98 | C・プルーフェ | - | Honda | 50.006 | |
20 | 632 | M・スチュワート | JDR/J-star/KTM | KTM | 48.025 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 94 | K・ロクスン | KTM | 138 | |
2 | 1 | E・トマック | Honda | 121 | |
3 | 43 | C・シーリー | Honda | 95 | |
4 | 21 | J・アンダーソン | Suzuki | 88 | |
5 | 38 | K・カニンガム | Yamaha | 83 | |
6 | 40 | M・ダバロス | Kawasaki | 82 | |
7 | 338 | Z・オズボーン | Honda | 82 | |
8 | 176 | J・サバージー | KTM | 62 | |
9 | 59 | C・クレイグ | Honda | 62 | |
10 | 36 | J・ネルソン | Honda | 60 | |
11 | 28 | T・ラトレイ | Kawasaki | 58 | |
12 | 76 | A・ポリテリ | Honda | 57 | |
13 | 31 | T・ベイカー | Yamaha | 53 | |
14 | 32 | M・スチュワート | KTM | 46 | |
15 | 74 | M・アンスティ | Suzuki | 38 | |
16 | 35 | R・サイプス | Suzuki | 31 | |
17 | 205 | J・カヒア | KTM | 29 | |
18 | 23 | J・カナダ | Honda | 21 | |
19 | 992 | J・ラモス | Kawasaki | 21 | |
20 | 80 | M・リーブ | Honda | 16 |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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