
掲載日:2013年02月06日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
今週はオークランドから再びアナハイムへ開催地を戻し、ラウンド5が開催された。先週のオークランドで圧倒的な強さとスピードで2連勝したライアン・ビロポート(カワサキ)が3連勝するのか? それとも他のトップライダーが彼の3連勝をストップさせる事ができるのか、という点に注目が集まったが、この日もビロポートはヒートレース(予選)から強さを見せ、ラップタイムでも他をリードしていた。もちろん、他のトップライダーたちも順当にプラクティス、ヒートレースを走り切り、メインレースへと駒を進めた。そんな彼らとは逆にライアン・ダンジー(KTM)のメインレースまでの道のりは過酷だった。ヒートレースではサスペンションのトラブルでDNF(Did Not Finish リタイア)。さらには、LCQ(ラストチャンスクォリファイ)でもスタート直後のクラッシュに巻き込まれ絶体絶命のピンチを迎えるが、なんとか追い上げ、ボーダーラインの2位でメインレースへ進むという波乱が起きた。
メインレース(20周)、ホールショットはマイク・アレッシ(スズキ)。それにジャスティン・ブレイトン(ヤマハ)、チャド・リード(ホンダ)と続くが、3コーナーのバンクでインサイドに入りこんだブレイトンにリードが突っ込み、共にクラッシュ。さらには、そのすぐ外側を走っていたビロポートまでそれに巻き込まれるという波乱のスタートとなった。2ラップ目、ペースの上がらないアレッシをLCQからメインレースに進んできたダンジーが早くもパスし、トップを奪う。さらに、リズムセクションで後から並びかけて来たデイビー・ミルサップス(スズキ)とアレッシが接触し、アレッシは転倒、ミルサップスはその間に2位へポジションを上げた。そしてその後からは今シーズン、ケガや不運でなかなかトップ争いへ加われなかったジェイムズ・スチュワート(スズキ)が3位へポジションを上げ、その後にはラウンド2で優勝して以来、2ラウンド連続でDNFのジャスティン・バーシア(ホンダ)が続いた。
7ラップ目、2位以下との差を3秒近くまで広げたダンジーの後でレースが動き出した。ミルサップスにプレッシャーをかけ続けていたスチュワートが、ついにミルサップスをフープス直後のバンクでクリーンパス。しかし、ポイントリーダーのミルサップスは簡単には諦めなかった。パスされた後もスチュワートに食らいつき、14周目のリズムセクションで再び2位を奪うが、その時点でトップのダンジーは2位に6秒近いリードがあり、その差を埋める事は困難な状況にあった。17周目、ペースが落ちてきた3位のスチュワートに徐々に近付いて来たバーシアが、リズムセクションでミスしたスチュワートをあっさりパス。結局そのままの順位でゴールを迎えた。
今回のラウンド5 アナハイム3では、ここまで我慢のレースを続けてきたダンジーが初優勝を飾り、ランキングも2位まで上げた。しかし、ポイントリーダーのミルサップスも2位フィニッシュで、結果的には2位とのポイント差をさらに広げるかたちになった。一方、2連勝中だったビロポートは、8位フィニッシュで再びポイント差を広げられてしまう結果に。そして、ラウンド4まではトップ5にも絡む事のできなかったスチュワートが今回初めて4位入賞を果たし、健在をアピールしてくれた。次週は同じくカルフォルニア州の最南端、サンディエゴ。シーズンも中盤戦を迎えようとしているが、開幕前に予想していた通り大混戦が続いている。まだまだタイトルの行方はまったく予想できない、ファンにとっては見応えのある素晴らしいシーズンは続くだろう。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | 53.236 | |
2 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Suzuki | Suzuki | 53.424 | |
3 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | 53.540 | |
4 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki | 53.498 | |
5 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | 53.407 | |
6 | 29 | A・ショート | - | Honda | 54.132 | |
7 | 41 | T・カナード | Team Honda Muscle Milk | Honda | 54.067 | |
8 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 53.699 | |
9 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki | 54.100 | |
10 | 10 | J・ブレイトン | RJGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 54.755 | |
11 | 47 | M・ラモイン | JAB Motorsports/SCOTT/Silkolene/FMF/JM Racing | Kawasaki | 55.169 | |
12 | 55 | J・アルバートソン | - | Honda | 54.945 | |
13 | 62 | M・ゴーキー | BTOSports.com/KTM | KTM | 54.740 | |
14 | 11 | K・チゾム | Velocity3 Racing | Yamaha | 54.594 | |
15 | 42 | V・フリッシー | Slaton Racing/Tuf Racing/ONeal/Dunlop/Shoei | Honda | 55.534 | |
16 | 69 | PJ・ラーセン | - | Honda | 55.649 | |
17 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing/Smartop/JT Racing/FMF | Suzuki? | 55.713 | |
18 | 33 | J・グラント | JAB JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 54.375 | |
19 | 84 | C・ブルース | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 56.019 | |
DNF | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 107 | |
2 | 5 | R・ダンジー | KTM | 93 | |
3 | 41 | T・カナード | Honda | 92 | |
4 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 90 | |
5 | 22 | C・リード | Honda | 81 | |
6 | 29 | A・ショート | Honda | 71 | |
7 | 51 | J・バーシア | Honda | 61 | |
8 | 7 | J・スチュワート | Suzuki | 56 | |
9 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 53 | |
10 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki | 48 | |
11 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 47 | |
12 | 20 | B・ティックル | Suzuki | 47 | |
13 | 33 | J・グラント | Yamaha | 40 | |
14 | 11 | K・チゾム | Yamaha | 37 | |
15 | 42 | V・フリッシー | Honda | 30 | |
16 | 800 | M・アレッシ | Suzuki | 29 | |
17 | 47 | M・ラモイン | Kawasaki | 26 | |
18 | 46 | W・ペイック | Suzuki | 22 | |
19 | 14 | K・ウィンダム | Honda | 21 | |
20 | 55 | J・アルバートソン | Honda | 21 |
ラウンド5 アナハイム3。先週のオークランドで3連勝中だったイーライ・トマック(ホンダ)から今シーズンの初優勝を奪ったケン・ロクスン(KTM)が2連勝を飾るのか、それともトマックが再びトップへ返り咲くのかでシーズンの流れが左右される大事なラウンドとなった。大方の予想通り彼らは順当にメインレースに進んだが、ランキングで上位を走る、クリスチャン・クレイグ(ホンダ)、ザック・オズボーン(ホンダ)、タイラ・ラトレイ(カワサキ)、マルコム・スチュワート(KTM)の4名がヒートレースでクラッシュし、LCQへ進むという波乱が起きた。もちろんLCQでは上位2名のみがメインレースへ進めるため、スチュワートとラトレイはメインレースにさえ進むことができなかった。
メインレース(15周)、ホールショットは好調のルーキー、ジョーイ・サバージー(KTM)。しかし、すぐ後に着けていたロクスンが1ラップ目にすぐにパス、リードを広げる。2ラップ目にはプロサーキットへ移籍し好調のマーティン・ダバロス(カワサキ)もサバージーをパスし、トップのロクスンを追撃開始する。一方のトマックはスタートでミスし、10位前後からのレースという厳しい展開となった。もちろんこのクラスでは圧倒的な強さを見せるトマックは、同じようにスタートに出遅れてしまったコール・シーリー(ホンダ)と共に順位を徐々に上げるが、この日の彼はスリッピーなトラックに苦戦し、細かなミスを連発。追い上げ途中、シーリーにパスされたりと、イマイチ乗り切れてないように見えた。8ラップ目、なんとか集団から抜け出し4位まで順位を上げたトマックは、3位を走っていたサバージーをクリーンパスしトップ2へ照準を合わせるが、この時点でトップのロクスンとの差は9秒。2位を走るダバロスとでさえ7秒以上の差があり、残りの周回数を考えるとトップを奪うまでは難しいようにも見えた。また、タイトル争いを展開中のシーリーは転倒で13位まで順位を落としており、入賞する事さえ難しい状況にあった。一方、トップを走るロクスンは2位のダバロスとの差を徐々に広げ始め、ラスト3ラップの時点でリードは3秒にまで広がっていて、あとはミスの無いように残りのラップを走り切るだけだった。もちろんその3ラップをミス無く走りきったロクスンはトップでフィニッシュして2連勝、2位にはダバロス、3位にはトマックがそれぞれ入った。ランキング2位のシーリーはなんと12位でフィニッシュ、トップの2人から大きく離される結果に。
ラウンド5を終え、残り4ラウンドとなった250ウエスト。オークランドでのDNFにより、一気にロクスンにポイント差をつけられてしまったトマックは今回のアナハイムでも3位に終わり、優勝のロクスンにさらに5ポイントのリードを許してしまい、現時点でのポイント差は20ポイント。まだ決定的とまでは言えないが、ロクスンが初のタイトルへ向け、確実に優位なポジションにいる。これからのラウンドは、いったいどう展開していくのだろうか?
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | 53.459 | |
2 | 40 | M・ダバロス | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 53.117 | |
3 | 1 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | 53.203 | |
4 | 38 | K・カニンガム | StarRacing | Yamaha | 54.186 | |
5 | 21 | J・アンダーソン | Rockstar Suzuki | Suzuki | 53.905 | |
6 | 31 | T・ベイカー | Valli Motorsports Yamaha | Yamaha | 54.850 | |
7 | 176 | J・サバージー | JDR/J-star/KTM | KTM | 54.334 | |
8 | 76 | A・ポリテリ | - | Honda | 54.415 | |
9 | 74 | M・アンスティ | Rockstar Suzuki Europe | Suzuki? | 54.817 | |
10 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda | 54.410 | |
11 | 36 | J・ネルソン | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 55.075 | |
12 | 43 | C・シーリー | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 54.123 | |
13 | 59 | C・クレイグ | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 55.382 | |
14 | 205 | J・カヒア | JDR/J-star/KTM | KTM | 56.184 | |
15 | 78 | S・チャンピオン | - | Honda | 56.478 | |
16 | 948 | K・モーシグ | - | Kawasaki | 56.138 | |
17 | 992 | J・ラモス | - | Kawasaki | 55.835 | |
18 | 72 | D・テッダー | - | Kawasaki | 56.949 | |
19 | 653 | T・ベアマン | - | Kawasaki | 57.630 | |
20 | 63 | D・アンダーソン | - | Kawasaki | 58.078 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 94 | K・ロクスン | KTM | 116 | |
2 | 1 | E・トマック | Honda | 96 | |
3 | 43 | C・シーリー | Honda | 89 | |
4 | 40 | M・ダバロス | Kawasaki | 70 | |
5 | 21 | J・アンダーソン | Suzuki | 68 | |
6 | 338 | Z・オズボーン | Honda | 68 | |
7 | 38 | K・カニンガム | Yamaha | 67 | |
8 | 59 | C・クレイグ | Honda | 54 | |
9 | 176 | J・サバージー | KTM | 52 | |
10 | 36 | J・ネルソン | Honda | 49 | |
11 | 32 | M・スチュワート | KTM | 45 | |
12 | 28 | T・ラトレイ | Kawasaki | 45 | |
13 | 76 | A・ポリテリ | Honda | 39 | |
14 | 31 | T・ベイカー | Yamaha | 38 | |
15 | 74 | M・アンスティ | Suzuki | 38 | |
16 | 35 | R・サイプス | Suzuki | 31 | |
17 | 23 | J・カナダ | Honda | 21 | |
18 | 205 | J・カヒア | KTM | 20 | |
19 | 80 | M・リーブ | Honda | 16 | |
20 | 992 | J・ラモス | Kawasaki | 14 |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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