注目!! 2013 AMA-SXいよいよ開幕!

注目!! 2013 AMA-SXいよいよ開幕!

掲載日:2012年12月25日 エクストリームモトクロス    

文・まとめ/宮本 将平

アメリカの超人気モータースポーツ
『スーパークロス』

北米の大型スタジアムやドームの中にジャンプだらけのコンパクトなモトクロストラックを作り、そこで行うインドアモトクロスレース、それが『スーパークロス(SX)』だ。1972年にスタートしたスーパークロスの人気は北米では非常に高く、トップライダーとなればその知名度は野球選手に引けを取らない程だ。

 

そのスーパークロスが、2013シーズンも年明け早々の1月5日から、カリフォルニア州のアナハイムでラウンド1がスタートする(Monster Energy AMA Supercross)。そこから約5か月間、北米の17会場を舞台に毎週末開催されるこのシリーズは、全世界が注目するモトクロス界の一大イベントで、テレビで生放送される程、絶大な人気を誇る。また、アウトドアで開催される『モトクロス』に比べメディアでの露出も多い事などから、近年のアメリカではモトクロスシリーズよりも重要視されている。中にはモトクロスシリーズはキャンセルし、スーパークロスだけにエントリーするライダーやチームが存在するほど、特別なシリーズでもある。

 

2013シーズンのAMA-SXは
ビッグタレントが集結

2013シーズンのスーパークロスは近年稀に見る、ビッグタレントだらけのスタートになりそうだ。2年連続のスーパークロスチャンピオンで、昨年は中盤以降に圧倒的な強さでタイトルを獲得したライアン・ビロポート(Ryan Villopoto)だ。彼の強さは2013シーズンも続くことが予想される。しかし、昨シーズンの後半戦(ラウンド14)、地元のシアトルラウンドでヒザを負傷(タイトル獲得後)して以来のスーパークロスとなる事や、2012年10月にラスベガスで開催されたモンスターエナジーカップで勝利できなかった事など、不安材料もある。それでもチャンピオンの最右翼に挙げられるのは間違いないところ。

そのディフェンディングチャンピオンのビロポートに対抗するであろうライダーが、ライアン・ダンジー(Ryan Dungey)、ジェイムズ・スチュワート(James Stewart)、チャド・リード(Chad Reed)の3人。ダンジーは2012シーズンにスズキからKTMへマシンをスイッチしたが、その影響をまったく感じさせない素晴らしいライディングでランキング3位を獲得。ビロポートがケガで離脱してからの3ラウンドはすべて勝利している点や、アウトドア(モトクロス)シリーズではタイトルを獲得している点からも、2013シーズンは十分に期待できるだろう。

 

そして、2012シーズンのスーパークロスではほとんどのラウンドの予選で勝利しながらも、メインレースでは度重なる転倒で勝利を逃し続けたスチュワート。スーパークロスシーズン終了直後にヤマハからスズキへ電撃移籍し、アウトドア前半戦では4レース連続で勝利するなど、やはりポテンシャルは高いライダーである事に変わりは無く、こちらもかなり期待大。また、オーストラリア人のリードも同様に、間違いなくトップ争いに絡んでくるだろう。彼は、2012シーズン中盤までは常にトップに食い込むライディングを見せてくれていたが、こちらもレース中のケガで戦線離脱。結果的にはアウトドアシーズンが終了するまでレースに戻って来る事ができなかったが、高いポテンシャルは健在だ。

上記に挙げたビッグ4に加え、大ケガから復帰するトレイ・カナード(Trey Canard)と2年連続250EASTクラスチャンピオンを獲得したジャスティン・バーシア(Justin Barcia)の2名のホンダの若手ファクトリーライダーにも注目したい。特にバーシアは、10月に開催されたモンスターエナジーカップにおいて、上記に挙げたトップライダー達を下し勝利している、超注目のライダーである。

他にも2012年のランキング2位で、2013シーズンは『Rockstar suzuki』と契約したデイビー・ミルサップス(Davi Millsaps)や、2012年に見事1勝を挙げているアンドリュー・ショート(Andrew Short)、年々強さを増してきているジェイク・ワイマー(JakeWeimer)、『RCH SUZUKI』のジョシュ・ヒル(Josh Hill)など伏兵も数多いのが、2013シーズンのスーパークロス450クラスだ。

 

250クラスからも
目が離せない

一方、WESTとEASTに分かれてタイトルを争う250クラスはどうだろう。このクラスは、一般的にはメインの450ccクラスの陰に隠れ、「2ndクラス」として見られがちだが、実はこのクラスの方を注目しているファンも少なくない。なぜなら、このクラスはプロデビューしたばかりの10代や20代前半のライダーがほとんどで、とにかくアグレッシブで見応えがある。また、メインレースの周回数も15周と、450クラスに比べ5周も短いので、密度の濃い短距離レースになる事が多いのだ。もちろん先に挙げた、450クラスでタイトルを争っているライダーたち全員が、このクラスでタイトルを獲得してきたライダーである。近年では『MonsterEnegy/Pro Circuit/Kawasaki』と『GEICO HONDA』の2チームがこのクラスのタイトルを分け合っているが、『RedBull KTM』もヨーロッパチャンピオンの若手ライダーをチームに迎え入れる動きを強めており、2013シーズンは予測困難なシリーズ戦となりそうだ。

 

まずは開幕から7ラウンド一気に行われるWESTディビジョン。ここでの注目ライダーは間違いなく2012年のチャンピオン、イーライ・トマック(Eli Tomac)だろう。2012年のアウトドアでもランキング3位を獲得している彼は、スマートでミスの少ないライディングスタイルが特徴のライダー。10月に開催されたモンスターエナジーカップでは450クラスでもヒート優勝している実力派だ。そして、その2012年に死闘の末に惜しくもランキング2位となったディーン・ウィルソン(Dean Wilson)。2011年はアウトドアシリーズでタイトルを獲得している、こちらも有力ライダーだ。この2人を中心にシーズンが進む可能性が高いが、他にも2013シーズンからプロサーキットに移籍したマーティン・ダバロス(Martin Davalos)、同じくプロサーキットのタイラ・ラトレイ(Tyla Ratray)やTLD(Troy Lee Designs)のコール・シーリー(Cole Seely)ら、このクラスの上位常連ライダーや、ルーキーのジャスティン・ヒル(Justin Hill)らプロデビューしたばかりの若手もトップ争いに絡んでくる可能性は十分にあるだろう。

 

続いてEASTディビジョン。2012年まで絶対的王者として君臨していたバーシアが450クラスにステップアップする為、2012年に上位を争っていたライダーたちを中心としたタイトル争いが展開されそうだ。こちらの注目ライダーは、2012年のアウトドアシリーズのチャンピオン、ブレイク・バゲット(Blake Bagget)。2012年はトラブルなどにも見舞われた為、1勝もできなかったが、2013シーズンは確実に台風の目となってくるに違いない。そして2012年のこのクラスのランキング2位であるケン・ロクスン(Ken Roczen)、同3位のブレイク・ウォートン(Blake Wharton)からも絶対に目が離せない。さらには注目のルーキー、ザック・ベル(Zach Bell)など、こちらのディビジョンも注目のライダーは数多い。本当にタレント揃いのディビジョンである。

そしてWESTとEASTのトップライダーたちが最終戦のラスベガスで、それぞれのタイトルを確定させたあと、250クラス最強の座をかけて同じくラスベガスで東西統一王者決定戦(シュートアウト)を行う。

 

ダートライドでは年明け(2013年)から、このスーパークロスのレースレポートをお届けする予定なので、楽しみにお待ちいただきたい。

 

 

宮本 将平
プロフィール
宮本 将平

WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。

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