掲載日:2015年10月16日 メンテナンス
※この記事は『モトメンテナンス vol.122』に掲載された内容を再編集したものです
国産メーカーが新たな機能を持った新製品を生み出す中、輸入工具メーカーは長い歴史と優れた設計思想で個性を発揮し続けている。こうした海外メーカーと日本のユーザーの橋渡し役として、1943年の創業以来、輸入工具のスペシャリストとして歩み続けてきたのが喜一工具である。同社が取り扱う「逸品工具」と称されるブランドツールには、実用性の高さや使い勝手の良さなど、工具に求められる本質的な性能が盛り込まれている。
メガネ部分のラチェット機構によりボルトやナットを連続的に回せるギアレンチを初めて実用化したメーカーとして知られるシグネット。その最新モデルは、60歯のギアを2段階で使うことで120ギアとしているのが最大の特徴だ。この機構でレンチ本体を3度振ればギアを送ることができ、狭い場所での作業性が著しく向上した。またメガネ部分をスプライン形状にすることで、様々な形状のボルトやナットに対応できるのも持ち味である。
メガネ部分にラチェット機構を内蔵しながら可能な限りスリムに仕上げることで、狭い場所でも通常のめがねレンチと遜色のない使い勝手を実現した新型ギアレンチ。締め/緩めの回転方向は本体の裏表で使い分ける。右下のフレックスタイプのヘッドは180度首振り可能で、ボルトの周辺がタイトな場面で真価を発揮する。
スパナの開口部はボルトやナットの頂点部分を避けて接触する面接触デザインを採用。頂点部分に傷つけることなく、強いトルクを与えることができる。
航空機用スプライン頭ボルトに合わせた形状は六角頭や12角頭、四角頭などさまざまな形状に対応。サイズは青色表記だ。
全長93mmと小型ながら52歯のギアを組み込んだラチェットハンドルと、プラス・マイナス・ヘックス計8個のビットを付属したラチェットセット。こんなに小さい工具が本当に使えるのか?かと疑問を感じるかも知れないが、キャップボルトやビスのネジ山とのフィット感が良いこともあり、短いハンドルで相当のトルクを加えることができ、ビットは対辺1/4インチの規格サイズなので、愛車のメンテに必要なサイズを追加することもできる。すべてのパーツが収まるアルミケースもまたコンパクトで、車載工具としても重宝すること間違いない。リーズナブルな価格も魅力である。
回転方向をレバーで切り替えるラチェットハンドルの操作感はカチカチと軽快で、オモチャ感はまったくない。プラスビットは#1、2、3、マイナスビットは刃先幅4mm、5mm、ヘックスビットは4、5、6mm。
パープル、オレンジ、グリーンのカラフルな3色が用意されたアルミケースのサイズは119×40×15mm。ポケットに余裕で収まる。
グリップエンドはマグネット内蔵のビットホルダーとなっており、ドライバーのように早回し動作もできる。これも大きな特徴だ。
ほんの仮締め程度のトルクでも素手で緩めることはできないが、ラチェットがあれば回せる。小さな工具だが存在意義は大きい。
長年に渡ってドライバーメーカーとして世界的に評価されているのがPBスイスツールズ。同社が作り出すドライバーは、人間工学に基づくグリップデザインと特殊なギミックに頼ることなくビスのネジ山に強力にフィットする先端デザインが特徴である。スイスグリップと呼ばれる現行シリーズのグリップはポリプロピレン・サントプレンの2種類の樹脂を組み合わせて作業者の手に優しく、回転トルクを余すところなく伝達してくれる。
スイスグリップは濡れた手で握っても滑りにくく、オイルやガソリンへの耐久性も高いので、作業中に汚れてもパーツクリーナーで鮮やかな赤色を維持できる。
各ドライバーメーカーはグリップの研究開発に余念がないが、人間の手に近い硬度に合わせたPB製グリップには一日の長がある。
先端のガタ付きや逃げの気配はなく、回転トルクがストレートにビスに働いている感覚が伝わり、性能の高さが理解できる。
ギアレンチのように貫通穴が空いたラチェットヘッドに、専用ソケットを差し込んで用いるのがボルテックスソケットの特徴である。長いスタッドボルトのナットを着脱する際ヘッド部分を貫通できるのは便利だが、ソケットがヘッドに挿入されるため通常のソケットレンチに比べて全高が約50%低いのもポイント。一般的なソケットレンチを持つユーザーにとって使用頻度はさほど高くないだろうが、作業の幅を広げてくれるセットである。
ラチェットハンドルと貫通エクステンションバー、10~19mmまで1mm刻みのソケットと通常ソケットに対応する2サイズのアダプターで1セットとなる。
スタッドボルトが貫通するのはボルテックスソケットの象徴的シーンだが、通常のナットを緩める際にディープソケットが不要なのは利点である。
付属の1/4と3/8インチのソケットアダプターをセットすれば、通常のソケットを使用できる。この使い方でも違和感はまったくない。
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